Netflixシリーズ『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』の復讐を手助けする助手役や、『マスクガール』での強烈な母親役など、一度見たら忘れられない演技で日本の韓流ファンを虜にしている名女優ヨム・ヘラン(염혜란)。
「名脇役」として数々の作品を彩ってきた彼女が、待望の主演映画『マッド・ダンス・オフィス(매드 댄스 오피스)』(チョ・ヒョンジン監督)でスクリーンに帰ってきました。今回のインタビューでは、劇中のキャラクターと同じように、彼女が実の娘に宛てて書いた一通の手紙にまつわる、心温まるエピソードが明かされました。
■ 撮影中に綴った「娘への手紙」が起こした奇跡
映画『マッド・ダンス・オフィス』でヨム・ヘランが演じるのは、区役所の課長として働くクッキ。仕事では完璧主義、家庭では一人娘に厳格な「完璧な母」であろうとする女性です。しかし、愛ゆえの厳しさが娘を追い詰め、心の距離が開いてしまったことに気づき、後悔します。
劇中、クッキが娘へ宛てて不器用ながらも謝罪の気持ちを込めた手紙を書くシーンがあります。ヨム・ヘランはこのシーンの撮影中、ふと自分自身の娘のことを思い出したといいます。
「ウサギの形の便箋を見て、可愛いキャラクターが大好きな娘のことが頭をよぎりました。それで、思わず自分の娘に向けて手紙を書いてみたんです」
実は彼女には、娘が小学校1年生の頃、毎日欠かさず洋服のポケットに手書きのメッセージを忍ばせていたという素敵な思い出があります。「今日はどんな一日を過ごすかな? 応援しているよ」といった、母からのささやかなエール。当時の幼い娘は、ママが小さくなってポケットに入って一緒にいてくれるのだと信じていたそうです。
現在、娘さんは中学2年生。韓国では「中2病(チュンイビョン)」という言葉があるほど、多感で反抗期を迎える時期として知られています。ヨム・ヘランも、かつてのようなメッセージのやり取りはしなくなっていました。しかし、この映画を観た娘さんは、スクリーンの中の母親が手紙を書く姿に、かつての自分と母の姿を重ね合わせ、涙を流したといいます。
「娘が、私の書いた手紙のせいでそのシーンを見て泣いたと言ってくれたんです(笑)」
このエピソードは、忙しい日々の中で「親としての自分」と「表現者としての自分」の間で葛藤しながらも、深い愛情を注ぎ続けるヨム・ヘランの素顔を物語っています。
■ 抑圧を解き放つ「情熱のフラメンコ」と共感の物語
本作の大きな見どころは、石のように硬くなっていたクッキの心が、スペインの伝統芸能「フラメンコ」を通じて解きほぐされていく過程です。
ヨム・ヘランは、この役のために3ヶ月にわたる猛特訓を受けたといいます。フラメンコを「魂の踊り」と表現する彼女は、その魅力についてこう語ります。
「フラメンコの響きは、心臓を揺さぶります。一見、自由で即興的に見えますが、実は高度な技術が必要な踊りなんです。足を踏み鳴らすその動きが、現実をすぐに変えることはできないかもしれません。でも、自分を縛り付けている抑圧を壊したいとき、足を力強く鳴らすことは間違いなく助けになります」
韓国社会は、日本以上に「公務員」という職業に対して「安定・誠実・厳格」というイメージを強く持つ傾向があります。劇中のクッキは、その社会的イメージを維持しようと肩をそびやかして生きていますが、そんな彼女が汗だくになってフラメンコを踊る姿は、現代を生きる多くの女性たちに「自分を解放してもいいんだ」という勇気を与えてくれるでしょう。
また、彼女は年齢を重ねることについてもポジティブな変化を感じているそうです。
「若い頃は、自分の見方だけが正しいと思っていました。でも、歳をとって良いことは、自分のやり方が全てではないと気づけることです。今の私がクッキに声をかけるとしたら、『あなただけが正しいわけじゃないよ』『あなただけが頑張っているわけじゃないよ』と言ってあげたいですね」
■ 「脇役」から「主役」へ、そして作品全体を見る目
これまで数多くのヒット作で、主役を凌駕する存在感を見せる「シーンスティラー(場面を盗む人)」として称賛されてきたヨム・ヘラン。本作は彼女にとって初の単独主演作とも言われていますが、本人はいたって謙虚です。
「主演というのは、逃げ道がない場所。自分が背負う荷物も大きいですが、観客が主人公の視線を自然に追いかけられるよう、支えてくれる装置(演出や編集)も多いのだと感じました。脇役のときは自分の出番がカットされるとすごく悲しかったけれど(笑)、主演を経験したことで、作品全体を見る目が養われました」
さらに彼女は、「これは私一人の映画ではなく、チェ・ソンウン(최성은)さんとのダブル主演作です。私の単独主演作はまだ空いたままですよ」と茶目っ気たっぷりに笑います。
どんな役柄にも完璧に憑依し、観る者の心を震わせるヨム・ヘラン。彼女が演じる「普通だけど特別な女性」の姿は、私たちの日常にある喜びや悲しみを肯定してくれる力強さがあります。
名脇役から名実ともにトップ俳優へと駆け上がる彼女の歩みは、これからも韓流ドラマ・映画界の大きな光となっていくに違いありません。
皆さんは、ヨム・ヘランが出演した作品の中で、特にどのキャラクターが心に残っていますか? 彼女の演技に涙した思い出や、新作『マッド・ダンス・オフィス』への期待など、ぜひコメント欄で教えてくださいね!
出典:https://www.womennews.co.kr/news/articleView.html?idxno=274666
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