聖地巡礼の主役はロケ地からグルメへ?韓国で社会現象を巻き起こすパン地巡礼と黒白料理人の熱狂

「次の韓国旅行、どこに行こうかな?」と考えたとき、以前ならドラマの撮影地や推しのアドトラックが走るエリアを真っ先に思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。しかし今、韓国ファンの旅のスタイルに劇的な変化が起きています。

最新の調査によると、韓国国内を旅する目的の第1位は、観光名所でもロケ地巡りでもなく、圧倒的に「グルメ(美食)」であることが分かりました。今や、景色や体験型イベントは二の次。「あのお店のあれを食べる」こと自体が、旅のメインイベントになっているのです。

今回は、今韓国で最も熱いグルメトレンドと、その背景にあるエンタメの影響について詳しく紐解いていきましょう。

■「パン地巡礼」が救った?魅力度最下位だった都市・大田の逆襲

まず注目したいのが、MZ世代(ミレニアル世代とZ世代を合わせた造語)を中心に巻き起こっている「パン地巡礼(ッパンジスンレ/빵지순례)」という社会現象です。

「パン地巡礼」とは、キリスト教の「聖地巡礼(ソンジスンレ)」と「パン(ッパン)」を掛け合わせた造語で、全国の美味しいベーカリーを巡る旅のことを指します。このブームの象徴となっているのが、韓国中部に位置する大田(テジョン)広域市です。

実は大田、韓国人の間では長らく「ノジェム都市(面白みのない街)」という不名誉なニックネームで呼ばれてきました。しかし、そんなイメージを一変させたのが、超有名ベーカリーの「聖心堂(ソンシムダン/성심당)」です。

最近1年間の20代の国内旅行先ランキングで、大田は江原道や済州島、釜山といった王道観光地に次いで4位にランクインしました。他の年代ではそれほど高くない大田の順位が、若者層でこれほど跳ね上がったのは、まさに「パンを食べるためだけに大田へ行く」という旅のスタイルが定着した証拠と言えます。

このブームに拍車をかけたのが、バラエティ番組の影響です。日本でも人気のMBCのリアルバラエティ「アニキの隠れ家(原題:私は一人で暮らす/나 혼자 산다)」では、期待の若手俳優ソ・ボムジュン(서범준)が全国のパン屋を巡るガチの「パン地巡礼」の様子を公開し、大きな話題を呼びました。

ドラマ「ヒョンジェは美しい(現在は美しい)」などで知られるソ・ボムジュンが、幸せそうにパンを頬張る姿を見て、「自分も同じコースを巡りたい!」と考えたファンも多かったはず。こうしたメディア露出が、地域観光に新しい価値を与えているのです。

■「黒白料理人」の衝撃!シェフがアイドルを超える存在に

グルメ旅の熱狂は、パンだけにとどまりません。今、韓国を訪れる外国人観光客の間でも「美食の聖地巡礼」が急速に広がっています。その最大の火付け役となったのが、Netflix(ネットフリックス)の料理サバイバル番組「白と黒のスプーン(原題:黒白料理人:料理階級戦争/흑백요리사: 요리 계급 전쟁)」です。

この番組は、無名の凄腕料理人(黒スプーン)と、すでに名声を得ているスターシェフ(白スプーン)がプライドをかけて戦うというもの。シーズン2の制作も決定するほどの爆発的なヒットを記録しました。

番組に出演したシェフたちのレストランは、予約開始からわずか5分で1ヶ月先まで満席になるほどの人気ぶり。特筆すべきは、客席の相当数を日本や海外からのファンが占めている点です。

かつて、韓国観光の定番といえば「ドラマのロケ地を訪ねる」ことでしたが、今は「Netflixで見たあのシェフの料理を食べる」ことが最大のステータスになっています。もはやシェフたちは、アイドルや俳優と同じようなファンを持つ「コンテンツの主役」として消費されているのです。

■地方自治体も必死?「食」を武器にした新たな生き残り戦略

こうしたトレンドの変化を受け、韓国の地方自治体も観光戦略を大きく修正し始めています。

例えば、映画「王の運命 歴史を変えた八日間」などの背景としても知られる江原道の寧越郡(ヨンウォルグン)では、4月に開催される歴史的な祭礼「端宗文化祭」に合わせて、「端宗の美食祭」や全国料理大会を開催することを決定しました。

これまでは歴史や景観をアピールしてきましたが、それだけでは今の若者や観光客を惹きつけるのは難しいと判断したのでしょう。地元の伝統的な食文化を「エンタメ化」することで、新たな集客を狙っています。

韓国の旅行業界関係者は、「これからの地域の観光競争力は、どれだけ強力な『グルメコンテンツ』を持っているかによって決まるだろう」と分析しています。SNS映えする美しい風景はもはや「当たり前」であり、そこにしかない「味」や「ストーリー」があるかどうかが、選ばれる旅先の条件になっているのです。

■まとめ:五感で楽しむ「新しい韓国」の歩き方

今回のニュースからは、韓国の人々やファンの関心が、単に「見る」ことから「食べる・体験する」ことへと、より能動的に進化していることが伺えます。

エアービーアンドビー(Airbnb)が行った調査によると、韓国旅行の目的1位は「グルメ(64.4%)」だったのに対し、ドラマや映画のロケ地訪問はわずか3.9%にとどまりました。これはロケ地巡りが衰退したというよりは、グルメという強力なコンテンツが旅の動機として圧倒的な地位を築いたというべきでしょう。

「パン地巡礼」に「スターシェフ巡り」。これから韓国旅行を計画されている方は、推しの俳優が訪れたお店や、話題の番組に登場したレストランを旅の軸に据えてみてはいかがでしょうか?きっと、これまでの観光とは一味違う、五感で楽しむ深い韓国の魅力に出会えるはずです。

大田のパンからNetflixの高級レストランまで、皆さんが今一番「韓国で食べてみたいもの」は何ですか?ぜひコメントで教えてくださいね!

出典:https://www.huffingtonpost.kr/article/250198

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