かつて、K-POP界を席巻した伝説のガールズグループ、Wonder Girls(ワンダーガールズ、2007年にデビューしたJYPエンターテインメントを代表するグループ)のメンバーとして、韓国中で知らない人はいないほどの人気を誇ったアン・ソヒ(안소희)。
「Omona(オモナ)!」というフレーズとともに見せた愛くるしいウィンクで「国民の妹(韓国で全世代から親しまれ、愛される女性スターに贈られる特別な称号)」と呼ばれた彼女も、今や30代を迎え、一人の「俳優」として確固たるキャリアを築いています。そんなアン・ソヒが、最新作である演劇『あの時も今日2:花靴(コッシン)』を通じて見せた驚異的な成長と、舞台にかける情熱が韓国で大きな話題となっています。
単なるアイドルの転身にとどまらない、彼女の「役者としての現在地」を紐解いてみましょう。
■ 4つの時代、4つの役柄。方言と格闘した「400年の物語」
今回、アン・ソヒが挑んだ舞台『あの時も今日2:花靴』は、1590年代の壬辰倭乱(文禄・慶長の役)から現代の2020年代まで、異なる4つの時代を背景にしたオムニバス形式の女性二人劇です。
彼女はこの作品で、なんと一人で4つのキャラクターを演じ分けました。
1. 1590年代:日本軍の将軍を抱えて川に飛び込んだとされる実在の義妓、論介(ノンゲ)
2. 1950年代:朝鮮戦争直後、姉に「花靴(コッシン)」をねだる無邪気な妹
3. 1970年代:賃金未払いに抗議して追われる身となった女工
4. 2020年代:母親とぶつかり合う妊娠中の娘
特筆すべきは、それぞれの時代に合わせて「慶尚道(キョンサンド)」「忠清道(チュンチョンド)」「全羅道(チョルラド)」といった、韓国各地の全く異なる方言(サトゥリ)を使いこなさなければならなかった点です。
韓国では、俳優が方言を完璧に操れるかどうかは演技力を測る大きな基準の一つ。ソウル出身のアン・ソヒにとって、これは大きな壁でした。しかし、演出家の「キャラクターの差を意識しすぎるより、相手役との関係性に集中しなさい」という言葉に救われたと言います。彼女は声のトーンや発声の仕方をキャラクターごとに細かく設計し、観客をその時代の空気感へと引き込みました。
■ 初の妊婦役に挑戦。ディテールに宿る「俳優のこだわり」
第4場の現代劇では、アン・ソヒにとって初となる「妊婦役」にも挑戦しました。34歳という年齢を迎え、周囲の友人が出産を経験し始めたことも大きな助けになったそうです。
「お腹が大きくなると、座る時に自然と足が開いたり、歩く時に少し足を引きずったりするんです。胎動がなくても、無意識にお腹に手が行く。そんな細かい動きを逃さないように意識しました」と語る彼女の言葉からは、徹底した観察眼とプロ意識がうかがえます。
また、舞台俳優としての基礎を固めた過去の作品、演劇『クローザー(2004年に映画化もされた世界的人気戯曲)』や『花の声(チャン・ジン監督によるコメディ演劇)』での経験も、彼女の血肉となっています。特に『花の声』では、声を張り上げすぎて喉を枯らし、声帯を痛めるほどの過酷な練習を乗り越えた経験が、今の彼女の「強い発声」を支える原動力となりました。
かつて数万人のファンの前でスポットライトを浴びたアイドル時代とは異なり、演劇の舞台は観客の息遣いが直接伝わる空間です。アン・ソヒはそこで「集団知性の力」を感じたと言います。共演者やスタッフとアイデアを出し合い、一つの物語を作り上げる過程こそが、今の彼女にとって何よりの癒やしであり、成長の糧なのです。
■ 「国民の妹」から「信頼される俳優」へ。30代の新たな出発
アン・ソヒはインタビューの中で、舞台に立ち続ける理由を「健康的な責任感」という言葉で表現しました。
「かつての自分を愛してくれた方々の期待に応えたいという気持ち、そして新しい自分を見せたいという欲求。そのバランスが今の私のエネルギーになっています」
韓国芸能界において、アイドルから俳優への転身は決して珍しいことではありません。しかし、華やかなドラマや映画の世界だけでなく、基礎体力が問われる「演劇」の舞台に自ら飛び込み、泥臭く実力を磨き続けるアン・ソヒの姿勢は、業界内でも高く評価されています。
30代になり、顔つきにはかつての面影を残しつつも、その瞳には経験に裏打ちされた力強さが宿っています。「もっとたくさんの舞台に立ちたい」と目を輝かせる彼女が次に履く「花靴」は、一体どんな景色を見せてくれるのでしょうか。
かつて私たちの心をときめかせた「国民の妹」は、今、一歩ずつ着実に、代わりのきかない「実力派俳優」への道を歩んでいます。
皆さんは、アイドル時代の弾けるようなアン・ソヒと、今の落ち着いた深みのある女優アン・ソヒ、どちらの姿に惹かれますか?彼女に演じてほしい役柄や、これまでの出演作で印象に残っているシーンがあれば、ぜひコメントで教えてください!
出典:http://www.joynews24.com/view/1942798
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