俳優チュ・ホソン(주호성)が、80代の退職した家長を演じる舞台『引越し』に出演します。70〜80年代の象徴である象印の炊飯器を巡る夫婦の攻防や、亡き母への思慕を、自身の人生と重ね合わせて熱演しています。
■ 80代の俳優チュ・ホソンが自身の人生を投影する舞台
2023年「第1回清州創作戯曲公募展」で優秀賞を受賞した、ユン・ミヒョン作、チャン・ギョンミン演出の舞台『引越し』(ステュディオ・ブルー)が、韓国演劇界で注目を集めています。主演を務めるのは、歌手で女優のチャン・ナラ(장나라)の父親としても知られ、まもなく傘寿(80歳)を迎えるベテラン俳優のチュ・ホソン(주호성)です。
本作は、40代から80代までを一人で演じ分けるチュ・ホソンの圧倒的な演技力が光る作品です。チュ・ホソンは正確な発声と、長年の舞台経験で培われた独特の語り口で、観客を物語の世界へと引き込みます。彼は「この作品は自分自身の自伝的な物語のように感じられ、亡くなった母の姿が重なって涙が出てしまうこともある。たとえ明日死ぬとしても、今この作品が自分の代表作になるよう最善を尽くしている」と語るほど、並々ならぬ情熱を傾けています。
■ 象印の炊飯器が象徴する「あの頃」の記憶
物語の舞台は、70年代の2階建ての洋館を背景にしたノスタルジックな空間です。80代の家長である主人公の回想から始まり、妻や息子、そして幼い頃の母親との記憶が重層的に描かれます。
劇中では、70〜80年代の韓国の家庭で富の象徴でもあった「象印(象マーク)の炊飯器」や、木綿の布団、木のさじといった生活用品が重要な小道具として登場します。長年連れ添った妻(キム・スニ)が「もうこれ以上は一緒に住めない」と言い出し、炊飯器を抱えて1階へ「引越し」を始めるシーンでは、夫婦の心理的な駆け引きがユーモラスに描かれ、観客の笑いを誘います。
しかし、その笑いの裏には、70年代の産業化時代を走り抜け、80年代の民主化やソウルオリンピックを経て家族のために献身してきた家長の哀愁が漂っています。孤独を感じる彼を最後に癒やすのは、現実の家族ではなく、記憶の中の母親です。
■ 100歳時代における「死」という名の引越し
物語の終盤、主人公が記憶の中の母親と向き合い「お母さん、私ももう引越しをする時が来たようです」と呟くシーンは、作品のクライマックスであり、死を目前にした人間の切実な告白となっています。
演出のチャン・ギョンミンは、記憶の断片が散らばらないよう、炊飯器で炊いたばかりのご飯のように淡白で味わい深い演出を施しました。本作は、定年退職後に80代を迎えた一人の男の人生を90分間に凝縮したタイムトラベルのような構成となっており、観客に「人生の第4幕」や家族の絆について深く問いかけます。
出典:http://www.dailysmart.co.kr/news/articleView.html?idxno=125197
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 象印の炊飯器(コッキリ・パプソッ)
1970年代から80年代にかけて、韓国では日本製の「象印(コッキリ)の炊飯器」が主婦たちの間で絶大な人気を誇るステータスシンボルでした。当時の韓国製よりも性能が良く、日本旅行のお土産の定番だったそうです。この記事では、高度経済成長期を象徴するアイテムとして使われています。
■ 儒教的な母子関係
韓国社会では、息子にとって母親は絶対的な愛情の対象であり、大人になっても「母恋し」という感情を強く持つ傾向があります。特に今の80代以上の世代にとって、苦労して自分を育ててくれた母親への思慕(サモゴク)は、人生の最後に立ち返る精神的な拠り所となることが多いです。
お父様であるチュ・ホソンさんの舞台、とっても深い内容ですよね。私は『財閥家の末息子』のように、時代の変遷を背景にした重厚な物語が大好きなので、この「象印の炊飯器」で時代背景を見せる演出にはすごく惹かれます。皆さんは、自分の人生の代表作だと言えるような大切な思い出の品、何かありますか?それとも、これから作りたい派ですか?





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