世界が注目するK-BOOKブームの舞台裏!面白くなければ出さない伝説の編集者が語る韓国出版界の情熱

今、世界中で「K-POP」や「韓国ドラマ」に続き、熱い視線を浴びているジャンルがあるのをご存知でしょうか?それは「K-BOOK(韓国文学・エッセイ)」です。

日本でも『死にたいけどトッポッキは食べたい』などのエッセイがベストセラーとなりましたが、今やその波はアジアを越え、英米圏にまで広がっています。そのブームの火付け役の一人であり、韓国出版界で「伝説の編集者」と呼ばれるイ・연シル(이연실)代表と、マーケティングのプロであるキム・ドユン(김도윤)部長のインタビューが話題を呼んでいます。

彼女たちが率いる出版社「イヤギジャンス(物語屋)」が、なぜこれほどまでに世界を惹きつけるのか。その舞台裏には、韓国ドラマにも負けないほどの熱い情熱とドラマがありました。

■「結婚だけが正解じゃない」韓国の新しい生き方を世界へ

今、韓国の読者だけでなく世界の読者を熱狂させている一冊の本があります。それが、キム・ハナ(김하나)作家とファン・ソンウ(황선우)作家によるエッセイ『女ふたりで暮らしています(여자 둘이 살고 있습니다)』です。

この本は、血縁でも婚姻関係でもない女性二人が、共に家を買い、生活を共にする日常を描いたもの。儒教的な価値観が根強く、「適齢期になったら結婚して家庭を持つのが当たり前」という無言の圧力があった韓国社会において、この本は「新しい家族の形」を提示し、爆発的な共感を呼びました。

イ・ヨンシル代表は、この本の「増補改訂版」を自身のブランドであるイヤギジャンスから出版。そして今年、この作品がついにアメリカやイギリスでも出版されることが決まりました。

「英米圏の市場では、発売前にメディアに仮製本を送って書評をもらうのですが、その段階ですでに反応が凄まじかったんです」と語るイ・ヨンシル代表。

韓国では今、非婚(自らの意志で結婚しないこと)を選択する女性たちを指す「ピホン(비혼)」という言葉が一般的です。この本が世界で受け入れられたのは、単なる韓国の流行ではなく、現代を生きる多くの女性が抱く「自立と連帯」への渇望が共通していたからだと言えるでしょう。

■「歯が抜けるほどの情熱」で本を作る!韓国出版人の職人魂

インタビューの中で最も衝撃的だったのは、イヤギジャンスの記念すべき1冊目となった『戦争日記』にまつわるエピソードです。

ウクライナの作家オルガ・グレベンニク(올가 그레벤니크)氏が、戦火の中で子供たちを守りながら描いたこの絵日記。イ・ヨンシル代表は、前述のキム・ハナ作家から「この大切な記録を、最も早く、最も誠実に世に出せるのはあなたしかいない」と託されたそうです。

「私が作ります」と即答したイ・ヨンシル代表は、なんとわずか15日間で翻訳から編集、出版までを完了させました。

通常、翻訳本の出版には数ヶ月、長ければ1年以上かかるのが一般的です。しかし彼女は「一刻も早く、この母親の声を世界に届けなければならない」という使命感から、ウクライナとの時差を無視して不眠不休で作業に没頭しました。

その結果、あまりの過労とストレスで「歯が数本抜けてしまった」という驚きの告白も。

「歯科に行ったら、歯茎も筋肉なので、耐える力がなくなると歯を手放してしまうと言われました(笑)」と明るく振り返る彼女。この「パリパリ(早く早く)」の精神を越えた、作品に対する異常なまでの執着と愛情こそが、K-BOOKを世界基準へと押し上げる原動力になっているのです。

■「面白くなければ世界に出さない」というプライド

イヤギジャンスのモットーは、「面白くなければ、世界に出さない」というシンプルなもの。ここで言う「面白い」とは、単なる娯楽ではなく、読者の心を揺さぶり、人生を少しだけ変えてしまうような「物語の力」を指します。

イ・ヨンシル代表とキム・ドユン部長は、自分たちの仕事を「作家が書き続ける力を発明し、作家の幸せを一緒に作ること」だと定義しています。

現在は、日本でも人気の高いイ・スラ(이슬아)作家(自身のメールマガジンで毎日エッセイを配信し、セルフパブリッシングからスターになった作家)の著作『家女長の時代』をイタリアで展開する準備を進めているとのこと。

韓国のエンターテインメントが世界を席巻しているのは、徹底したプロフェッショナリズムと、作り手の魂を削るような熱量があるからこそ。それは音楽やドラマだけでなく、一冊の「本」の世界でも同じでした。

私たちが韓国のエッセイを読んで「あ、これは私のことだ」と感じる時、そこには歯を食いしばって(時には失って!)まで物語を届けようとした、熱き編集者たちの姿があるのです。

K-POPアイドルや俳優たちが、時折SNSやインタビューでおすすめの愛読書を紹介することがありますよね。そんな時、その本の裏側にこうした「物語の守り手」たちがいることを想像してみると、より深く作品の世界を楽しめるかもしれません。

次はどんな「物語」が、韓国から私たちの元へ届くのでしょうか。皆さんが最近読んで感動した、あるいは推しが紹介していた「K-BOOK」はありますか?ぜひコメントで教えてくださいね!

出典:https://ch.yes24.com/Article/View/81969

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