イ・ソジン27年ぶり連劇初舞台 チョ・ソンハ&シム・ウンギョンとチェーホフの傑作で激突

韓国演劇界に春の話題が集中している。同じロシアの巨匠アントン・チェーホフの傑作『ワーニャおじさん』が、この5月、LGアートセンターと国立劇団から相次いで上演されるからだ。しかも両作品のキャスティングが豪華で、演劇ファンの間では既に期待値が高まっている。

■データドラマから演劇へ イ・ソジンの27年ぶりの舞台出演

最大の注目は、何といってもイ・ソジン(이서진)の舞台出演だ。デビュー27年間、テレビドラマと映画、そしてバラエティ番組で活躍してきた彼が、ついに演劇の舞台に立つ。この決断だけで大きな話題となるのも無理がない。

日本のドラマやバラエティで見せてくれる独特のツンデレキャラクター、あの何ともいえない演技の味わいが、人生の虚しさを冷笑で耐え忍ぶ「ワーニャ」というキャラクターとどう化学反応を起こすのか。演劇ファンのみならず、韓流ドラマファンにとっても見逃せない舞台となりそうだ。

イ・ソジンと舞台を共にするのがコ・アソン(고아성)。彼女はデビュー20年にして初めての連劇出演となる。主人公ワーニャの姪であり、義父への献身的な人生を歩んできたソーニャを演じる。苦難に耐える強い心を持つ女性という役どころは、コ・アソンのイメージと完全に合致している。

■国立劇団版は『バニャおじさん』で韓国化 チョ・ソンハシム・ウンギョンの実力派コンビ

一方、国立劇団版は題名から大胆な変更を加えている。『バニャおじさん』という韓国式の名前と呼び方により、19世紀のロシア田舎邸宅は2026年のソウル郊外へと舞台が移る。登場人物の名前も「パク・イボ」「ソ・ウンヒ」といった韓国名に変更されており、古典作品の現代化という試みが興味深い。

主役を務めるチョ・ソンハ(조성하)は、平生家族のために身を粉にして働きながらも、やがて「裏部屋の老いぼれ」扱いされる現代の中年男性像を体現する。人生の半ばで自分の人生の無意味さに気づく、そうした複雑な感情を演じることになる。

シム・ウンギョン(심은경)は日本と韓国を行き来しながら、深い演技の内功を磨いてきた実力派女優だ。彼女の舞台での表現力がこの作品にどんな奥行きをもたらすか、これも大きな見どころである。

■なぜ『ワーニャおじさん』か チェーホフが示す人間の本質

そもそも『ワーニャおじさん』とはどんな作品なのか。1899年にモスクワ芸術劇場で初演されたこの作品は、ロシア文学の黄金期を締めくくった傑作として知られている。

物語は一見シンプルだ。田舎の領地を管理し、亡き姉の娘ソーニャとともに、義父である大学教授セレブリャコフのために人生を捧げてきた47歳の男・ワーニャ。その人生に亀裂が生じる。教授が隠居後、若く美しい新しい妻を連れて領地に戻ってきたのだ。

それまで心から尊敬していた教授が、実は無能で張りぼての知識人に過ぎないことに気づく。自分の青春を否定された絶望感、人生全体の詐欺性に気づいた時の怒りと虚無感。さらに教授は領地を売却して都市へ移ることまで宣言する。ワーニャの内面的な嵐が静かに、だが激しく巻き起こるのだ。

興味深いのは、チェーホフ自身がこの作品を「喜劇」と名づけたにもかかわらず、初演の演出家スタニスラフスキーが「悲劇」として再解釈したという歴史だ。この解釈の衝突は、今なお演劇界における重要な議論となっている。

チェーホフが意図した喜劇性は、登場人物たちが置かれた状況の不条理から生まれる。殺したいほど嫌いな相手に銃を向けるが、外してしまうワーニャの不器用さ。高潔であるべき教授が痛風で文句を言う様子には、思わず吹き出してしまう。だが、その笑いの背後に隠された人間の本質的な悲しみ——これこそが、人生の両面を映し出しているのだ。

■演出家の視点が作品の魅力を左右する

LGアートセンター版の演出を担当するのは、共同創作集団「ヤンソンプロジェクト」のソン・サンギュ(손상규)。舞台美術の豪華さより、テキストの本質、俳優の身体性、人物関係に焦点を当ててきた彼が、イ・ソジンとコ・アソンという二人の俳優の素の色合いをいかに引き出すかが、この舞台の鍵となるだろう。

国立劇団版の脚本と演出を手掛けるチョ・グァンファ(조광화)は、キャラクターを極限の状況へ追い詰める演出スタイルで知られている。原作の正統性を保ちながらも、混乱した時代相と現代的感覚を加え、消えゆく人間の欲望と虚像を表象する。同時に、人間関係の微妙さを深掘りし、人生のペーソス(悲哀)を漂わせるという。韓国社会の分裂と孤独が、グロテスクでありながらも希望を語るボードビル的な作品として生まれ変わるという触れ込みだ。

5月7日開幕のLGアートセンター版『ワーニャ叔父さん』と、5月22日開幕の国立劇団版『バニャおじさん』。同じテキストから生まれた二つの解釈が、春の韓国演劇界にどんな波紋を広げるのか。演劇ファンはもちろん、二人の俳優のファンも注視する価値のある舞台対決となりそうだ。

出典:https://biz.heraldcorp.com/article/10679820?ref=naver

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