奇跡のジゼルから表現者の道へ!ダウン症を抱える芸術家ペク・ジユンのバレリーナから俳優への華麗なる転身

韓国のエンターテインメント界には、私たちの想像を超える努力で「壁」を打ち破ってきたスターたちが数多く存在します。今、韓国の芸術界で一人の女性の挑戦が大きな感動を呼んでいます。かつて「奇跡のジゼル」と呼ばれ、韓国初のダウン症バレリーナとして喝采を浴びたペク・ジユン(백지윤)さんです。彼女が今、バレエシューズを脱ぎ、次なる舞台として「演劇俳優」への道を歩み始めました。

今回は、障害という枠を超え、一人の「芸術家」として輝き続けるペク・ジユンさんの軌跡と、彼女を支えた韓国社会の背景についてご紹介します。

■「80%が歌とダンス」で構成された少女時代と、残酷な現実

ペク・ジユンさんは、生後間もなくダウン症の診断を受けました。筋肉の力が弱く、平衡感覚を保つのが難しいという特性に加え、目の手術や呼吸を助けるための手術など、幼少期は病気との闘いの連続だったといいます。しかし、そんな彼女を救ったのは「表現すること」の楽しさでした。

お母さんが「娘の1日の80%は歌とダンスでできている」と語るほど、ジユンさんは明るく活発な少女に育ちます。しかし、思春期に入ると厳しい現実に直面します。中学校で経験した「いじめ」です。

韓国でも学校内でのいじめ(ワンッタ)は深刻な社会問題として扱われることが多いですが、ジユンさんはそのストレスから自らの指を噛み切ってしまうほど追い詰められました。そんな絶望の淵で、彼女が自ら選んだ救いの一手が「バレエ」だったのです。「音楽を聴いて練習に集中している間は、学校での嫌なことを忘れられる」。その一心で、彼女は再びバーの前に立ちました。

■名門「韓国国立バレエ団」の門を叩き、大学入試の壁に挑む

ジユンさんの情熱は、周囲の大人たちを動かしました。フィリピンでの舞踊留学を経て帰国した彼女の才能を見抜いたのは、当時、韓国国立バレエ団(韓国最高の権威を持つバレエ団)の団長を務めていたチェ・テジ(최태지)氏でした。

チェ・テジ氏の提案でアカデミーのオーディションを受けたジユンさんは、見事に合格。健常者の学生たちに混ざり、基礎からバレエを学び直しました。短い手足を精一杯に伸ばし、真摯に踊る彼女の姿はメディアでも大きく取り上げられ、2013年には平昌(ピョンチャン)スペシャルオリンピックの文化行事として上演された「ジゼル」でヒロインを熱演。その清廉な姿から「奇跡のジゼル」という称号を得たのです。

しかし、華々しい活躍の裏で、韓国特有の「入試文化」の壁が彼女を阻みます。
韓国は極度の学歴社会であり、大学入試(入試=イプシ)は人生を左右する一大イベントです。ジユンさんは舞踊学科のある大学を片っ端から当たりましたが、どの大学も「ダウン症の学生を受け入れた前例がない」という理由で、門前払い同然の対応をされました。数々のコンクールでの受賞歴さえも、障害を理由に無視されてしまったのです。

ここで諦めないのが、韓国の強い「オンマ(お母さん)」の姿でした。母親のイ・ジョンヒ(이정희)さんは、娘のために自ら社会福祉士の資格を取得。「障害があるから助けてほしい」と請うのではなく、「障害者が享受すべき権利」として大学側に堂々とアピールし続けました。その結果、ジユンさんはデジタルソウル文化芸術大学(オンライン教育と対面授業を並行するサイバー大学の一種)の舞踊科に進学し、見事に卒業を果たしたのです。

■バレリーナから俳優へ。「表現者」としての新たな挑戦

バレリーナとして頂点を極めたジユンさんですが、彼女の情熱はそこで止まりませんでした。現在、彼女は演劇俳優としての活動を本格化させています。

もともと2019年には、ドラマ「コ・ゴ・ソング(고고송 / 障害を持つ人々の愛と成長を描いた作品)」に出演するなど、映像の世界にも足を踏み入れていました。バレエが「体」で感情を語る芸術なら、演劇は「言葉」と「呼吸」で人間を表現する芸術です。

彼女にとって、障害はもはや乗り越えるべき「壁」ではなく、共に歩む「パートナー」だといいます。「舞台の上で幸せに踊り、演じる表現者として永遠に残りたい」と語るジユンさん。彼女の変身は、多様性を重んじ始めた韓国エンタメ界に、新しい風を吹き込んでいます。

韓国では最近、ドラマ「私たちのブルース(2022年)」でダウン症の俳優チョン・ウネ(정은혜)さんが出演し、大きな反響を呼びました。ジユンさんのような芸術家が活躍できる場が広がることは、韓国ドラマや映画の深みをさらに増していくことでしょう。

かつて自分をいじめた世界を、最高の笑顔とパフォーマンスで塗り替えていくペク・ジユンさん。彼女が次に立つ舞台では、どんな新しい表情を見せてくれるのでしょうか。

「奇跡のジゼル」から「希望の俳優」へ。皆さんは、ジユンさんのような「枠にとらわれない挑戦」をどう感じますか? 彼女の出演作が日本で見られる日も遠くないかもしれません。ぜひ彼女への応援メッセージや、この記事を読んだ感想をコメントで聞かせてくださいね!

出典:https://www.ablenews.co.kr/news/articleView.html?idxno=229124

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