韓国映画界が誇る「アクションの巨匠」といえば、誰もがその名を挙げるのがリュ・スンワン(류승완)監督です。大ヒット作『ベテラン(2015年のアクション映画、観客動員数1300万人超え)』や『密輸(2023年の海洋アクション映画)』で知られる彼が、最新作『ヒューミント(휴민트)』を提げて帰ってきました。
今回の舞台は、北朝鮮とロシアの国境に近い極寒の地、ウラジオストク。タイトルにもなっている「ヒューミント(HUMINT)」とは、人との接触を通じて情報を得る「人的諜報活動」を指す軍事用語です。このタイトルからも分かる通り、映画はスパイたちが交錯し、裏切りと真実が氷の海に沈むスリリングな物語。主演にはチョ・インソン(조인성)、パク・ジョンミン(박정민)、シン・セギョン(신세경)、パク・ヘジュン(박해준)といった超豪華キャストが名を連ねています。
韓国では旧正月の連休に合わせて公開され、すでに観客動員数200万人を突破。リュ・スンワン監督作品としてはやや控えめな数字という声もありますが、映画を観たファンからは「アクションの密度が凄まじい」「俳優たちの感情表現に圧倒された」と、その完成度の高さを絶賛する声が相次いでいます。
■「アクションは少年の夢」リュ・スンワン監督の飽くなき挑戦
公開後のインタビューに応じたリュ・スンワン監督は、自身の代名詞でもあるアクション演出について、意外な胸の内を明かしました。
「アクションを作るのは、今でも本当に大変です。肉体的な負担もドラマ作品とは比べものになりませんし、何より常に『誰かが怪我をするのではないか』とノ심초사(ノシムチョサ/ハラハラすること)しています」
それでも彼がアクションにこだわり続けるのは、それが「最も純粋な映画の形」だと信じているからです。本作の後半には、なんと20分間もセリフなしでアクションが続くシーンがあるといいます。
「音と光だけでシーンを構成するのは、私にとって今でもファンタジーであり、少年の夢のような領域なんです。まだ自分でも成し遂げていないことがある、という子供のような好奇心が残っているのかもしれません」
韓国映画界で「チュンムロ(ソウルにある映画の街、日本でいう撮影所界隈の代名詞)」の興行王と呼ばれる監督が、今なお少年の心でメガホンを取っているというエピソードは、ファンにとっても胸が熱くなるポイントではないでしょうか。
■チョ・インソンの「引き算の美学」とシン・セギョンの新たな発見
キャスト陣への信頼も厚いリュ・スンワン監督。特に『モガディシュ 脱出までの14日間(2021年の社会派アクション)』から数えて3作目のタッグとなるチョ・インソンについては、全幅の信頼を寄せています。
「チョ・インソンさんは、今や『引き算の演技』ができる内功(ネゴン/積み重ねた実力)を身につけました。自分が目立つことよりも、作品の柱として他の俳優たちが自由に動ける場を作ってくれる。現場でも自分の体調を気遣ってくれる、本当にありがたい存在です」
そして、本作で特に注目を集めているのが、北朝鮮の出身者ソンファ役を演じたシン・セギョンです。
「彼女の魅力的な声と、驚くほど芯の強い性格に惹かれました。北朝鮮の方言も完璧に準備してきてくれて、他の俳優たちが驚くほどの再現力でした」
韓国では「北朝鮮の言葉」を扱う作品が多くありますが、リュ・スンワン監督は過去の作品経験から耳が肥えていることで有名です。その監督を唸らせたシン・セギョンの努力は、日本のファンにとっても見逃せない見どころの一つになるでしょう。
■「メロの職人」を目指して?監督の意外なお茶目さも
アクション映画として期待される本作ですが、意外にも鑑賞後には「メロ(恋愛要素)に泣かされた」という感想が多いのも特徴です。パク・ジョンミンとシン・セギョンが織りなす切ない感情線について、監督は冗談めかしてこう語ります。
「実は自分では『メロの職人』だという錯覚がたまにあります(笑)。ただ、これまで一度もキスシーンを撮ったことがないので、もし撮ることになったら誰か詳しい人を呼ばなきゃいけないかも」
そんな冗談を飛ばしつつも、劇中で描かれる「別れ」については深いこだわりがあるようです。「人はどう去るべきか、何が美しい別れなのか」という問いを込めたという本作。激しいアクションの裏側にある、しっとりとした情緒もまた、韓国映画らしい魅力と言えます。
実は撮影後、胆嚢(たんのう)に大きな石が見つかり手術を受けたというリュ・スンワン監督。「体力的には限界だった」と振り返りながらも、すでに次の作品への意欲を燃やしています。そんな監督の命懸けの情熱が詰まった『ヒューミント』。日本での公開が待ち遠しいですね!
リュ・スンワン監督が描く「アクションとメロの融合」、皆さんはどんな期待を持っていますか?チョ・インソンやシン・セギョンの新しい姿、早くスクリーンで観たいですね。ぜひ皆さんの期待の声や感想をコメントで教えてください!
出典:https://sports.hankooki.com/news/articleView.html?idxno=6928386
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