■デビュー31年で初めての大賞受賞
俳優アン・ジェウク(안재욱)にとって2025年は人生の転機となる年だった。昨年放送の『イーグル・ファイブをお願いします』でのホテル会長役が評価され、「2025年KBS演技大賞」で見事に受賞。驚くべきは、これがデビューから31年目にしてようやく手にした大型賞だったということだ。
韓国エンタメ界では、演技力が確かな俳優でも、さまざまな理由で「大賞」といった最高栄誉から遠ざかることがある。アン・ジェウクもそのひとり。名脇役として数々の名作に出演しながら、長年この瞬間を待ち続けていたのだろう。その受賞のニュースだけでも大きな話題となったのだが、実は彼の喜びはそこで終わらなかった。
■大統領からの招待状
最近、コメディアンのシム・ドンヨプ(신동엽)のYouTubeチャンネル「チンハンヒョン・シム・ドンヨプ」(짠한형 신동엽/ユーモアたっぷりなバラエティ番組)に出演したアン・ジェウクが、予想外の栄誉について語った。
昨年8月、彼は青瓦台(大統領官邸)の迎賓館で開催された韓国・ベトナム国賓晩餐会に招待されたというのだ。この晩餐会は現イ・ジェミョン大統領が主催した格式高いイベント。参加者の顔ぶれを聞けば、その規格の高さが一目瞭然だ。
大統領夫妻をはじめ、現代自動車グループのチョン・ウィソン会長(정의선)、LGグループのク・グァンモ会長(구광모)ら、財界の大物たちが名を連ねた。さらにベトナム国家サッカーチームの前監督パク・ハンソ(박항서)ら文化・スポーツ界の著名人たちも参加。総勢66名の錚々たるメンバーが揃ったのだ。
その中にアン・ジェウクがいた——この事実が、いかに特別なのかが伝わるだろう。
■「僕は所詮、ドラマの会長です」
番組で笑顔でこの経験を語るアン・ジェウクだが、本人も当時の心境を正直に打ち明けている。
「青瓦台に招待していただくこと自体が光栄でしたが、正直『自分がこんなところに呼ばれる立場なのか』と思った」
その言葉の背景にあるのは、この晩餐会の場に居合わせた人々の"格"だ。
「そこには本当に兆単位の資産を動かす会長たちばかり。でも僕は、ドラマの中の会長に過ぎないんです」
ユーモアを交えながらも、その謙虚さが滲み出ている。さらに笑いを誘ったのは、このエピソードだ。最近出演した『イーグル・ファイブをお願いします』ではホテル会長役を演じていたのだが、その役柄のおかげで予期しない待遇を受けたという。
「僕はただの『フェイク』会長なのに、みんな『会長様』と呼んでくれるんです」
虚構と現実が交錯するその瞬間、会場は笑いに包まれたはずだ。俳優という職業の面白さ、そして時に人々を動かす力を持つことの不思議さを、彼自身が最も実感している様子が伝わってくる。
■韓流の歴史を肌で感じる瞬間
ここで注目したいのが、アン・ジェウクという俳優がベトナムでどれほど愛されているかという事実だ。彼が語ったところによれば、1990年代後半に放送された『星は我が心に』(별은 내 가슴에)や映画『蒸し』(찜)といった作品が、ベトナムで大ヒットしたという。
つまり、彼は韓流第一世代の俳優として、30年近く前から東南アジアに影響力を持っていたのだ。この晩餐会の招待は、単なる俳優への個人的な敬意ではなく、韓国文化を世界に広めた功労者として認識されていることの現れなのだろう。
近年、K-ドラマやK-POPの躍進に目が向きがちだが、その礎を築いたのは1990年代の韓流パイオニアたち。アン・ジェウクのような存在がいなければ、今日のグローバルな韓国エンタメの繁栄は存在しなかった。
青瓦台での晩餐会という栄誉は、そうした歴史的な功績への敬意の表現だったのかもしれない。
■人生の黄金期を迎えた俳優
31年のキャリアで初めての大賞受賞、そして大統領からの招待——。2025年から2026年へかけて、アン・ジェウクのキャリアは明らかに新しい章に入ろうとしている。
多くの視聴者に支えられながらも、主役ポジションというよりは信頼できる名脇役として生きてきた俳優が、ようやく業界全体から「この人こそ」という評価を受ける日が来たのだ。
日本のファンの中にも、彼の作品を通じてK-ドラマの黄金期を体験した人は少なくないはず。1990年代から2000年代初頭の韓国ドラマの余韻を今なお感じる世代にとって、アン・ジェウクの受賞と栄誉は、自分たちが愛した韓流の輝きが決して褪せていないことを再確認させてくれるニュースとなったのではないだろうか。
出典:https://www.tvreport.co.kr/entertainment/article/1004038/





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