今、韓国の映画界で最も熱い視線を浴びている作品といえば、チャン・ハンジュン(장항준)監督の最新作『王と生きる男(왕과 사는 남자)』です。しかし、1200万人という驚異的な観客動員数を目前に控えた今、作品の評価を揺るがしかねない大きな波紋が広がっています。
なんと、この大ヒット作に「シナリオ盗作疑惑」が浮上したのです。このニュースを受けて、配給会社であるショボックス(쇼박스)の株価が急落するなど、エンタメ界だけでなく経済界にも衝撃が走っています。一体、現場では何が起きているのでしょうか。
■ 異例のスピード記録を塗り替える中での「冷や水」
映画『王と生きる男』は、1457年の江原道(カンウォンド)・寧越(ヨンウォル)にある清冷浦(チョンリョンポ)を舞台にした歴史ドラマです。王位を追われ、流刑の身となった幼い先王・端宗(タンジョン(단종))と、村の再興のために自ら流刑地の世話役を買って出た村長オム・フンド(엄흥도)の交流を描いた感動作として、多くの観客の涙を誘ってきました。
公開からわずか1ヶ月余りで累計観客数は1170万人を突破。これは、日本でも話題となった『ソウルの春(서울의 봄)』(2023年)や『破墓(파묘)』(2024年)を上回る驚異的なペースです。韓国映画界がコロナ禍以降の長い低迷期を脱する「希望の星」として、1200万人突破は確実視されていました。
しかし、そんなお祝いムードに水を差したのが、今回の盗作疑惑です。
■ 亡き俳優の遺族が訴える「あまりに似すぎた設定」
疑惑を提起したのは、2019年にこの世を去った演劇俳優Aさんの遺族です。遺族側は、Aさんが2000年代にドラマ化を目指して執筆していたシナリオ『オム・フンド』の草案と、映画『王と生きる男』の主要な展開が酷似していると主張しています。
具体的に指摘されている類似点は、以下の通りです。
・端宗がオム・フンドの勧めで食事をし、満足感を示すシーン
・オム・フンドが村人に端宗の様子を伝える展開
・絶望から崖で身を投げようとする端宗を、オム・フンドが救い出す設定
特に、実在したオム・フンドの31代目の子孫であるAさんは、この物語に並々ならぬ情熱を注いでいたといいます。遺族は「もしAさんの作品が原案だと認められるのであれば、クレジットに名前を載せてほしい」と切実な願いを明かしています。
ここで少し解説を加えると、端宗(タンジョン)は朝鮮王朝の第6代国王で、若くして叔父に王位を奪われ、悲劇的な最期を遂げたことで知られる歴史上の人物です。韓国の人々にとって非常に馴染み深い悲劇のヒーローですが、今回の疑惑は「歴史的事実」そのものではなく、そこに至るまでの「創作されたエピソード」が重なっているという点が焦点となっています。
■ 株価暴落とファンの戸惑い…制作側の反論は?
この疑惑が報じられた3月10日、ショボックスの株価は前日比で4%以上も暴落しました。先月には株価が3000ウォン台に迫る勢いを見せていましたが、今回の騒動で投資家たちの心理は一気に冷え込んでいます。
韓国では個人投資家のことを「アリ(ケミ/개미)」と呼びますが、ネット上では「コロナ禍の時より株価が下がった」「アリたちが泣いている」といった悲鳴に近いコメントが相次いでいます。
一方、制作会社であるオンダワークス(온다웍스)は、疑惑を全面的に否定しています。
「本作は歴史的事実に基づいた純粋な創作物であり、制作過程はすべて詳細に記録されている。特定の作品を盗作した事実は断じてない」と公式コメントを発表し、法的対応も辞さない強硬な姿勢を見せています。
韓国のネット掲示板やSNSでは、ファンからも複雑な声が上がっています。
「チャン・ハンジュン監督が急に時代劇を撮るなんて意外だと思っていたけれど、まさかこんなトラブルになるとは……」
「公募展に落ちた作品が巧妙に盗用されるケースは業界でよく聞く話。真相をはっきりさせてほしい」
という懐疑的な意見がある一方で、「歴史映画なら似たシーンが出るのは仕方ないのでは?」と、作品を擁護する声も根強くあります。
■ まとめ:大ヒットの裏側に潜む「創作のモラル」
素晴らしい演技と演出で「今年のベスト映画」との呼び声も高かった『王と生きる男』。それだけに、今回の疑惑はファンにとって非常に心が痛むニュースとなりました。
韓国では「脚本家(作家)」の権利が日本以上に強く意識される傾向にあり、過去にもヒット作が盗作疑惑で訴訟に発展したケースが何度かあります。果たして今回の件が、輝かしいヒット記録に傷をつける結果となってしまうのか、それとも制作側の主張が認められ、無事に1200万人の大台を突破するのか。裁判の行方や今後の動向に、日本からも熱い注目が集まりそうです。
歴史を動かす力を持った映画だからこそ、誰もが納得できる形で解決してほしいものですね。
チャン・ハンジュン監督の大ヒット作にまさかの疑惑……。皆さんは、こうしたヒット作に付きまとう盗作疑惑について、どう感じますか?「せっかくの名作なのに残念」という気持ちや、皆さんの率直な感想をぜひコメントで教えてください!
出典:https://news.mtn.co.kr/news-detail/2026031015301385455
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