女高バレー部の怪談からAIとの融合まで!韓国演劇の聖地・大学路を熱くさせる今年最高の新作6選

韓国ドラマや映画を観ていると、俳優たちの圧倒的な演技力に驚かされることがよくありますよね。実はその「演技の源泉」とも言える場所が、ソウルにあるのをご存知でしょうか?

それは、ソウル・鍾路(チョンノ)区にある「大学路(テハンノ)」というエリア。数百もの小劇場がひしめき合う、世界でも類を見ない「演劇の聖地」です。今、この大学路で、韓国の文化芸術界が総力を挙げてバックアップする、今年最も注目すべき新作公演のラインナップが発表され、ファンの間で大きな話題となっています。

今回は、韓国文化芸術委員会(アルコ)が主催する「第18回 公演芸術創作産実(チャンジャッサンシル) 今年の新作」の最終ラインナップをご紹介します。韓国の「今」を切り取った、深みのあるストーリーから最先端のパフォーマンスまで、その魅力に迫ります!

■「創作産実」とは?韓国エンタメの未来が生まれる場所
まず、聞き慣れない「創作産実(チャンジャッサンシル)」という言葉について少し補足しましょう。これは直訳すると「創作の産室(生まれる場所)」という意味。韓国政府系の文化芸術委員会が、厳しい審査を経て「今年最も優れた、新しい創作作品」を選び出し、制作費などを支援するプロジェクトです。

いわば、韓国エンタメ界の「エリート作品の登竜門」。ここで評価された演劇が後に映画化されたり、海外で上演されたりすることも珍しくありません。ドラマ『賢い医師生活』や『イカゲーム』に出演している実力派俳優の多くも、こうした舞台でキャリアを積み上げてきました。

■演劇編:女子高の怪談と「済州・大阪」を繋ぐ母の物語
今回のラインナップで特に注目されているのが、2つの演劇作品です。どちらも「女性」の視点を軸に、韓国社会の深い部分をえぐり出しています。

1つ目は、劇団Yの『ディサイディング・セット(디사이딩 세트)』(3月13日〜22日)。
舞台はある女子高のバレー部。ここに伝わる「怪談」をモチーフに、思春期の若者たちが抱える不安や、スポーツ界の閉鎖的な体質を鋭く描きます。韓国は日本以上に「超競争社会」として知られていますが、チームのために個性を殺さなければならない苦しみや、不安定な未来への葛藤は、日本のファンにも共感できる部分が多いはずです。

2つ目は、演劇『海女ヨンシム(해녀 연심)』(3月14日〜22日)。
この作品が注目を集めている最大の理由は、実力派女優として知られるコ・スヒ(고수희)さんが「ナ・オキ(나옥희)」という活動名で演出を手掛けている点です。コ・スヒさんといえば、映画『サニー 永遠の仲間たち』や『親切なクムジャさん』など、数多くの名作で存在感を放つ名バイプレイヤーですよね。

物語は、1948年に起きた悲劇「済州4・3事件(チェジュヨンサンサゴン)」を背景に、済州島から大阪へ渡り、異国の地で海女として生きてきた一人の女性の人生を描きます。

ここで豆知識。韓国ではかつて、出稼ぎのために日本(特に大阪)へ渡った海女さんたちが多く、彼女たちは「出稼ぎ海女(チュルガムルチル)」と呼ばれていました。現在も大阪の生野区などには、そのルーツを持つ方々が暮らしており、日韓の歴史的な繋がりを象徴するテーマでもあります。5歳で離ればなれになった母の危篤を聞き、大阪へ向かう娘と孫。3世代にわたる記憶とアイデンティティの旅は、涙なしでは観られない一作になりそうです。

■舞踊編:サバイバル番組の覇者が魅せる「AIと人間」の境界
ダンスパフォーマンスの分野では、今、韓国で最も旬なダンサーが登場します。

Mnetのダンスサバイバル番組『ステージファイター(스테이지 파이터)』で優勝し、日本でも注目を集めたチェ・ホジョン(최호종)さんが出演する、舞踊団SALの新作『X』(3月19日〜22日)です。

この作品のテーマは「人間とAI(人工知能)」。テクノロジーが進化し、人間が機械のように変わり、一方でAIが人間を癒やすという現代の逆転現象を、激しいハードテクノの音楽に乗せて表現します。演出のぺ・ジンホ(배진호)さんは「心臓が震えるような衝撃を受けるはず」と語っており、韓国の最先端の身体表現を体感できる貴重な機会となるでしょう。

他にも、ポップアップ式の舞台を活用した『成人物(성인물)』(3月27日〜29日)など、映像とダンスを融合させた実験的な作品が並びます。

■伝統芸能・音楽編:ファンタジーとオーケストラの調べ
さらに、韓国の伝統芸能を現代風にアレンジした作品も。
『春を抱いてきた子供(봄을 안고 온 아이)』(3月20日〜22日)は、韓国の仮面劇「タルチュム」と、伝統的な語り物である「パンソリ」を組み合わせた童話のような物語。タルチュムは、日本の「獅子舞」や「能」に少し近い雰囲気がありますが、より滑稽でエネルギッシュなのが特徴です。

音楽部門では、作曲家チェ

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