日本の韓流ファンの皆さんは、大好きな俳優やアイドルが、過去の「学校でのいじめ」や「私生活のトラブル」一つで、瞬く間に表舞台から姿を消してしまう光景を目にしたことがありませんか?
韓国のエンターテインメント業界は、世界を席巻するクオリティを誇る一方で、出演者に対する「道徳的基準」が極めて厳しいことで知られています。一度の過ちが「社会的な死」を意味することすらあるこの現状。しかし今、韓国国内では「なぜ芸能人にはこれほど厳しいのに、国を動かす政治家には甘いのか?」という、痛烈な批判の声が上がっています。
韓国の大手新聞「朝鮮日報」が報じた、現代韓国社会が抱える「道徳性のダブルスタンダード」という興味深い視点について紐解いていきましょう。
■芸能界を揺るがす「道徳性」という名の絶対基準
韓国では、芸能人を単なるエンターテイナーとしてではなく、社会の模範となるべき「公人(コンイン)」として捉える傾向が日本以上に強くあります。これは儒教的な価値観が根強く残っており、影響力を持つ者には高い倫理観が伴うべきだという考え方が根底にあるからです。
例えば、人気若手女優として期待されていたキム・セロン(김새론)は、飲酒運転事故を起こしたことで事実上の自粛状態が続いています。また、過去の学校内でのいじめ、いわゆる「ハクポク(学校暴力)」疑惑が浮上した俳優たちが、放送中のドラマから降板したり、撮影済みの映画が公開延期になったりするケースも後を絶ちません。
こうした現象について、記事では「芸能界では、過去のいじめの経歴が一行でもあれば、活動を中断し、物議を醸しただけでも世論の審判を受けて謝罪文を書くのが当たり前になっている」と指摘しています。ファンにとって、推しの不祥事は胸が張り裂けるような出来事ですが、韓国社会の目はそれ以上に厳しいのが現実です。
■「政治界の無罪放免」に記者が投げかける疑問
ところが、視点を「政治」の場に移すと、全く異なる景色が広がっています。今回のコラムを執筆した記者は、現在の韓国政治界を「道徳性が失踪した国」と表現し、強い危機感を露わにしています。
具体的に挙げられているのは、現在野党のリーダーを務めるイ・ジェミョン(이재명)氏や、新党を率いるチョ・グク(조국)氏らを取り巻く状況です。彼らは複数の裁判を抱えていたり、二審で実刑判決を受けていたりしながらも、堂々と政治活動を続け、多くの支持を集めています。
また、大統領夫人であるキム・ゴンヒ(김건희)氏のブランドバッグ受領疑惑なども、政治的な論争の火種となっています。記者は、「常識的に考えれば、これほどの疑惑や判決があれば、自ら身を引くか、国民に深く詫びるのが筋ではないか」と問いかけています。
「芸能人が犯せば一発でアウトになるような過ちも、政治家であれば支持層が結集して守り抜き、むしろ被害者であるかのように振る舞う」。この奇妙な格差が、今の韓国社会に漂う閉塞感の一因になっているというのです。
■「インソン(人性)」を重視する韓国ファンと、これからの推し活
韓国の芸能事務所、いわゆる「Big4(HYBE、SM、JYP、YGなどの大手事務所)」では、練習生時代から徹底した「インソン(人間性・品性)」教育が行われるといいます。どんなに歌やダンスが上手くても、人格に問題があればデビューは難しい。それほどまでに、韓国のエンタメ業界は「クリーンなイメージ」を死守することで、グローバルな信頼を勝ち取ってきました。
しかし、政治の世界で道徳性が軽視され続けることは、回り回ってエンタメ業界や社会全体にも悪影響を及ぼしかねません。「正直に生きる者が損をし、声の大きい権力者が生き残る」という価値観が蔓延すれば、私たちが愛するドラマや映画が描き出す「正義」や「希望」といったメッセージも、どこか空虚に響いてしまうかもしれないからです。
記者は、最後にこう結んでいます。「嘘をついても、裁判を受けていても、権力さえあれば免罪符が得られるような国に未来はあるのか」。
私たち日本のファンは、





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