韓国ドラマやK-POPが世界中を席巻している今、実は「北側」でもネット空間を舞台にしたある異変が起きています。韓国の地上波放送局KBSが報じたニュースによると、北朝鮮が体制宣伝のためにYouTubeやSNSを駆使し、さらには外国人のインフルエンサーまで動員しているというのです。
日本の韓流ファンの皆さんにとって、YouTubeは推しのコンテンツをチェックする欠かせないツールですよね。しかし、同じ動画プラットフォームを北朝鮮がどう利用しているのか、その裏側に迫ります。
■「ピンク・レディー」もYouTubeに?進化する宣伝戦略
北朝鮮のニュースといえば、鮮やかなピンク色の韓服(ハンボク)を着て、力強い口調でニュースを読み上げる女性アンカーを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。彼女の名前はリ・チュニ(리춘히)。北朝鮮の看板アナウンサーとして知られる彼女を、なんとYouTubeで「紹介」する動画が登場しました。
その動画では、彼女を「ピンク・レディー」と呼び、漁師の娘として生まれてから演劇映画大学を経てトップアンカーに上り詰めるまでの半生を詳しく解説しています。一見すると、海外のファンが作ったドキュメンタリーのようにも見えますが、専門家はこれに疑問を投げかけています。
統一部(南北関係を担う韓国の政府機関)の傘下にある統一研究院の研究委員、イ・ジスン(이지순)氏は、「第三国のチャンネルを装いつつ、北朝鮮内部の貴重な映像や最新のドラマ、映画がほぼリアルタイムで提供されている」と指摘します。つまり、政府の協力なしには不可能なコンテンツが、あたかも「独立したチャンネル」のように公開されているのです。
■「北朝鮮の日常」を演じるVlogの登場
数年前から話題になっていたのが、北朝鮮の女性や子供たちによる「Vlog(ブイログ)」形式の動画です。
ウンア(은아)という女性や、ソンア(송아)という少女などが登場し、平壌(ピョンヤン)の豪華なデパートやプール、アイスクリームショップを紹介する動画が相次いで投稿されました。彼女たちは流暢な英語で「北朝鮮の生活はこんなに素晴らしい」とアピールします。
韓国ではアイドルの日常を映したVlog(ビデオブログの略で、日記のような動画形式)が定番ですが、北朝鮮もその流行を模倣しているのです。しかし、これらのアカウントの多くは、Google(グーグル)によって「体制宣伝用であり、規約に違反する」として削除されました。
これに対し、北朝鮮が次に打った手が「外国人インフルエンサー」や「第三国の独立チャンネル」の活用です。自国のアカウントだとバレて削除されるのを防ぐため、外部の人間を介して「客観的で魅力的な北朝鮮」を演出しようとしているのです。
■99.9%がネット遮断…極端な「情報の二重構造」
ここで驚くべきなのは、外部に情報を発信し続ける一方で、北朝鮮の住民自身はインターネットから完全に遮断されているという事実です。
シンガポールのデータ分析機関によると、北朝鮮の人口の99.9%がインターネットに接続できない状態だといいます。世界でネットそのものを禁止している国は、今や北朝鮮だけです。
なぜこれほどまでにネットを恐れるのでしょうか?背景には2010年に中東で起きた「アラブの春(SNSを通じて民主化運動が拡散した現象)」への警戒心があるといいます。情報の拡散が体制を脅かすことを知っているからこそ、住民の目は塞ぎ、外に向けては「理想の国家」を演出し続けるという、極端な二重戦略をとっているのです。
私たちが見ている華やかな「平壌Vlog」は、多くの住民が経験している過酷な現実とはかけ離れた、言わば「作り物」の世界。韓国ドラマで描かれるリアルな社会問題や人間ドラマとは対極にある、演出されたファンタジーと言えるかもしれません。
イ・ジスン(이지순)研究委員は、「動画で描かれる生活水準が実際の北朝鮮のGDP(国内総生産)や経済状況とあまりに乖離しているため、かえって宣伝としての不自然さが際立っている」と分析しています。
韓国エンタメを楽しむ私たちにとって、SNSはアーティストと繋がる温かい場所ですが、北の隣国ではそれが全く別の目的で使われているようです。
演出された「平壌の日常」と、遮断された「真実の生活」。このあまりにも大きなギャップを、皆さんはどう感じましたか?「推し」のVlogを見る目が、明日から少し変わってしまうかもしれませんね。ぜひ皆さんの感想をコメントで教えてください!
出典:https://news.kbs.co.kr/news/pc/view/view.do?ncd=8508365&ref=A





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