2026年開催の第27回全州国際映画祭では、故アン・ソンギ(안성기)さんの足跡を辿る特別展を開催。『眠る男』など厳選7作品の上映や、初公開を含む香港・NYの実験映画特集など貴重なプログラムが満載です。
■ 韓国映画の象徴アン・ソンギ(안성기)を振り返る特別展
第27回全州(チョンジュ)国際映画祭(韓国を代表する映画祭の一つで、独立映画や実験映画に強い)は、韓国映像資料院との共同主催により、韓国映画史の決定的な瞬間を共にしてきた故アン・ソンギ(안성기)さんを称える特別展「少し見慣れないアン・ソンギに会う」を開催します。
アン・ソンギ(안성기)さんは1957年に子役としてデビューし、『黄昏の列車』やキム・ギヨン(김기영)監督の『下女』、イム・グォンテク(임권택)監督の『十字売先生』など、数多くの作品に出演しました。一時期、学業のために映画界を離れていましたが、大学卒業後に復帰。軍事独裁政権下の厳しい時代において、韓国映画のルネッサンスを牽引する主役の一人となりました。
今回の特別展では、「国民の俳優」という称号に甘んじることなく、商業映画から独立映画、芸術映画まで幅広く挑戦し続けた彼の多様な面貌を確認できる7作品が上映されます。
主な上映作として、第32回アジア太平洋映画祭で主演男優賞を受賞したペ・チャンホ(배창호)監督の『嬉しい若き日』が選ばれました。本作では、ファン・シニェ(황신혜)さん演じるヒロインと再会し家庭を築くものの、悲劇的な別れを迎える男性を熱演しています。また、イ・ミョンセ(イ・ミョンセ)監督の『男はつらいよ』では、中間管理職の悲哀をユーモラスに描き、チョン・ジヨン(정지영)監督の『折れた矢』では、不当解雇に立ち向かう教授役で第48回百想芸術大賞の男性最優秀演技賞に輝きました。
さらに、日本映画界にとっても重要な一作である小栗康平(오구리 고헤이)監督の『眠る男』も上映されます。これは解放後の韓国人俳優が日本映画に出演した初の事例であり、当時の韓国でも大きな話題となりました。
■ 香港映画の知られざる名作が4Kで蘇る「香港帰還:シネマ+アヴァンギャルド」
アジア初のグローバル現代美術館である「M+(香港にある視覚文化専門の美術館)」との協力により、1960年代から80年代にかけての香港映画界で、当時は注目されなかったものの優れた価値を持つ作品が「M+復元プロジェクト」を通じて4Kバージョンで上映されます。
タン・シュシュエン(탕슈쉬엔)監督の『董夫人』は、未亡人の複雑な心理を視覚的・聴覚的に表現したアートハウス映画の傑作です。また、『欲望の翼』や『楽園の瑕』の編集監督として知られるパトリック・タム(담가밍)監督の『愛殺』は、メロドラマとスリラーを融合させた独特のスタイルが特徴です。
このセクションでは、メリー・スティーヴン(메리 스티븐)監督の2作品も紹介されます。中国人女性の関係を描いた『絹の影』や、自身のアイデンティティを探求したドキュメンタリー『パリンプセスト:名に関する物語』を通じて、アジア女性の視点から描かれる物語を提示します。
また、「私的革命、公的空間:M+アジア・アヴァンギャルド・フィルム・コレクション」では、ハン・オクヒ(한옥희)監督の『無題 77-A』など、各国の戒厳令時代に制作された実験的な映画3編が初公開されます。
■ 1960〜70年代の変革を記録した「ニューヨーク・アンダーグラウンド」
ベトナム反戦運動やLGBT運動、ウォーターゲート事件など、激動の時代を迎えていた1960年代から70年代の米国において、既成概念を打破しようとした「ニューヨーク・アンダーグラウンド・シネマ」の特集も組まれています。
ここでは、アイアンマン役で知られるロバート・ダウニー・ジュニア(로버트 다우니 주니어)の父親であるロバート・ダウニー・シニア(로버트 다우니 시니어)監督に注目。広告業界の風刺を描いた『パトニー・スウォープ』など3作品が上映されます。
また、ドラァグクイーンの姿で登場する前衛的なスタイルで知られるジャック・スミス(잭 스미스)監督や、アヴァンギャルド・アートの象徴的存在であるキャロリー・シュニーマン(캐롤리 슈니먼)監督の作品など、韓国で初めて上映される貴重な12作品がラインナップされています。
出典:http://www.cine21.com/news/view/?mag_id=109859&utm_source=naver&utm_medium=news
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 国民の俳優(グンミン・ベウ)
韓国で老若男女問わず、全世代から深く愛され、尊敬されている俳優に贈られる最高の誉れ言葉です。アン・ソンギ(안성기)さんはその代表格であり、演技力だけでなく誠実な人柄も相まって、韓国映画界の精神的な支柱とされています。
■ 全州国際映画祭(JIFF)
韓国の全羅北道・全州市で毎年開催される、世界的に有名な映画祭です。商業性よりも「自由、独立、コミュニケーション」をスローガンに掲げており、新人監督の登竜門や、作家性の強い実験的な映画を積極的に紹介する場として知られています。
「国民の俳優」と呼ばれるアン・ソンギ(안성기)さんの足跡を辿る今回の特別展、ファンとしては感慨深いですよね。私は実話を元にした『折れた矢』のような重厚な作品が特に好きなんですが、日本との縁が深い『眠る男』を大きなスクリーンで観られるのも貴重な機会だと思います!
皆さんは、過去の名作を振り返る「レトロな特別展」と、刺激的な「実験映画」、どちらに興味がありますか?
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