アン・ジェウク、大企業総帥たちと大統領国賓晩餐会へ私は偽りの会長です

韓流の歴史を語る上で欠かせない1990年代の顔、アン・ジェウク(안재욱)。懐かしさとノスタルジアで思い出す、あの時代の大スター。そんな彼がYouTubeで明かした意外なエピソードが、ファンたちの間で話題を集めています。

■ベトナム国賓晩餐会への招待状

昨年8月、青瓦台(韓国大統領府)の迎賓館で開催された韓国・ベトナム国賓晩餐会。招待客は錚々たる面々ばかり。チェ・テウォン(최태원)SK会長、チョン・ウィソン(정의선)現代自動車グループ会長、クー・グァンモ(구광모)LG会長といった、韓国を代表する大企業の総帥たちが名を連ねていました。

そこに、突然の招待状が届いたのがアン・ジェウク。俳優として数々の名作を生み出してきた彼ですが、なぜ国賓晩餐会に?その理由が実は非常にユーモラスだったのです。

YouTubeチャンネル『짠한형 신동엽』(韓国の人気YouTuber、シン・ドンヨプのチャンネル)に先日公開された映像の中で、アン・ジェウクは赤面しながらこう語りました。

「青瓦台から招待を受けて、本当に光栄でした。でも…自分でも不思議だったんです。『本当に俺がこの場所にふさわしい人間なのか』ってね。だから『昔ベトナムで少し人気があったけど、今はもう昔のことだろう』と思いながら向かいました」

■映画「찜」がベトナムで大ヒット

招待の理由は、1990年代後半に公開された映画『찜』(ッチム)。キム・ヘス(김혜수)との共演で、アン・ジェウク自身がドレスを身にまとい、女装姿で出演した作品です。韓国での公開は当時でしたが、ベトナムでの公開は2001年。その時間差が重要でした。

「男性が女装して出演するというのが、ベトナムで大きな話題を呼んだんでしょう。当時のベトナムでは珍しかったのかもしれません」

アン・ジェウクのこの作品への出演が、ベトナムでの彼の知名度を大きく高めることになりました。加えて、1997年に放送されたドラマ『별은 내 가슴에』(星は我が心に)で、すでにベトナムで確立された人気がありました。それらの要因から、韓国・ベトナムの国交関係強化を象徴する場への招待が実現したのです。

晩餐会には、サッカー元ベトナム代表監督で日本でもおなじみのパク・ハンソ(박항서)監督や、映画監督パク・グァンス(박광수)、ピアニストのイ・ルマ(이루마)も参加。イ・ジェミョン大統領と同じテーブルに着くという栄誉も得ました。

■「私は偽りの会長です」の秘密

そんな中、アン・ジェウクが直面したのが、思わず吹き出してしまうような状況でした。

「最近、連技賞を受賞したドラマで会長役を演じていたんです。でも、晩餐会には本物の会長たちがズラリと揃っているじゃないですか。私は単なるドラマの中の『偽りの会長』に過ぎません。なのに、みんなが私を会長と呼んで、丁寧に挨拶してくれるんですよ」

受賞作『독수리 5형제를 부탁해』(イーグル・ファイブをお願いします、KBS2)での会長役演技が高く評価され、本当に会長と間違われる事態に。一方、実際に数兆ウォンもの事業を手がける本物の会長たちは、別のテーブルに座っているという、何とも興味深い配置。俳優とビジネスリーダーの「格」の違いを実感させられた瞬間だったに違いありません。

■ベトナムとの関係が深まる時代背景

実は、このような国賓晩餐会の開催背景には、韓国とベトナムの経済関係が劇的に成長しているという時代背景があります。

ベトナムは現在、中国、アメリカに次ぐ、韓国の第3位の貿易相手国。昨年までの4年連続でこのポジションを保有しています。かつて1992年の国交樹立時には5億ドルに過ぎなかった貿易額は、30年経た今、なんと約190倍の945億ドルに膨れ上がりました。2014年の韓越自由貿易協定(FTA)締結以降、特に急速に成長しています。

アン・ジェウクのような1990年代の韓流の顔が国賓晩餐会に招待されたという事実は、単なる個人への栄誉ではなく、「あの時代の韓国文化への親愛が、今なお、ベトナムの人々の心に生きている」という証左でもあるのです。

懐かしき韓流の黄金期を象徴する俳優が、現在の経済大国・韓国の代表と肩を並べ、外交の舞台に上がる—。そこには、時代の移ろいと、文化が持つ不思議な力が詰まっているのではないでしょうか。

アン・ジェウクの「偽りの会長」という謙虚で、ユーモアに満ちた一言には、自身の位置付けを冷静に認識しつつも、その経歴に誇りを持つ、ベテラン俳優ならではの余裕が感じられます。

出典:https://biz.heraldcorp.com/article/10681350?ref=naver

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