実力派俳優のチョ・ソンハ(조성하)が、2014年の『プリシラ』以来12年ぶりに演劇の舞台へ戻ってきました。ロシアの名作『ワーニャ伯父さん』を日本統治時代の韓国に翻案した意欲作で、圧巻の演技を見せています。
■ ロシアの古典を日本統治時代の韓国へと大胆に翻案
韓国を代表する演技派俳優として知られるチョ・ソンハ(조성하)が、久しぶりに演劇の舞台に立ち、観客を圧倒しています。彼が主演を務める舞台は、国立劇団が制作した『半夜の親父(パニャ・アジェ)』(翻案・演出:チョ・グァンファ)です。この作品は、ロシア文学の巨匠アントン・チェーホフの傑作『ワーニャ伯父さん』を、韓国の歴史的背景に合わせて大胆にアレンジしたものとなっています。
舞台の設定は、19世紀のロシアの田舎町から、日本統治時代の忠清北道永同郡(チュンチョンブクト・ヨンドングン)にある精米所へと移されました。劇中では日本軍による収奪が背景として描かれ、実在した詩人のキム・ソウォル(김소월)が言及されるなど、極めて緻密に韓国の歴史の中へと物語が再構築されています。
チョ・ソンハが演じる主人公のパク・イボは、原作のワーニャにあたる人物です。かつては知的な知識人でしたが、現在は姪のソ・ウニと共に数十年間、田舎の精米所を守りながら、義兄であるソ・ビョンフの出世を支えてきたという役どころです。
■ 抑制された狂気と悲哀を表現するチョ・ソンハの演技力
物語は、引退した教授である義兄のビョンフが、長年守ってきた精米所を処分すると宣言した瞬間に動き出します。チョ・ソンハは、これまで抑え込んできた感情が爆発する過程を段階的に演じ分け、高い評価を得ています。
自分勝手な義兄ばかりを気にかける母親ソン・スク(손숙)の前では、50歳を過ぎても独身のまま彷徨う情けない息子としての顔を見せ、想いを寄せる女性オ・ヨンランイム・ガンヒ(임강희)の前では純情な一面を覗かせます。そしてビョンフと対峙する場面では、長年の抑圧から解き放たれた狂気を爆発させ、一人の人物の中に共存する多様な感情を見事に表現しています。
彼は自身の役柄について「古臭く、いわゆる『コンデ(説教臭い年長者)』と呼ばれるような視線で見られる存在だが、実は家族や社会を支えてきた原動力でもある」と語り、韓国の「親父(アジェ)」たちの代弁者としての共感を寄せています。
■ 実力派キャストが集結したアンサンブルの力
今作にはチョ・ソンハだけでなく、韓国を代表する名俳優たちが顔を揃えています。主人公イボと共に精米所を守る姪のソ・ウニ役には、日本でも活躍するシム・ウンギョン(심은경)がキャスティングされました。彼女は運命のようにこの役に出会ったと語り、過酷な現実の中でも生きていく強さを持つ女性を、持ち前の繊細な演技で表現しています。
さらに、ソン・スク、 ナム・ミョンリョル(남명렬)、キ・ジュボン(기주봉)、チョ・ギョンスン(정경순)といった演劇界の重鎮たちが脇を固め、作品に厚みをもたらしています。
演出のチョ・グァンファ(조광화)は、チェーホフ特有の「表面上は何も変わらない絶望」を描きつつも、随所にユーモアを織り交ぜることで、人生の悲哀を鮮明に描き出しました。開演前から全席完売を記録するほど注目を集めているこの公演は、5月31日まで国立劇場のヘオルム劇場(ソウルにある国立の中核劇場)で上演されています。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ コンデ(꼰대)
元々は学生が先生を呼ぶ隠語でしたが、現在は「自分の経験を押し付ける説教臭い年長者」や「権威主義的なおじさん」を揶揄する言葉として広く使われています。記事の中でチョ・ソンハさんは、否定的に見られがちな「コンデ」たちの裏にある哀愁や献身に光を当てています。
■ アジェ(아재)
「おじさん」を意味する「アジョシ」を親しみを込めて、あるいは少しからかうように呼ぶ言葉です。「アジェギャグ(おやじギャグ)」という言葉もあり、どこか憎めない、親しみやすい中年男性のニュアンスを含んでいます。
私はソン・ジュンギさん主演の『財閥家の末息子』のような、重厚なミステリーや人間ドラマが大好きなんです。今回の舞台も、日本統治時代という激動の背景にチェーホフの古典を組み合わせるなんて、すごく深みがあって面白そうですよね。シム・ウンギョンさんとの共演も、どんなケミストリーが生まれているのか気になります。皆さんは、名作の翻案(アレンジ)作品は好きですか?それとも原作に忠実な方が好みですか?





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