韓国旅行の楽しみといえば、これまではグルメやショッピング、そしてドラマのロケ地巡りが定番でした。しかし今、目の肥えた海外ファンの間で「韓国に行ったら絶対に外せない」と熱い視線を浴びている場所があります。それが、韓国の「美容室(K-美容室)」です。
かつては一部の熱心なファンの楽しみだった韓国でのヘアカットやカラーが、今や欧米からの観光客をも巻き込んだ巨大なトレンドへと進化しています。最新のニュースから、その背景にある「K-ビューティー」の勢いと、驚きの実態を紐解いていきましょう。
■「予約の9割が外国人」も!観光コースの主役に躍り出たK-美容室
ソウルを代表する学生街であり、トレンドの発信地でもある弘大(ホンデ)入口駅からほど近い「T美容室」。ここでの予約方法は、韓国で一般的な「ネイバー(韓国最大のポータルサイト)」や「カカオトーク」ではありません。世界中で使われている「WhatsApp(ワッツアップ)」や、Instagramのダイレクトメッセージ(DM)がメインです。
この美容室の担当者は「予約客のほとんどが外国人。韓国のローカルなスタイルを体験したいという旅行客をターゲットに、SNSを通じて海外コミュニティに直接マーケティングを行っている」と語ります。
実際、数字にもその勢いが表れています。ソウル観光財団のデータによると、ソウルを訪れた外国人観光客のうち、美容室やマッサージなどの美容サービスを利用した人の割合は、2019年の3.6%から昨年には18.5%へと、わずか6年で約5倍に跳ね上がりました。今や観光客の5人に1人が「韓国の美」を直接体験しにサロンへ足を運んでいる計算になります。
■「ロンドンなら3万円、ソウルなら3千円」圧倒的なコスパと技術力
なぜここまで「K-美容室」が支持されるのでしょうか。最大の理由は、世界最高峰とも言われる「コストパフォーマンス」にあります。
ニューヨークやロサンゼルス、ロンドンといった欧米の大都市では、カットに基本的なトリートメントを加えるだけで100〜200ドル(約1万5千円〜3万円)かかることも珍しくありません。ここにチップ(欧米では技術料金の15〜20%程度が相場)が加われば、支払額はさらに膨らみます。
対してソウルでは、トレンドを押さえたカットが3万ウォン(約3,300円)前後から。さらに、韓国ならではの「プレミアム頭皮ケア(ヘッドスパ)」を含めた贅沢なパッケージでも10万〜15万ウォン(約1万1千円〜1万6千円)程度で受けられます。
韓国では「ドゥピケオ(頭皮ケア)」という言葉が日常的に使われるほど、髪の土台となる頭皮の健康が重視されています。この丁寧なスカルプケアの技術が、リラックスと美しさを同時に求める観光客の心を掴んでいるのです。
■「推しのスタイル」から「本格メディカル」まで進化するサービス
かつては「K-POPアイドルのような髪型にしてほしい」というリクエストが中心でしたが、最近ではそのサービス内容がより高度に、そして多様化しています。
例えば、美容皮膚科での施術とヘアスタイリングを組み合わせた「1泊2日パッケージ」まで登場しました。空港でのピックアップから始まり、肌に弾力を与えるリフティング施術として有名な「ウルセラ(超音波を使ったリフトアップ治療)」を受けた後、K-POPスタイルのヘアセットを行い、聖水洞(ソンスドン/今最もホットなカフェが集まるエリア)を散策するという豪華な内容です。
2名基準で約330万ウォン(約36万円)という高価格帯の商品がある一方で、旅行予約プラットフォーム「Klook(クルック)」などでは、7,700円程度から気軽に体験できるメニューも人気を博しています。
■言葉の壁を越える「SNS世代の美容師」たち
この需要を背景に、美容業界の採用基準も大きく変わっています。ソウルの江南(カンナム)や清潭洞(チョンダムドン/高級ブランド店や芸能事務所が集まるセレブエリア)のサロンでは、英語や日本語が堪能な美容師の争奪戦が起きています。
中には「英語ができなくても、店が家庭教師(英会話レッスン)の費用を支援する」という条件で求人を出す店もあるほどです。また、美容師個人がInstagramで数万人のフォロワーを持ち、DMを通じて直接世界中から予約を受けるスタイルが定着しており、セルフブランディング能力が技術と同じくらい重要視されています。
韓国の代表的な美容室チェーン「ジュノヘア(준오헤어)」が、世界最大の投資運用会社ブラックストーンに買収されたニュースも、K-美容業界が単なる国内産業ではなく、グローバルな成長産業として認められた証拠と言えるでしょう。
韓国の美容室は、今や単に髪を切る場所ではなく、最先端のトレンドと極上のサービスを体験できる「エンターテインメント施設」へと進化を遂げています。
皆さんは、韓国の美容室で「これだけはやってみたい!」という憧れのスタイルやメニューはありますか?「推し」と同じ担当者に切ってもらいたい、あのドラマのヒロインのような髪色にしたい……そんな皆さんの夢や、実際に韓国のサロンを訪れた際のエピソードがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね!
出典:https://www.hankyung.com/article/202603036106i
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