映画館でしか味わえない感動をもう一度。韓国の名匠たちが贈る映画へのラブレター 劇場の時間たち に注目

韓国映画界から、映画を愛するすべての人に捧げる特別なプレゼントのような作品が届きました。

近年、韓国ではチャン・ハンジュン(장항준)監督の『王と生きる男(原題)』が観客動員数1340万人(2026年3月時点)を超える大ヒットを記録するなど、明るいニュースも飛び込んできています。しかし、その一方で「映画館離れ」という深刻な課題も抱えています。

韓国では、観客動員数が1000万人を超える作品を「千万映画(チョンマンヨンファ)」と呼び、国民的ヒットの象徴として非常に重視する文化があります。しかし、かつて年間2億人を超えていた総観客数は、パンデミックを経てようやく1億人台を回復したという状況。Netflixなどの動画配信サービス(OTT)の普及やチケット代の高騰により、「映画は家で見るもの」という意識が韓国でも強まっているのです。

そんな今だからこそ、私たちがなぜ「わざわざ映画館へ足を運ぶのか」を問いかける映画が公開されます。それが、芸術映画の聖地として知られる映画館「シネキューブ」の開館25周年を記念して制作されたアンソロジー映画『劇場の時間たち(原題)』です。

■韓国映画界を支える3人の名匠が集結

本作は、韓国を代表する3人の監督が、それぞれ「映画館」をテーマに撮り下ろした短編3作で構成されています。

一人目は、『サムジンカンパニー1995』やイ・ジェフン(이제훈)主演の『脱走』を手掛けたイ・ジョンピル(이종필)監督。二人目は、子供たちの繊細な世界を描いた『わたしたち』で世界的に評価されたユン・ガウン(윤가은)監督。そして三人目は、『ひと夏のファンタジア』やコ・アソン(고아성)主演の『韓国が嫌いで』で知られるチャン・건재(장건재)監督です。

舞台となる「シネキューブ(CineCube)」は、ソウルの政治・文化の中心地である光化門(クァンファムン)に位置する、現存する韓国最古の芸術映画専用館です。大型シネコンとは一線を画す落ち着いた雰囲気で、日本のミニシアターを愛するファンの方なら、きっとどこか懐かしさを感じるような特別な場所です。

■豪華キャストが彩る3つの「愛のメッセージ」

出演陣も、韓流ファンにはたまらない実力派が揃いました。

第1話『チンパンジー』では、人気ラッパーのウォンシュタイン(원슈타인)と、『ホープ(原題)』での熱演が記憶に新しいホン・サビン(홍사빈)、そして『ホスピタルプレイリスト』のキム・デミョン(김대명)が登場します。時代を超えて交差する不思議な友情の物語は、観る者の心に深い余韻を残します。

第2話『自然に』では、数々の作品で圧倒的な存在感を放つコ・アソンが、子役たちを指導する映画監督役を熱演。撮影現場の奮闘を通じて、映画が生まれる瞬間の魔法を描き出します。

第3話『映画の時間』では、『パラサイト 半地下の家族』の母親役で知られるチャン・ヘジン(장혜진)や、数多くのドラマで名脇役として活躍するクォン・ヘヒョ(권해효)が出演。かつての同級生が光化門の映画館で再会する物語は、大人の観客の涙を誘うこと間違いありません。さらに、YouTubeチャンネル「パドナス」で爆発的な人気を誇るコメディアン兼俳優のムン・サンフン(문상훈)もスパイスとして登場し、日常の何気ない瞬間に輝きを与えています。

■暗闇の中で見知らぬ誰かと「感情を共有する」贅沢

かつてスティーブン・スピルバーグ監督はこう語りました。「真の映画体験とは、見知らぬ者同士が暗い空間に集まり、一つの物語を通じて感情を共有することだ。それはコンサートやバレエ、オペラと同じように、何物にも代えがたい経験なのだ」と。

本作『劇場の時間たち』は、まさにこの言葉を体現しています。チケット代よりも高いディナーやホテルが人気を博す中で、あえて「映画館という場所」に価値を見出すこと。それは、自分の人生という物語を、スクリーンに映し出される誰かの人生と重ね合わせる、とても贅沢な時間なのかもしれません。

映画の中には、「映画に対する礼儀を少しは守って」というクスッと笑えるセリフや、シネフィル(映画通)なら思わず頷いてしまうようなシーンが散りばめられています。また、26年間シネキューブを守り続けてきた現役の映写技師さんの日常を描いたプロローグとエピローグも、映画への深い敬意が感じられる見どころの一つです。

この春、韓国で3月18日に公開される本作。いつか日本でも、映画を愛する皆さんのもとに届くことを願ってやみません。

皆さんは、映画館で思わず涙してしまったり、誰かと感動を分かち合ったりした「忘れられない思い出」はありますか?お気に入りの映画館のエピソードなど、ぜひコメントで聞かせてくださいね!

出典:https://www.bizhankook.com/bk/article/31760

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