5月22日に開幕する演劇『バーニャ・アジェ』で、自身初となる韓国の舞台に挑戦するシム・ウンギョン(심은경)。日本での主演女優賞受賞を経て、あえて「自信がなかった」という困難な道を選んだ理由を明かしています。
■ 華々しい日本での活躍を越え、原点への回帰を目指す
俳優のシム・ウンギョン(심은경)が、ファッションマガジン『Harper's BAZAAR Korea(ハーパーズ バザー コリア)』の5月号に登場し、キャリア初となる演劇への挑戦についてその真意を語りました。今回の撮影は「舞台の上で独白する俳優」というコンセプトで行われ、彼女は衣装ごとに異なるペルソナ(人格)を纏いながら、圧倒的な表現力を披露しました。
彼女は5月22日から開幕する演劇『バーニャ・アジェ』に出演し、ついに韓国の観客と舞台を通じて対面します。シム・ウンギョンといえば、近年は日本での目覚ましい活躍が記憶に新しいところです。映画『新聞記者』で第43回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞したほか、映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』や『椿の庭』でも高い評価を受け、キネマ旬報ベスト・テンで主演女優賞を獲得するなど、名実ともに日本映画界を代表する韓国人俳優の一人となりました。
しかし、今回のインタビューで彼女は意外な事実を口にしました。日本での成功を背景に再び活動の場を広げる中、韓国での初舞台となる演劇の台本を受け取った際、「実はやりたくないという気持ちが大きかった」というのです。その最大の理由は「自分に自信が持てなかったから」だと率直に告白しました。そんな彼女を突き動かしたのは、俳優としての理想に対するストイックな姿勢でした。
■ 天才ピアニストへの共感と「チェーホフ」への深い理解
彼女が舞台への挑戦を決めた背景には、自身の目指すべき「芸術家像」があったといいます。インタビューの中でシム・ウンギョンは、若くして世界的な注目を集めるピアニストイム・ユンチャン(임윤찬)(2022年にヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで史上最年少優勝を果たした韓国の天才ピアニスト)を例に挙げました。「イム・ユンチャンさんのように、自身の芸術を見せることに対して真摯で情熱的、まるで修行者のような面影を持つ芸術家は、私が夢見てきた理想像です」と語りました。
長く、着実に、そして真実味のある演技を続ける俳優でありたいと願う彼女にとって、安全で快適な道を選ぶよりも、たとえ恐怖を感じても前に進む道を選ぶことこそが、理想に近づく唯一の手段だったのです。それは運命や「神の啓示」のようにも感じられたといい、淡々とその挑戦を受け入れた経緯を振り返りました。
出演作である『バーニャ・アジェ』は、ロシアの劇作家アントン・チェーホフの傑作戯曲『ワーニャ伯父さん』を現代風に脚色した作品です。高校生の頃に初めてこの作品を読んだという彼女ですが、現在33歳(韓国での年齢基準)になり、改めて読み返すとまた違った魅力を感じているといいます。「正直に言えば今読んでも退屈な部分はあります」と笑いながらも、「でも、じっくり見ていると『自分もそうだ』と共感して思わず笑ってしまう。それがチェーホフの凄さです」と語りました。
劇中の人物たちは一見平穏な日常を送っているように見えますが、その内側には激しい欲望が渦巻いています。シム・ウンギョンは、その人間臭い葛藤を「どんなサスペンスよりも緊張感が強い」と表現しており、舞台の上でそれらをどう爆発させるのかに大きな注目が集まっています。
■ 悪役での成功から新たなステップへ、絶え間ない挑戦
シム・ウンギョンは最近、韓国で放送されたtvNドラマ『大韓民国でビルオーナーになる方法(原題)』で、これまでのイメージを覆す悪役を演じ切り、大きな話題を呼びました。ドラマの成功後、すぐに演劇という未知の領域へ飛び込む彼女の原動力は「後悔」だといいます。
「後悔しないようにしようとは思うけれど、私はどうしても後悔してしまうタイプなんです」と自己分析する彼女ですが、その「後悔」や「未練」こそが自分をここまで連れてきてくれたと肯定的に捉えています。内面で渦巻く不安や苦悩を単に表面的に表現するのではなく、一歩ずつ歩むように誠実に演じていきたいという彼女の言葉からは、ベテラン俳優でありながらも常に自分を疑い、高みを目指す職人気質な一面が伺えます。
今回の『バーニャ・アジェ』での舞台デビューは、彼女の長いキャリアにおいて新たなターニングポイントとなることは間違いありません。日本で見せてきた繊細な演技が、生の舞台という空間でどのように昇華されるのか。シム・ウンギョンの新たな挑戦は、5月のソウルで幕を開けます。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ アントン・チェーホフの影響力
韓国の演劇界や大学の演劇映画科において、チェーホフの作品(『かもめ』『ワーニャ伯父さん』など)は必須科目と言えるほど重要視されています。リアルな人間描写が特徴で、俳優にとっては演技力を証明する「登竜門」的な役割を果たすことも多いです。
■ ビルオーナーへの憧れ(ビルジュ)
記事にあるドラマのタイトルにもなっている「ビルオーナー(ビルジュ)」は、韓国社会において不労所得で生活する「成功者の象徴」として語られます。不動産投資への関心が非常に高い韓国ならではのキーワードで、しばしばドラマや映画の題材にもなっています。
子役時代から大好きなウンギョンさんですが、あえて「自信がない」舞台に挑むストイックさが本当にかっこいいですよね。私は『財閥家の末息子』のような、人間の欲望や葛藤がヒリヒリ伝わってくる作品が好みなので、今回のチェーホフ作品もすごく気になっちゃいます。日本アカデミー賞女優の生の演技、一度は生で観てみたいと思いませんか?皆さんは、ウンギョンさんの作品で一番好きなのは何ですか?それとも、これから舞台にも挑戦してほしい派ですか?





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