ロマンスファンが最後に選ぶ「ドルドルノ」という言葉を生んだウェブ小説『彼女が公爵邸に行った理由』のノア。そのルーツには、ジェイン・オースティンの名作『高慢と偏見』に登場する伝説的な男性像がありました。
■ ロマンスファンを虜にする「ドルドルノ」とノア・ウィンナイトの魅力
韓国のウェブ小説やウェブ漫画界隈で「ドルドルノ」という言葉が注目を集めています。これは「回りに回って結局はノア(돌고 돌아 다시 노아)」というフレーズの略語です。ここで指している「ノア」とは、ミルチャ作家による人気ウェブ小説『彼女が公爵邸に行った理由』の男性主人公、ノア・ボルステア・ウィンナイトのことです。
この作品は2016年の単行本出版を皮切りに、ウェブ漫画、ゲーム、さらにはアニメ化まで果たした巨大なIP(知的財産)です。多くのロマンス・ファンタジー作品を読み漁った読者たちが、最終的に「最高の男性主人公はやっぱりノアだ」と戻ってくる現象からこの言葉が生まれました。ノアはいわゆる「策略家タイプ」の主人公で、誰に対しても平等に冷徹な微笑みを浮かべますが、ヒロインにだけは限りなく甘く、温かい姿を見せます。この「ヒロイン限定の優しさ」こそが、ロマンス作品における永遠の黄金律となっています。
■ 時代を超えて受け継がれる「ミスター・ダアシー」の系譜
こうした魅力的な男性主人公のルーツを辿ると、ジェイン・オースティンの古典名作『高慢と偏見』に登場するフィッツウィリアム・ダアシー(ミスター・ダアシー)に行き着きます。現代のロマンティック・コメディや韓国の「イルイルドラマ(平日の毎日放送される連続ドラマ)」に至るまで、その構造の多くはオースティンが発明した形式に支配されているといっても過言ではありません。
典型的なパターンとして、ヒロインは明るく勇敢で、家族のために働かなければならない境遇にあります。一方で男性主人公は、莫大な富を持つ財閥の御曹司などで、頭脳明晰ですが冷淡で傲慢な性格として描かれます。最初は衝突し合う二人ですが、やがて男性側が先に恋に落ち、積極的な攻勢を経てハッピーエンドへと向かいます。こうした予測可能な展開が長年愛され続ける理由は、読者が「この人こそが主人公だ」と確信できるキャラクターの造形にあります。
■ 映像化によって増幅される「ときめき」の瞬間
『高慢と偏見』は原作小説以上に、映画やドラマを通じて多くのファンに愛されてきました。特に1995年のBBCドラマ版でコリン・ファース(콜린 퍼스)が演じたダアシーは、世界中に「オースティン・ウイルス」を広めるきっかけとなりました。劇中で彼が濡れた白いシャツ姿で湖から現れるシーンは、原作にはない演出ですが、映像ならではの「惹きつけられるポイント」として伝説的な場面となっています。
また、2006年の映画版(邦題:『プライドと偏見』)でも、現代のSNSで繰り返し話題になる名シーンがあります。それはダアシーがキーラ・ナイトレイ(키이라 나이틀리)演じるエリザベスを馬車へとエスコートした直後の場面です。彼女の手を離した瞬間、カメラはダアシーの「手」をクローズアップします。彼は無意識のうちに、握っていた手のひらを一度強く握り直し、開きます。このわずかな手の動きが、言葉以上に彼の動揺と恋心を雄弁に語っており、動画プラットフォームのショート動画などでも「最高にときめく瞬間」として今なお拡散され続けています。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ イルイルドラマ(日日ドラマ)
韓国で月曜日から金曜日の夕方や朝に毎日放送される連続ドラマのことです。家族の絆や復讐、出生の秘密などが盛り込まれることが多く、固定ファンが多いのが特徴です。本作で触れられた「キャンディ型ヒロイン(貧しくても明るく前向き)」と「冷徹な御曹司」の組み合わせは、このジャンルの王道設定として定着しています。
■ IP(知的財産)
Intellectual Propertyの略で、キャラクターやストーリーなどの著作物のことです。韓国では人気ウェブ小説がウェブ漫画(Webtoon)になり、さらにドラマやアニメ、ゲームへと展開される「ワンソース・マルチユース」が非常に活発で、強力なIPが世界的なヒットを生んでいます。
私はミステリーや財閥ドロドロ系が大好きなんですが、そんな私でも『彼女が公爵邸に行った理由』のノアみたいな「完璧な策略家が私にだけ甘い」っていう設定には抗えないんですよね。1995年版のコリン・ファースの伝説のシーンもそうですが、結局私たちは「無意識に漏れ出る恋心」に一番弱いんだと思うんです。皆さんは、ノアのような「限定的な優しさ」を持つキャラと、最初から全力で尽くしてくれるキャラ、どっちが好みですか?





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