1969年オープンの名門「ハリウッド劇場」は、現在60歳以上なら誰でも2000ウォンで名画を鑑賞できるシニア専用映画館として運営されています。年間24万人が訪れるこの場所から、新しい高齢者福祉モデルが提案されました。
ソウル・鐘路(チョンノ)にある楽園(ナグウォン)商街の4階。ここには、最新のマルチプレックス映画館とは異なる時間が流れる場所があります。1969年に開館し、ソウルの劇場文化の象徴として愛されてきた「ハリウッド劇場」です。2013年にはソウル未来遺産にも選定されたこの場所は、現在「思い出を売る劇場」という名の国内初シニア専用映画館として、新たな歴史を刻んでいます。
■ 17年間守り続ける「2000ウォンの約束」
ハリウッド劇場が「思い出を売る劇場」として再出発したのは2009年1月のことです。マルチプレックス(複数のスクリーンを持つシネコン)の普及により単館劇場の居場所が狭まる中、あえてシニア層に特化した運営へと舵を切りました。
最大の大きな特徴は、その観覧料です。一般的な映画館のチケット代が1万5000ウォン(約1700円)程度まで値上がりしている現在でも、ここでは60歳以上の観客であれば、一律2000ウォン(約230円)で映画を楽しむことができます。開館当時の2009年には約6万5000人だった年間観客数は、現在では年間約24万人まで増加しました。
劇場側は単に「安い映画を見せる場所」ではなく、高齢者が自分のライフスタイルに合った文化を継続的に享受できる「品格ある高齢者文化都市」のモデルをソウル市に提案しています。
■ 無料イベントよりも「通い続けられる空間」を
今回提案された政策の核心は、高齢者福祉を「単発の無料行事」で終わらせないことにあります。無料の公演や招待イベントも意味はありますが、それだけでは日常的な文化生活にはなりにくいという指摘です。
具体的には、以下の5つの課題が提示されました。
1. アクセスの良い都心への文化拠点(映画・公演・思い出コンテンツの結合)の設置
2. 『トロット(韓国の演歌)』ミュージカルや高齢者向け公演など、共感できるプログラムの拡充
3. AIを活用した古典映画の吹き替え、大きな字幕、鮮明な画面など、身体的変化に配慮した観覧環境の整備
4. 高齢者が観客に留まらず、案内係や文化ボランティアとして働ける雇用の創出
5. 若者向けの文化パスのように、高齢者の文化アクセス権を保障する支援政策
■ K-POPの次は「K-孝道(ヒョド)文化」
ハリウッド劇場のキム・ウンジュ代表は、ソウルがグローバル文化都市として飛躍するためには、K-POPや韓国ドラマを超えて、高齢者を尊重し品格を持って接する「K-孝道(ヒョド)文化」を都市のビジョンに据えるべきだと主張しています。
高齢化は韓国だけでなく世界共通の課題であるため、高齢者が孤独にならずに年齢を重ねられる文化モデルそのものが、都市の競争力になり得るという考えです。劇場のロビーにあるカフェでは、高齢者たちが集まり、お茶を飲みながら会話を楽しむ姿が日常的に見られます。
キム代表は「17年前、一般料金が7000ウォンだった時代に2000円という価格設定を始めました。今、その価格差が広がっても維持しているのは、高齢者が負担なく劇場へ来て、友達に会い、笑い、思い出を共有できる場所を守るという約束のためです」と、その想いを語っています。
出典:https://www.newsquest.co.kr/news/articleView.html?idxno=267090
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 孝道(ヒョド / 孝行)
韓国では儒教の教えに基づき、親や高齢者を大切にする「孝(ヒョ)」の精神が非常に重んじられています。単なる個人の道徳だけでなく、社会全体で高齢者を敬う文化があり、親孝行な子供は周囲からも高く評価されます。記事内の「K-孝文化」という言葉も、この伝統的な価値観を現代の文化政策に活かそうとする動きを指しています。
■ トロット
「韓国の演歌」とも呼ばれる成人歌謡のジャンルです。独特の節回しとリズムが特徴で、長年シニア層に圧倒的な人気を誇ってきましたが、近年はサバイバル番組のヒットにより若者の間でもリバイバルブームが起きています。
私は『財閥家の末息子』みたいなハラハラする展開が好きですが、たまにはこういう温かい場所で古い名作を観るのも素敵だなって思いました。今の韓国は物価が高いので、2000ウォンで楽しめる場所があるのは本当にかっこいい取り組みですよね。皆さんは、自分のおじいちゃんやおばあちゃんと韓国へ行くなら、おしゃれなカフェ派?それとも、こんなレトロな劇場派?





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