ジョンズ・ホプキンス大学のアリソン・ピュー教授が、AIには代替できない対人スキルを「連結労働」と定義。108名への調査から、効率化の裏で失われる人間同士の絆と未来の労働の在り方に警鐘を鳴らしています。
■ AIが分析できない「目と目を合わせる」労働の価値
人工知能(AI)が急速に発展し、多くの業務が自動化される現代において、最後まで人間にしかできない仕事とは何でしょうか。米国のジョンズ・ホプキンス大学社会学科のアリソン・ピュー教授は、最新の報告書『人間の最後の職業(原題)』を通じて、他人の感情や考えを読み取り、それに応えるスキルを「連結労働(connective labor)」と定義しました。
アリソン・ピュー教授は2015年から2020年にかけて、カウンセラー、医師、牧師、美容師、弁護士、警察官など、多岐にわたる職種の労働者108名にインタビューを実施。その結果、これら専門職の多くが、単なる実務以上の「感情的な繋がり」を作るための高度な労働を行っていることを明らかにしました。
■ 効率化とアルゴリズムが隠蔽する「人間らしさ」
かつての買い物は、店員と顧客が家族の状況や好みを把握し合う深い社会的な場でした。しかし、1916年に米国でセルフサービスのスーパーマーケットが登場して以来、消費活動から人間関係が切り離され始めました。現代ではAIが個人のデータを分析し、好みを予測しますが、そこには「体温のある関係」の形跡はありません。
アリソン・ピュー教授は、現在の「ギグ・エコノミー(インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方)」やプラットフォーム労働の拡大が、連結労働をさらに見えにくくしていると指摘します。例えば、オンライン相談アプリで働く女性は、利用者から「あなたはロボットですか?」と聞かれるたびに、自分が人間であることを証明しなければならない状況に置かれています。
また、教育現場でのデジタル化も例に挙げられています。シリコンバレーの実験学校では、知識の伝達をコンピュータに任せ、教師の役割を「動機付け」に限定する試みが行われました。しかし、コスト削減が優先されると、最終的にはその動機付けすら安価な労働力やAIに置き換わるリスクがあると警告しています。
■ 連結労働の消失がもたらす「格差」と「奴隷化」
このまま自動化が進めば、豊かな層だけが「人間による手厚いケア」を受け、それ以外の層はAIによる自動化されたサービスしか受けられないという、新しい形の社会格差が生まれる可能性があります。また、人間がAIの作業をスムーズにするための「補助役」になってしまう、労働の主体性の喪失(奴隷化)についても懸念を示しました。
アリソン・ピュー教授は「社会的な健康」を守るために、連結労働の価値を再認識すべきだと訴えています。単なる数値や効率だけで評価するのではなく、相手の話を聴く時間や、ケアをする能力そのものを評価するシステムへの転換が必要です。
「機械化の根底には、人間が互いのために何をしているのかという理解の乏しさがある」と述べる教授は、連結労働を縮小・自動化し続けることは、社会にとって大きな代償を払うことになると強く警告しています。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ ギグ・エコノミー(Gig Economy)
特定の企業に雇用されず、インターネット上のプラットフォームを介して単発の仕事を請け負う働き方のこと。韓国でも出前配送(ペダル)や家事代行サービスなどでこの形態が急増しており、労働者の権利保護が社会問題になっています。
■ ヒューマンドラマ(휴먼 드라마)
韓国では、恋愛中心ではなく家族愛、師弟愛、隣人同士の絆などを描いた作品を「ヒューマンドラマ」というジャンルで呼びます。記事内にあるように、田舎の美容室や学校を舞台にしたバラエティ番組が人気なのも、この「連結労働」による感動を視聴者が求めている証拠といえます。
私は『財閥家の末息子』のような、ドロドロした人間関係や複雑な心理戦があるドラマが大好きなんです。でも、それってやっぱり「人間」が演じて、その感情が伝わってくるからこそ面白いんですよね。もし将来、ドラマの脚本も演技も全部AIになったら、今のような感動は味わえない気がして少し怖くなりました。皆さんは、自分の悩み相談をAIにするのと、不器用でも一生懸命聞いてくれる人間にするの、どっちを選びたいですか?





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