世界最大級の携帯・通信展示会「MWC26(モバイル・ワールド・コングレス2026)」がスペインのバルセロナで開催されようとしています。このビッグイベントに日本の韓流ファンが特に注目すべき企業が、韓国の通信大手KT(ケー・ティー)です。3月2日から5日の会期中、KTが仕掛けるのは、単なる技術展示ではなく、韓国の歴史と最先端AIを融合させた、これまでにない体験ブースなのです。
■ソウルの象徴が世界へ飛び立つ
KTが選んだテーマは「光化門広場」(クァンファムン・グァンジャン)。ソウルの中心部に位置し、세종대왕(世宗大王)の銅像がそびえ立つこの広場は、韓国の歴史と現在が交錯する象徴的な場所です。KTはMWC26の主会場4号館に、この光化門をモチーフにした展示館を設営しました。
入り口では、光化門を中心に繰り広げられてきた大韓民国の革新の歴史と現在を映す映像が上映されます。館内には、世宗大王の銅像はもちろん、KTの本社ビルである光化門ビルのウェストウイング、そして世宗文化会館といった光化門エリアの象徴的なスポットが、現場感たっぷりに再現されているのです。
ソウルの心臓部を文字通りバルセロナに移設するこのアイデアは、単なる郷愁を呼び起こすものではありません。むしろそこには、韓国の技術力と文化的アイデンティティをワンセットで世界に発信するというKTの戦略的な意図が感じられます。
■AI時代の新しいOSを世界初公開
KTが今回の展示会で最も力を入れているのが、AIゾーンです。ここで公開されるのは、企業向けに最適化された新しいAI運用システム「エイジェンティック・ファブリック」(Agentic Fabric)。これは、単なるAIツールではなく、様々なAI技術とエージェント(AIエージェント)を有機的に結びつけることで、企業活動全般を自動化・効率化させるための「エンタープライズAI運用OS」なのです。
このシステムの優れた点は、実装の簡便性にあります。「エイジェント・ビルダー」という機能を使えば、業界別に必須とされるAIエージェントを標準テンプレートとして提供でき、企業はそれをカスタマイズして即座に現場に投入できるのです。わざわざ複雑なコーディングをする必要がなく、既存の企業システムにシームレスに統合できる利便性が、このシステムの最大の魅力といえるでしょう。
さらに注目すべきは、AIを活用したコールセンター業界向けの次世代ソリューション「エイジェンティック AICC」(Agentic AICC)です。従来のコールセンターは、顧客からの問い合わせに対応することが中心でしたが、このシステムは複数のAIエージェントが協働し、大規模言語モデル(LLM)と連携することで、相談を超えた実務的な業務処理まで自動化してしまいます。つまり、顧客が電話をかけたら、AIが問題を理解し、解決までを自動実行するという未来型のサービスが実現するわけです。
加えて、AI技術による映像分析で失踪者を探索する「ビジョン・トラック」(Vision Track)も展示されます。社会的に重要な機能を持つこのシステムも、KTのAI技術がいかに社会貢献と結びついているかを示す好例といえます。
■K-POPとK-カルチャーがAIと出会う瞬間
しかし、今回の展示会で最もワクワク感を感じさせてくれるのが、K-スクエア・ゾーンです。ここには、K-POPアイドル「コルティス」(CORTIS)がAR(拡張現実)ダンスプログラムに登場。世界中のファンが、このAR体験を通じてコルティスと一緒にダンスできるのです。スマートフォンやタブレットをかざすだけで、アイドルがそこに現れてダンスレッスンをしてくれる――こんな未来が、もう手の届く場所にあるのです。
また、光化門を背景にした「AI韓服体験」も運営されます。AIを使った仮想試着技術により、実際に韓服を身に着けることなく、デジタル上で自分が韓服を着用した姿を見られるという体験は、K-カルチャーへの興味が高い日本のファンにとって、見逃せないコンテンツとなるでしょう。
その他にも、大韓民国の通信の足跡を辿るアーカイブゾーン、そして「AI イ・ガンイン」が7言語で応援メッセージを届けるスポーツゾーン、さらには「ハイオーダー」ベースのスマート注文・決済サービスを体験できるF&B(飲食)ゾーンなど、KTとそのグループ企業が提携する多角的なサービスが一堂に集結します。
■歴史と最先端技術の邂逅が生み出すもの
このプロジェクトを統括するウン・テシク(윤태식)KTブランド戦略室長は、「光化門広場をモチーフに構成された最も韓国的なコンセプトの空間で、AI技術とK-カルチャーが融合した特別なブランド体験を世界中の来場者に提供する予定」とコメントしています。その言葉には、単に技術を示すのではなく、韓国という国そのものの価値を伝えようとする強い意志が感じられます。
思い返してみれば、K-POPが世界的な現象になったのも、K-ドラマがNetflixで席巻したのも、決して技術だけでなく、韓国文化の奥深さと現代性が相まったからこそです。KTが今回試みようとしているのは、その同じアプローチを、AIという最先端技術領域に拡張することなのです。
3月のバルセロナで、K-カルチャーとAIがどのように融合し、世界のビジネスパーソンや技術者たちにどう受け止められるのか。その波は必ず日本にも押し寄せてくるはずです。韓流ファンであれば、このニュースは単なる企業ニュースではなく、自分たちが愛する韓国文化が世界舞台でどう評価されるのかを知る重要なバロメーターとなるでしょう。
出典:https://www.apnews.kr/news/articleView.html?idxno=3046100
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