人気K-POPグループ、ENHYPEN(엔하이픈/エンハイプン)のメンバーであるヒスン(희승)がグループを離れ、ソロ活動に転向するというニュースが流れたのは今月10日のことでした。この電撃発表に、世界中の「ENGENE(エンジン/ENHYPENのファン名)」たちが大きな衝撃を受けましたが、その後のファンの行動が思わぬ方向へ飛び火し、韓国国内で大きな話題となっています。
なんと、怒りや悲しみに暮れた海外ファンたちが、アーティストとは直接関係のない韓国の政府機関「国民年金公団(NPS)」に抗議を殺到させ、業務を麻痺させるという異例の事態が発生したのです。
■「ウチの推しを守って!」国民年金に届いた1500通のメール
事の発端は、韓国の国民年金公団のキム・ソンジュ(김성주)理事長が3月18日、自身のSNSに投稿した一通のメッセージでした。タイトルは「国際年金支援センターが麻痺した事情」。
キム理事長によると、先週、公団の国際年金支援センターに海外からの電話が鳴り止まず、一時的に業務がストップするほどの事態になったといいます。なんと、わずか2時間の間に届いたメールは約1500通。その内容はすべて、ENHYPENのメンバー、ヒスンのグループ脱退に関する抗議でした。
なぜ、アイドルの脱退問題で政府機関である「国民年金」がターゲットになったのでしょうか?
その理由は、韓国独自の経済事情にあります。実は、国民年金公団はENHYPENが所属するHYBE(하이브/ハ이브)の主要株主(大株主)なのです。
韓国の国民年金は、日本でいう「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」に近い存在ですが、韓国国内では「市場を動かす巨大な投資家」としてのイメージが非常に強く、国民の老後資金を預かって多くの大企業に投資しています。
SNS上では海外ファンを中心に「国民年金はHYBEの最大級の投資家だ。彼らに圧力をかければ、HYBEの決定を覆せるかもしれない」「ハーブから事前に連絡があったのか? この決定で市場価値が下がることを知っているのか? 国民年金に抗議しよう」といった呼びかけが広まり、問い合わせ先の電話番号まで拡散されてしまったのです。
■「人事には関与しません」困惑する公団側の訴え
この「電話爆弾」ともいえる状況に対し、キム理事長は困惑を隠せません。
「国民年金は世界80カ国以上の数多くの企業に投資していますが、個別の企業の経営や人事問題には関与しません。当然、K-POPグループの結成やメンバー構成についても関与することはありません」と、改めて公的な立場を強調しました。
さらに深刻だったのは、今回業務が麻痺した「国際年金支援センター」の役割です。ここは本来、韓国で働く外国人労働者や、海外に住む韓国人たちが年金の手続きや相談を行うための窓口。アイドルへの熱い思いから放たれた抗議によって、本当に年金の助けを必要としていた人々が電話をつなげず、大きな不便を強いられる結果となってしまったのです。
韓国では「国民年金」が株主として企業に物申す「スチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)」が議論されることも多いため、ファンたちは「株主の権利を使って事務所を動かしてほしい」と考えたのかもしれません。しかし、アイドルの脱退という「人事」は、投資運用の範囲を大きく超えた問題でした。
■ソロ活動へ向かうヒスンと、揺れるファンの心
今回、騒動の中心となったヒスンは、ENHYPENの中でも圧倒的な歌唱力とパフォーマンスで知られ、最年長メンバーとしてグループを支えてきた存在です。所属事務所のBELIFT LAB(빌리프랩/ビリフラボ。HYBE傘下のレーベル)が10日に「ソロアーティストとして活動する」と発表して以来、ファンの間では「7人でのENHYPENが見られなくなるなんて信じられない」という悲しみの声が絶えません。
今回の騒動は、K-POPがもはや単なる音楽ジャンルを超え、国家機関の業務に影響を与えるほどの巨大な経済的・社会的影響力を持っていることを改めて浮き彫りにしました。
「推し」を想うあまりの行動とはいえ、公的な機関をパニックに陥れてしまった今回の事件。韓国のネット上では「ファンの情熱は理解できるが、やりすぎだ」「政府機関を困らせても解決にはならない」といった冷静な声も上がっています。
ヒスンがこれから歩むソロとしての道、そして残されたメンバーたちの活動。ファンとしては複雑な心境が続きますが、まずは静かに彼らの未来を見守ることが、今のファンに求められていることなのかもしれません。
大好きなメンバーの脱退は本当に辛いニュースですが、皆さんは今回のファンの行動についてどう感じましたか?「推し」を守るためのファンのパワー、どこまでが許されるのか、ぜひ皆さんの考えをコメントで教えてください!
コメント