「推しのコンサートに行きたい!」そんなファンの純粋な気持ちを逆手に取った、大規模な不法転売の実態が明らかになりました。
韓国で「チケッティング(チケット予約)」といえば、まさに戦場です。秒単位の争いになることから、血を流すような激しい争奪戦という意味で「ピケッティング(血のチケッティング)」という造語があるほど。しかし、私たちが必死に画面をクリックしている裏で、信じられないほど組織的な「闇」が動いていました。
BTS(방탄소년단)やBLACKPINK(블랙핑크)、G-DRAGON(지드래곤/K-POP界のレジェンドでありBIGBANGのリーダー)といった超人気アーティストのチケットを、マクロプログラムを使って大量に買い占め、不当な利益を得ていたグループが摘発されたのです。その被害額と巧妙な手口は、これまでの転売の常識をはるかに超えるものでした。
■ 1枚のチケットが「25倍」の価格に。71億ウォンを稼いだ組織的犯行
京畿(キョンギ)北部警察庁サイバー捜査隊は先日、業務妨害および公演法違反などの疑いで、28歳の販売総責任者A(A씨)を含む計16名を検挙し、そのうち主犯格の3名を拘束したと発表しました。
彼らが2022年10月から今年1月までの間に、不法転売で稼ぎ出した金額は、なんと約71億ウォン(約8億円)。一介の転売ヤーのレベルではなく、もはや一つの「企業」のような組織力で動いていました。
彼らがターゲットにしたのは、世界的に人気のあるK-POPアイドルたちの公演です。正規の価格が約20万ウォン(約2万2千円)のチケットを、なんと最大25倍にあたる500万ウォン(約56万円)で転売していたといいます。これでは、一般のファンが手を出せるはずもありません。
しかも、彼らは個人に売るだけでなく、海外の大型転売ブローカーにも大量に卸していました。日本からも「どうしても行きたいから」とSNSや代行サイトを通じて高いチケットを買ってしまったファンがいるかもしれませんが、その出所はこうした犯罪組織だった可能性があるのです。
■ 巧妙な手口:1,300人の「闇コミュニティ」とマクロの力
なぜ、彼らだけがこれほど大量のチケットを確保できたのでしょうか?その裏には、ITを駆使した巧妙な手口がありました。
まず、彼らは「マクロプログラム」を独自に開発していました。これは、予約サイトのセキュリティを無効化し、人間では不可能な速さで座席を選択し、決済まで完了させてしまう自動プログラムです。これにより、一人のメンバーが最大126枚ものプラチナチケットを独占していたといいます。
さらに驚くべきは、その組織化された運営体制です。主犯のAはSNS上に約1,309人が参加する秘密の団体チャットルームを開設。そこで共犯者を募り、以下の役割を分担させていました。
1. 開発総責任者:予約サイトのセキュリティを突破するマクロプログラムの開発
2. 販売総責任者:取引先の管理や販売業務の統括
3. アカウント調達:ファンクラブの先行予約に必要なIDや、一般予約用のアカウントを大量に買い取る
4. 現場受け取り代行:現地でチケットを直接受け取り、購入者に渡す係
韓国では近年、本人確認を強化するために「現地受領(チケットを郵送せず、会場で身分証を提示して受け取る方式)」が増えていますが、彼らは身分証を偽造したり、現地で受け取るための代行スタッフを雇ったりして、その網をすり抜けていました。
■ 韓国政府も本腰。法改正で「マクロ転売」は刑事罰の対象に
今回の事件がこれほど大きく報じられている背景には、韓国国内でも転売問題が深刻な社会問題となっていることがあります。
韓国には「ファンカフェ(DaumやNAVERなどのポータルサイト内にあるファンコミュニティ)」や、公式ファンクラブによる「先行予約制度」がありますが、転売目的の業者が一般のファンになりすましてファンクラブに入会するケースが後を絶ちません。
これを受けて、韓国では2024年3月から「改正公演法」が施行されました。マクロプログラムを利用してチケットを買い占め、転売する行為が禁止され、違反した場合には1年以下の懲役または1,000万ウォン(約110万円)以下の罰金が科せられるようになっています。今回の摘発は、まさにこの法律を武器に警察が総力を挙げた結果といえるでしょう。
また、韓国の音楽業界全体でも対策が進んでいます。HYBE(ハイブ/BTSらが所属する事務所)やSMエンターテインメント(東方神起やNCTらが所属する事務所)などは、独自のアプリを通じた顔認証システムや、公式のリセール(再販売)プラットフォームの導入を検討するなど、不正転売を根絶するための試行錯誤を続けています。
■ 最後に:推しの笑顔を「正当な価格」で見守るために
「どうしても推しに会いたい」というファンの切実な願いを、犯罪の道具にする行為は決して許されることではありません。私たちが不当な高値でチケットを買わないことも、こうした犯罪組織を撲滅するための大きな一歩になります。
今回の摘発によって、少しでも「本当に公演に行きたいファン」にチケットが行き渡るようになることを願ってやみません。韓国のエンタメがこれからも健全に、そして世界中のファンに平等に愛される文化であってほしいですね。
皆さんは、チケットが取れなくて悔しい思いをした経験はありますか?また、こうした転売問題についてどう感じますか?ぜひコメントで皆さんの声を聞かせてください!
出典:https://www.munhwa.com/article/11574164?ref=naver
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