2026年4月9日、BTSの世界ツアーの幕が開く場所は、韓国の首都ソウルではなく、高陽(コヤン)という都市だ。全世界34都市を回る大規模ワールドツアーの出発点として選ばれたこの決定は、単なるコンサート会場の選定以上の意味を持っている。実は、この背景には高陽市が長年かけて築き上げた「K-POPコンサートの聖地」としての地位と、綿密な戦略的計画があるのだ。
■BTSが高陽を選んだ理由
高陽市のイ・ドンファン市長がラジオ番組で明かした話によると、昨年BTSのメンバー、ジェイホープ(제이홉)とジン(진)の単独コンサートに13万人以上が高陽を訪れたという。この数字は偶然ではなく、高陽市が積み重ねてきた「コンサート都市」としての信頼の証だ。
BTSのようなグローバルスターが公演地を決める際、単に有名だからという理由では選ばない。安全管理、交通アクセス、施設の質、スタッフの対応能力など、あらゆる要素を厳密にチェックする。特にファン数が多いアーティストほど、こうした条件は徹底的に検証される。高陽市がBTS世界ツアーの出発地として選ばれたというのは、これらすべての項目で高い評価を獲得したということを意味している。
■反射的な利益ではない、戦略的な成功
興味深いのは、高陽市が「偶然の幸運」を手にしたのではなく、むしろ計画的にこの機会を創出したという点だ。市長は「反射利益ではなく、準備された者だけがチャンスをつかむ」とコメントしている。
実は、高陽市は20年以上前から、コンサート事業を将来の戦略産業として位置づけていた。従来は体育施設としてのみ利用されていた高陽総合運動場(収容人数約4万人)を、大規模コンサート会場へと機能転換させたのも、この長期ビジョンがあったからこそ。単なる施設の活用ではなく、運営システムの革新、行政支援体制の構築という地道な準備があってこそ、今日の成功がある。
さらに高陽市は公演ごとにきめ細かいサポートを実施している。昨年のジェイホープ、ジンのコンサート時には、イルサン湖公園などの市内各所にフォトゾーンや造形物を設置し、まるで街全体がお祭りのような雰囲気を作り出した。企画会社との緊密な連携、安全と交通対策への注力、観客も出演者も満足できるプレミアム体験の提供——これらすべてが「高陽コン(コンサート)」というブランドを確立させたのである。
■経済的波及効果と未来への期待
BTS世界ツアーの発表直後、高陽市周辺の宿泊施設はすぐに満室となったという。加えて、演歌シンガーのイム・ヨンウン(임영웅)も高陽総合運動場でのコンサート開催が予定されており、これらのイベントが生み出す経済的効果は計り知れない。
大手アーティストのコンサート開催は、単なる音楽イベントではなく、宿泊、飲食、交通、土産物販売など、周辺産業全体に大きな経済波及効果をもたらす。高陽市がこうした機会を次々と獲得できるようになったのは、「コンサート開催に適した都市」というブランドが確立されたからに他ならない。
高陽総合運動場は、仁川国際空港や金浦空港へのアクセスが良好で、GTXや地下鉄3号線などの充実した交通網を備えている。つまり、国内外から訪れるファンにとって、非常に利便性の高い立地なのだ。このインフラの充実も、大型公演の開催地として選ばれ続ける理由となっている。
■日本の韓流ファンにとっての意味
日本の韓流ファンにとって、このニュースは特に注視する価値がある。BTS世界ツアーが高陽からスタートするということは、日本のファンにとっても大きなチャンスになる可能性がある。もし日本公演が予定されるなら、高陽での公演の成功が日本での公演クオリティ向上につながる可能性も高い。
また、高陽市が「K-POPコンサートの最適地」として国際的に認知されるようになったことは、今後、日本のファンが高陽でのコンサート開催を期待しやすくなったということでもある。ジェイホープやジンのコンサート時点で既に13万人が高陽に足を運んだという事実は、この都市がいかに魅力的なコンサート体験を提供しているかを物語っている。
高陽市の戦略的成功は、単なる地域経済の活性化に留まらない。K-POPというグローバルコンテンツを通じて、韓国の地方都市が国際舞台で存在感を示す事例として、今後の韓国観光の新しいモデルとなっていくだろう。BTS世界ツアーの出発地として選ばれた高陽から、私たちは目を離せない。
出典:https://radio.ytn.co.kr/program/?f=2&id=107515&s_mcd=0433&s_hcd=01
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