悪人には法を超える教育を!韓国で話題のダークヒーロー判事イ・ハンヨンが現代社会に放つ警告

「目には目を、歯には歯を」――。そんな言葉がこれほどまでに爽快に響くエンターテインメントが、今の韓国で爆発的な人気を集めています。今回ご紹介するのは、韓国のコラムニストであるイ・ジヨン(이지영)氏が綴った、人気ウェブ小説・ウェブ漫画からドラマ化も期待されている「判事イ・ハンヨン(이한영)」を巡る考察です。

なぜ今、韓国では「冷徹に悪を裁く判事」というキャラクターが、これほどまでに熱狂的に受け入れられているのでしょうか?その背景には、日本人の私たちも共感できる部分と、韓国ならではの切実な社会事情が隠されています。

■「サイダー」のような爽快感を求める視聴者たち

韓国のエンタメ界で近年欠かせないキーワードが「サイダー(사이다)」です。これは、炭酸飲料のサイダーを飲んだ時のように、胸がすくような、あるいは溜まったストレスが一気に解消されるような展開を指します。

「判事イ・ハンヨン」の主人公イ・ハンヨン(이한영)は、まさにこの「サイダー」を象徴するキャラクターです。彼は一度死を経験した後に過去へ戻り、自らの信念に基づいて悪人たちを徹底的に叩きのめす「ダークヒーロー」的な判事として描かれています。

実は、韓国では伝統的に「法は遠く、拳は近い」という言葉があります。これは、法律による解決を待つよりも、自分の力で解決した方が早いという皮肉です。ドラマや漫画の中で、もどかしい現実を飛び越え、悪人に「教育」を施すイ・ハンヨンの姿は、多くのファンにとって最高のヒーロー像となっているのです。

■「綿棒の刑」と揶揄される韓国の司法現実

なぜここまで過激な勧善懲悪が求められるのか。そこには韓国社会が抱える「司法への不信感」という深い悩みがあります。

韓国のニュースを見ていると、驚くほど凄惨な事件に対し、加害者に下される刑期が日本人の感覚からしても「短い」と感じられることが少なくありません。韓国のネットユーザーはこれを、叩いても痛くない「綿棒の刑(솜방망이 처벌=ソムバンマンイ・チョボル)」と皮肉を込めて呼びます。

例えば、飲酒運転による事故や児童虐待、権力者による汚職事件などにおいて、情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)が過度に認められるケースが重なり、市民の間で「法は被害者の味方ではない」という不満が蓄積されてきました。

韓国は儒教的価値観が根強く残る社会であり、本来は「正義」や「道徳」に対して非常に厳しい目を持っています。だからこそ、現実の裁判で納得のいく判決が出ない時、フィクションの世界で「判事イ・ハンヨン」が下す情け容赦ない「警告」に、人々は代理満足(デリマンジョク=他人の行動を通じて満足感を得ること)を感じるのです。

■ウェブトゥーンから生まれる新たな「Kヒーロー」

「判事イ・ハンヨン

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