韓国映画ファンの間で話題を集めている『マッド・ダンス・オフィス』が3月4日に公開される。炎혜蘭(ヨム・ヘラン)にとって生涯初となる単独主演映画であり、彼女の新たな魅力を引き出す作品として注目を浴びている。
■完璧主義の公務員が人生最大の転機を迎える
『マッド・ダンス・オフィス』は、「갓생」(理想的で完璧な人生)を自負していた完璧主義の公務員・グッヒ(炎혜蘭)が、人生最大の危機に直面した後、本当の自分を見つめ直していく物語だ。
グッヒは、男性中心の職場カルチャーの中で生き残るため、数倍の力を注いで仕事に取り組み、家庭も完璧に守ろうと奮闘してきた。しかし、その過程で大切な人を見守ることができず、愛する者との間に理解できない溝が生まれてしまう。そこへ予期せぬ人生の転換点が訪れ、グッヒは新しい何かへの挑戦を強いられることになる。
映画がそこで選択したのが、フラメンコという情熱的な踊りだ。調現眞(チョ・ヒョンジン)監督は、このフラメンコを通じて現代人が忘れてしまった「力の配分」の大切さを描き出している。
■フラメンコが象徴する「新しいスタート」
フラメンコは情熱でリズムを作り出す踊りである。踊り手が力を振り絞りながら全身で表現していても、やがて体から力が抜けていく。その瞬間に観客から「オレ!」という掛け声が沸き起こる。これは韓国の「アルスッ!」に似た応援の掛け声であり、踊り手に続けて踊ることの勇気をもたらす。
調現眞監督は、プライベートでもフラメンコを学んだという。彼がこの踊りをどう定義するか聞かれた時、「床の底で踊られる自由な踊り」と答えた。そこには深い意味が隠されている。
「人は大抵、人生の底に落ちたとき不安を感じます。しかしそれは違う視点で見ると、新しいスタートがあるという意味なのです」——調現眞監督のこの言葉が、フラメンコの本質と完全に重なり合う。
転職や失職、関係の破綻など、人生の予期しない崩壊を経験した誰もが、この映画の中でグッヒと一緒に「床から踊り始める」勇気を感じるはずだ。
■多層的な物語構造が全ての観客に共感をもたらす
『マッド・ダンス・オフィス』は、一見すると「踊りを通じた成長」という古典的な成長譚に見える。しかし実は、6つ以上の物語が重層的に積み重ねられた複雑な構造を持つ映画だ。
一つの物語が終わろうとすると別の物語が始まり、それが終わるとまた新しい物語が浮かぶ。それでいながら、グッヒというキャラクターの芯がしっかりしているため、どの物語も調和を保ち、どれ一つとして違和感なく融合している。
調現眞監督は、「この映画はグッヒ一人の変化の物語ではありません。グッヒと共に変化していくキャラクターたちがいます」と語った。そこには、現代の若い世代を理解しようとする世代間の架け橋としての意図が垣間見える。
「『갓生』(理想的な生き方)や『ミラクルモーニング』といった概念は、若い世代から生まれた言葉です。この新しい世代をグッヒが自分の娘に対するようにハードに追い詰めるのか、それとも共に歩んでいくのか。これが私の長年のテーマでした」と監督は明かす。
映画は、働く中年女性や育児と仕事を両立させる母親たちの複雑な心情を丁寧に映し出す。毎朝、地下鉄で携帯を見つめる無名の人々——そのそれぞれが抱える物語への共感が、『マッド・ダンス・オフィス』の根底にある。
■炎혜蘭が初主演で体現する「本当の私」
調現眞監督が脚本執筆の段階からグッヒ役として念頭に置いていたのが、炎혜蘭だった。投資ピッチングの時点では、まだ正式な出演提案もされていなかったが、監督は彼女の過去作を切り抜いて提示し、プロデューサーを説得したという。
「グッヒというキャラクターは、初見では好感を持たれにくい人物です。仕事終わりには、さらに見づらい一面を持つキャラクターなんです。しかし、観客は映画の中でグッヒを応援しながら追い続ける必要があります。炎혜蘭さんの過去作を見ると、世俗的だったり悪役だったりしても、視聴者が共感し、耳を傾けたくなるようなキャラクターばかりだった。この映画に絶対に必要な俳優だと思いました」
生涯初となる単独主演を引き受けた炎혜蘭は、「人間コメディと成長物語が好きです。『シャル・ウィ・ダンス』や『ビリー・エリオット』のように、踊りを通じて解放感を感じる映画が好きだったので、難しいけれどチャレンジしたいと思いました」とコメント。
さらに、彼女は作品の意義についてこう語った。「中年の働く女性が見たら良い映画だと思います。すべての仕事を成し遂げなければならない女性、育児と仕事を両立している女性たちが見れば、共感とヒーリングが得られるはずです」
冗談めいて、「調現眞監督は『王様と暮らす男』が興行成功したら芸名を変えると約束していたそうですが、私はホラ話でも国希に変えてもいいですね」と笑顔を見せた。
■公開を前に、働く全ての女性へのメッセージ
『マッド・ダンス・オフィス』は、完璧さを求める時代に疲れ果てた全ての人への一本の映画だ。転んでも何度でも立ち上がり、踊り続けることの大切さを、フラメンコの熱情を通じて教えてくれるだろう。
完璧主義の壁に打ちのめされた人も、人間関係の溝に悩む人も、新しいスタートを夢見る人も——全ての観客が、グッヒと共に床から踊り始める勇気を感じることができる。
映画『マッド・ダンス・オフィス』は3月4日、全国の映画館で公開される。
出典:https://www.womennews.co.kr/news/articleView.html?idxno=274081
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