かつて「匂いが強い」と敬遠された韓国料理が、今や世界的な癒やしフードに。20年以上にわたり外国人向け料理教室を運営する講師が、ドラマの影響で変化した韓食の地位と、醤油の深い味わいに驚く受講生たちの姿を明かします。
■ 偏見を覆した「発酵」の深い味わい
今から20年ほど前、海外で韓国料理(韓食)を知る人は決して多くありませんでした。たとえ経験があっても「ニンニクの匂いが強く、ただ辛いだけ」というイメージを持つ人が大半だったといいます。当時、日本料理が世界中で「洗練された高級料理」としての地位を確立していたのに対し、韓国料理はまだその魅力が正しく理解されていませんでした。
しかし、長年外国人向けの料理教室を運営してきた専門家によると、最近はその認識が劇的に変化しています。教室を訪れる外国人が最も驚くのは、韓国特有の「発酵」の文化です。テンジャン(韓国の味噌)やカンジャン(醤油)、コチュジャンなど、長い時間をかけて作られる「ジャン(醤)」の深い風味は、最初は不慣れでも、一度味わうとその魅力に虜になる人が多いといいます。
特に興味深いのが、醤油に対する反応です。多くの外国人は、当初はどの醤油も同じものだと考えています。しかし、韓国のスープ用醤油(クッカンジャン)や醸造醤油、そして自家製の醤油を日本の有名な醤油と比較して試食すると、その香りと味の違いに驚愕するといいます。ある受講生は、熟成された自家製醤油を味わい「まるで古いワインのように、時間の香りがする」と表現したほどです。
■ ドラマの食卓が伝える「情」という無形の調味料
韓国料理が世界の人々の心をつかんだ背景には、味だけでなく「情(ジョン)」という韓国独自の情緒が深く関わっています。韓国の食卓は、誰かのためにご飯をよそい、温かいスープをおかわりし、おかずを取り分けてあげる「たくさん食べてほしい」という温かい心で満たされています。
複数の料理を一度に並べて分かち合う「パンチャン(おかず)」の文化は、西洋の個人単位の食事文化とは異なり、非常に共同体的で温かい風景として映ります。ビビンバが多様な具材の調和で一つの味を完成させるように、韓国料理は食卓を囲む人々が共にして初めて完成するものだという認識が広がっています。
こうした魅力が世界に広まった最大の要因は、近年の韓国映画やドラマの世界的ヒットにあります。以前は一つひとつ説明が必要だったメニューが、今では「ドラマで見たあの料理を作ってみたい」と、受講生自らが高い関心を持ってやってくるようになりました。
■ スクリーンから食卓へ、生活に溶け込む韓国の味
ドラマや映画において、料理は単なる小道具ではありません。登場人物の感情や時代背景、人間関係を表現する重要な言語として機能しています。豪華な高級料理よりも、深夜に家族で囲むチゲや、試験が終わった後に友達と食べるトッポギ、雨の日のパジョン(チヂミ)、誕生日のわかめスープといった、素朴な日常の食卓が世界中の視聴者の心を動かしました。
かつては「異国情緒のある食べ物」だった韓国料理は、今やドラマを通じて親しみを感じる存在となり、誰かにとっては「癒やし」や「思い出」の味へと進化しています。韓国旅行から帰国した外国人が、自宅でキムチチゲを恋しく思い、ビビンバを作りながら韓国での時間を思い出すというエピソードは、コンテンツの力が食文化の壁をいかに自然に乗り越えたかを象徴しています。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 情(ジョン)
韓国社会において非常に重要な概念で、他人に対する親愛、絆、思いやりなどを指します。食事の場では、自分のおかずを相手の器に乗せてあげたり、お腹いっぱい食べさせようとしたりする行為にこの「情」がよく表れていると言われます。
■ パンチャン
韓国の食事で主食の他に出される「おかず」のことです。韓国のレストランでは注文しなくても数種類のパンチャンが無料で提供され、おかわり自由なのが一般的です。多様な味を少しずつ、みんなで分かち合って食べるのが韓国流のスタイルです。
私は『財閥家の末息子』みたいなシリアスなドラマが好きなんですが、物語の合間に家族でご飯を食べるシーンがあると、なんだかホッとしちゃうんですよね。皆さんも、ドラマを観ていて無性に「あのおかず美味しそう!」って画面を指さした経験はありませんか?韓国ドラマの影響で、今一番食べてみたい、あるいは作ってみたい韓国料理は何ですか?





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