脚本家パク・ヘヨン(박해영)の最新作『誰もが自身の無価値さと戦っている』がJTBCで放送されます。ク・ギョファン(구교환)とコ・ユンジョン(고윤정)が主演を務め、創作の世界で苦悩する人々の心理を鋭く描いた作品です。
■ ヒットメーカーたちが集結したJTBCの意欲作
韓国のテレビ局JTBCの新ドラマ『誰もが自身の無価値さと戦っている』(以下、『モジャムッサ』)が、その独特な世界観とキャスティングで注目を集めています。本作は、これまでに『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』や『私の解放日誌』を手がけ、視聴者の心に深く刺さるセリフで定評のある脚本家パク・ヘヨン(박해영)による新作です。
演出は、日本でも大きな話題となった『椿の花咲く頃』のチャ・ヨンフン(차영훈)PDが担当。韓国ドラマ界を代表するヒットメーカー二人のタッグに加え、演技派俳優たちが名を連ねていることから、単なるエンターテインメントを超えた深い人間ドラマが期待されています。
本作の最大の特徴は、これまでの韓国ドラマで描かれがちだった「映画業界」へのロマンチックな描写を排除し、不安や劣等感にさいなまれる人々の姿をリアルに描いている点にあります。まるで精神科の待合室にいるような、繊細で神経質なキャラクターたちが織りなす物語は、視聴者に対して「自分だけが苦しいわけではない」という奇妙な安らぎを与える構成になっています。
■ ク・ギョファンが演じる「20年間デビューできない」脚本家
主演のク・ギョファン(구교환)が演じるのは、20年間にわたり14編ものシナリオを書き続けながらも、いまだに映画監督としてデビューできていない不遇の男性、ファン・ドンマンです。劇中でのドンマンは、決してスマートな主人公ではありません。肉体労働で生計を立てる兄のファン・ジンマン(演:パク・ヘジュン(박해준))と古びたワンルームで暮らし、身なりも決して清潔感があるとは言えない姿で登場します。
ク・ギョファン特有の、計算されていないようでいて野生味あふれる演技が、ドンマンというキャラクターに深い悲哀(ペーソス)を与えています。ドンマンは自身の鬱屈した思いを毒舌として周囲にぶちまけ、最新作をヒットさせた映画監督パク・ギョンセ(演:オ・ジョンセ(오정세))に対しては、ネット上での誹謗中傷やチャットなど、あらゆる手段を使って攻撃を仕掛けます。
一方、攻撃を受ける側のパク・ギョンセもまた、ドンマンを法的に訴えるのではなく、同じように人格攻撃で応酬することで自身の不安や挫折感を紛らわすという、屈折した人間関係が描かれます。これまでのパク・ヘヨン作品の主人公たちが寡黙だったのに対し、本作の登場人物たちが内臓を吐き出すかのように辛辣な言葉を連発する姿は、作家自身のスタイルの変化を感じさせる興味深いポイントです。
■ コ・ユンジョン演じる孤高のPDと「感情分析」という設定
もう一人の主人公、ピョン・ウナを演じるのはコ・ユンジョン(고윤정)です。ウナはシナリオを見抜く卓越した才能を持ち、監督たちから絶大な信頼を寄せられているプロデューサーですが、その有能さゆえに社内では孤立しているという役どころです。彼女もまた、幼少期に両親に捨てられたという深い心の傷を抱えています。
本作には「感情分析デバイスの体験者」というユニークな設定が登場します。このデバイスを通じて、主人公たちは自分の内面をより深く探求し、直接表現する機会を得ることになります。この体験が、アウトサイダーとして生きてきたドンマンとウナを急接近させるきっかけとなります。
脇を固める俳優陣も豪華です。登場人物の中で最も理知的でありながら、どこか恐ろしさを感じさせるコ・ヘジンPD役にカン・マルグム(강말금)、常にどこか焦点の定まらないドンマンの兄ジンマン役にパク・ヘジュン、そして危うい社会的な仮面を被って生きる女優チャン・ミラン役にハン・ソナ(한선화)がキャスティングされており、それぞれのキャラクターが強い存在感を放っています。
『誰もが自身の無価値さと戦っている』は、人間が誰しも抱える「自分には価値がないのではないか」という根源的な恐怖と、そこからの脱却、あるいは共存を描いています。鋭いセリフと俳優たちのアンサンブルが、現代社会を生きる人々にどのようなメッセージを届けるのか注目されます。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ ヒーリングドラマ(힐링드라마)
韓国では、派手なアクションや事件解決よりも、登場人物の心の傷を癒やしたり、日常の小さな幸せを描いたりする作品を「ヒーリングドラマ」と呼びます。本作の脚本家パク・ヘヨン氏の過去作『マイ・ディア・ミスター』などはその代表格で、視聴者が自分を投影して一緒に泣き、癒やされるのが特徴です。
■ 放送局 JTBC
「中央日報」系の総合編成チャンネルで、地上波(KBS・MBC・SBS)に負けないクオリティのドラマを量産しています。特に社会の闇や人間の深層心理を突く重厚な作品に定評があり、『スカイキャッスル』や『夫婦の世界』、私が大好きな『財閥家の末息子』などもJTBCの作品です。
脚本がパク・ヘヨンさんと聞いて、もう期待しかありません!恋愛がメインのキラキラしたお話も素敵ですが、私は『財閥家の末息子』のような、人間のドロドロした部分や社会の裏側を描く作品に惹かれちゃうんですよね。ク・ギョファンさんのあの独特な空気感で「毒舌」を吐きまくるなんて、想像しただけでゾクゾクします。皆さんは、観ていて心が痛くなるけど目が離せない「ヒューマンドラマ」と、何も考えずに楽しめる「ラブコメ」、今観たいのはどっちですか?
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