韓国エンタメ界において、今や「彼女の名前がクレジットにあれば、その作品は間違いない」と言わしめるほどの信頼を得ている女優がいます。その人こそ、ヨム・ヘラン(염혜란)です。
世界を熱狂させたドラマ『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』(Netflixオリジナル作品)での「復讐を共にするおばさん」役や、『未成年裁判』(Netflixオリジナル作品)での強烈な演技など、日本でも彼女の顔を見ない日はありません。そんな「巨匠たちのミューズ」とも呼ばれるヨム・ヘランが、今度は韓国社会派映画の巨匠チョン・ジヨン(정지영)監督とタッグを組むことが分かり、大きな話題となっています。
■ 巨匠チョン・ジヨン監督が描く、名前の裏に隠された「50年前の約束」
ヨム・ヘランが主演を務める新作映画『私の名前は(내 이름은)』が、2026年4月15日に韓国で公開されることが決定しました。配給元のCJ CGVとワイドリリースは、公開に先駆けてヨム・ヘランが人気バラエティ番組『ユ・クイズ ON THE BLOCK(tvNのトーク番組、司会は「国民的MC」のユ・ジェソク)』に出演し、本格的なプロモーション活動をスタートさせると明かしました。
本作『私の名前は』は、古臭い自分の名前を捨てたい18歳の少年ヨンオクと、その名前を何としても守ろうとする母ジョンスン(ヨム・ヘラン)、そして名前に隠された50年前の「あの日」の約束を辿っていくミステリードラマです。
ここで注目すべきは、この映画が1948年に起こった現代史の悲劇「済州4.3事件(チェジュササムサコン)」を扱っているという点です。
豆知識:済州4.3事件とは?
韓国の済州島で1948年から数年にわたり、思想対立などを背景に多くの島民が犠牲となった痛ましい事件です。長年タブー視されてきましたが、近年では歴史を見直す動きが活発になり、多くの映画やドラマの題材にもなっています。本作の公開日である4月15日は、この事件の犠牲者を追悼する時期とも重なっており、韓国国内では非常に大きな意味を持つ公開スケジュールとなっています。
メガホンを取るチョン・ジヨン監督は、映画『南部軍(남부군)』や『折れた矢(부러진 화살)』など、実際の事件をモチーフにした社会派作品で知られる韓国映画界の重鎮です。ヨム・ヘランはこの役を演じるために韓国舞踊を基礎から学んだとのことで、彼女が劇中で見せる全身全霊の演技に期待が高まっています。
■ なぜポン・ジュノやパク・チャヌクは「ヨム・ヘラン」を求めるのか?
今回のチョン・ジヨン監督とのタッグにより、ヨム・ヘランは韓国を代表する4大巨匠すべての作品に出演するという、俳優としてこの上ない栄誉を手にすることになります。
彼女のキャリアは非常にユニークです。演劇界で実力を磨いていた彼女を最初に見出したのは、あの『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ(봉준호)監督でした。2001年の舞台『爾(이)』での彼女の演技に惚れ込んだポン監督は、自身の代表作『殺人の追憶(살인의 추억)』に端役として彼女を抜擢しました。これが彼女の映画デビューとなりました。
その後、ドラマ界の名脚本家ノ・ヒギョン(『私たちのブルース』など)やキム・ウンスク(『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』など)の作品で、時にコミカルに、時に涙を誘う名脇役としてお茶の間の人気を不動のものにしました。
さらに近年では、世界的な映画監督たちからのラブコールが止まりません。
・パク・チャヌク(박찬욱)監督(代表作『オールド・ボーイ』):映画『仕方がない(어쩔수가없다)』に出演し、ベネチア国際映画祭のレッドカーペットを歩きました。
・キム・ジウン(김지운)監督(代表作『密偵』):次回作『ザ・ホール(더홀)』への出演が決定しています。
これほどまでに巨匠たちが彼女を求める理由は、その「圧倒的なリアリティ」にあります。ヨム・ヘランが演じると、どんなに過酷な設定のキャラクターであっても、まるで私たちの隣に実在しているかのような体温を感じさせるのです。今回の『私の名前は』でも、歴史の荒波に揉まれながら息子を守る母親の姿を、彼女ならではの深い表現力で演じきっているに違いありません。
■ ベテランになっても失わない「挑戦者」の姿勢
ヨム・ヘランの凄さは、巨匠との仕事に甘んじないところにもあります。最近でもチョ・ヒョンジン(조현진)監督のような新鋭監督の作品『マッド・ダンス・オフィス(매드 댄스 오피스)』に出演するなど、役柄の大小や監督のキャリアに関わらず、「演じる価値のある物語」であれば喜んで飛び込んでいく柔軟な姿勢を持っています。
今回の映画『私の名前は』のプロモーションで出演する『ユ・クイズ ON THE BLOCK』では、下積み時代の苦労話から、韓国舞踊に挑戦した舞台裏まで、飾らない彼女の素顔が語られる予定です。
映画は単なる歴史の記録ではなく、その時代を生きた「個人」の感情を救い上げるものです。ヨム・ヘランという稀代の女優が、済州の悲劇の中で「名前」という小さな、しかし大切な希望をどう守り抜いたのか。スクリーンから伝わる彼女の熱量を、ぜひ日本のファンも感じ取ってほしいと思います。
ヨム・ヘランさんの演技って、見ているだけでこちらの心まで震えるような不思議なパワーがありますよね。皆さんが一番好きな彼女の出演作や、忘れられない名シーンはどれですか?ぜひコメント欄で教えてください!
出典:https://sports.khan.co.kr/article/202603171143003?pt=nv
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