百済の蓋鹵王が夢で見た女性を追い求め自滅していく悲劇を描いた大作ミュージカルです。2026年1月の国立劇場公演から、4月のシャロット劇場公演を経て、演出や物語の説得力がさらに強化されました。
■ 歴史と説話が融合した韓国的ミュージカルの誕生
韓国を代表する作家チェ・イノ(최인호)の小説を原作としたミュージカル『夢遊桃源(モンユドウォン)』が、再整備を経て完成度を高めています。本作は、百済(4世紀から7世紀にかけて朝鮮半島南西部に存在した国)の第21代国王である蓋鹵王(ケロワン)こと余慶(ヨギョン)を主人公に、彼が夢で見た理想の女性を探し求め、王妃に迎えようとする執着と狂気を描いた物語です。
余慶役にはミン・ウヒョク(민우혁)とキム・ジュテク(김주택)がキャスティングされ、権力者の孤独と歪んだ欲望を熱演しています。物語は、余慶が隠遁生活を送る木支(モクチ)部族の居住地で、族長であるドミの妻アランに出会うことから大きく動き出します。アランこそが夢に現れた女性だと確信した余慶は、彼女を手に入れるために部族全体を弾圧し、農地を奪い、人々を路頭に迷わせる暴君へと変貌していきます。
■ 二つの劇場の特性を活かした演出の進化
本作は2026年1月27日から2月22日まで国立劇場(ソウルにある韓国を代表する劇場)の日の出劇場で1次公演が行われました。ここでは水墨画のような映像美や、国楽(韓国伝統音楽)とロック、脱(タル)を被った伝統舞踊とコンテンポラリーダンスを融合させた群舞など、視覚的・聴覚的に「韓国的ミュージカル」としてのアイデンティティを提示しました。
その後、約40日間の準備期間を経て、4月11日から5月10日までミュージカル専用劇場であるシャロット劇場(ソウルにある韓国初のミュージカル専用劇場)で2次公演が開幕しました。この会場変更が作品に大きな変化をもたらしました。劇場の構造を活かし、映像マッピングや舞台装置を再構築したことで、キャラクターの感情線がより鮮明に伝わるようになったと評価されています。特に、余慶がなぜアランに固執するのかという心理描写や、部族への所有欲がエスカレートしていく過程の説得力が強化されました。
■ 理想郷「桃源」が問いかける真の意味
物語の核心となる「桃源(トウォン)」とは、東アジアの文学において単なる場所ではなく、秩序が保たれた理想の状態を指します。劇中では、王権強化を焦る余慶が追い求めた「独占的な理想郷」と、ドミやアラン、そして部族の人々が困難の中で分かち合う「共生する場所」が対比されています。
ドミ役にはイ・チュンジュ(이충주)とキム・ソンシク(김성식)、アラン役にはハ・ユンジュ(하윤주)とユリア(유리아)が扮し、暴力的な力に屈することなく自分たちの尊厳を守ろうとする姿を演じています。本作は、個人のロマンスという枠組みを超え、権力と共同体、占有と共有という相反する二つの世界が衝突する様子を、豪華な舞台装置と音楽で表現しています。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 国楽(グガク)
韓国に古くから伝わる伝統音楽の総称です。最近の韓国ミュージカルでは、この伝統的な楽器や歌唱法を現代のロックやポップスと融合させ、独自のスタイルを築く作品が増えています。
■ 脱(タル)
韓国の伝統的な仮面のことです。それを用いた踊りは「タルチュム」と呼ばれ、かつては庶民が支配階級を風刺したり、豊作を祈願したりするために行われていました。舞台芸術として非常に高い美学を持っています。
歴史ドラマ好きの私としては、実在した蓋鹵王をモデルにしているところがすごく興味深いです!特に『財閥家の末息子』みたいな権力争いの緊張感がある作品が好きなので、王が自分の欲望で破滅していく過程は、恋愛要素があっても最後まで目が離せなそう。豪華な映像美も気になりますね。皆さんは、歴史モノを観るときは「切ないロマンス派」ですか?それとも「激しい権力争い派」ですか?





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