日本のテレビ番組表を眺めていると、最近ある「変化」に気づきませんか? かつては韓国人俳優が日本の作品に出演することが大きなニュースでしたが、今では日本人俳優が劇中で当たり前のように「韓国語」を話し、韓国の文化が物語の重要なピースとして組み込まれるようになっています。
この現象は、エンタメ大国である韓国のメディアでも「日本のドラマに吹く韓国語の風」として大きな注目を集めています。今回は、なぜ今、日本のドラマでこれほどまでに韓国語が多用されているのか、そしてその背景にある日韓エンタメの新しい形を紐解いていきましょう。
■「字幕なし」で楽しむ視聴者も?日ドラに浸透する韓国語のリアル
少し前までの日本のドラマにおける韓国の存在といえば、「韓流スターが特別出演する」といった、いわばイベント的な扱いが主流でした。しかし、最近のトレンドは明らかに異なります。
その決定打となったのが、2024年に大きな話題を呼んだ二階堂ふみ主演、チェ・ジョンヒョプ(채종협)出演のTBS系ドラマ『Eye Love You』(アイラブユー)でしょう。この作品では、ヒロインが韓国人留学生と恋に落ちる過程で、日常的な韓国語のフレーズが随所に散りばめられました。
特筆すべきは、チェ・ジョンヒョプ演じるテオの心の声が「あえて韓国語のまま、字幕なし」で放送された回があったことです。これには韓国メディアも驚きを隠せませんでした。「日本の視聴者は、韓国語をそのまま受け入れる準備ができている」と分析されたのです。
さらに最近では、日本人俳優同士のシーンでも韓国語が登場するケースが増えています。例えば、友情の証として韓国の流行語を使ったり、韓国料理店で慣れた手つきで「チャミスル(韓国を代表する焼酎のブランド)」を酌み交わしながら「コンベ(건배/乾杯)」と言ったり……。これらはもはや特別なことではなく、日本の若者のリアルな日常の延長線として描かれているのです。
ここで少し補足すると、韓国には「チメク(치맥/チキンとビールの組み合わせ)」に代表されるような、特定の食べ物と飲み物をセットで楽しむ強いこだわりがあります。日本のドラマでこうした「韓国的な飲み会マナー」が自然に再現されている点も、韓国の視聴者から見ると「文化への理解が深まっている」と感じるポイントのようです。
■「演じる側」にも変化。日本人俳優たちが韓国語を学ぶ理由
今、日本の俳優たちの間では、韓国語を習得することが一つの「武器」になりつつあります。かつては、シム・ウンギョン(심은경/映画『新聞記者』などで知られる実力派女優)のように、韓国人俳優が日本語を完璧にマスターして日本の映画賞を席巻する姿が印象的でした。しかし現在は、その逆の現象が起きています。
なぜ、日本の俳優たちはこれほどまでに韓国語での演技に積極的なのでしょうか。そこには、NETFLIX(ネットフリックス)などのOTT(Over The Top/インターネットを通じて提供される動画配信サービス)の普及が深く関わっています。
作品が日本国内だけでなく、世界中に配信されることが前提となった今、隣国であり巨大なエンタメ市場を持つ韓国のファンを意識するのは、ごく自然な流れと言えます。韓国語で演技ができる、あるいは韓国の制作スタイルに対応できるということは、俳優にとって世界進出へのパスポートを手にするようなものなのです。
また、韓国の芸能界には「練習生制度」に象徴されるような、徹底したプロフェッショナル教育のイメージがあります。日本の若手俳優たちにとって、韓国の俳優たちのストイックな役作りや、エモーショナルな演技スタイルは、尊敬と憧れの対象でもあります。そうしたリスペクトが、「言葉を学び、その文化を演じたい」というモチベーションに繋がっているのかもしれません。
韓国では儒教的価値観から、年上の人を敬う言葉遣い(敬語)や、お酒を飲む際の作法などが非常に厳格です。日本人俳優がこうした細かな所作を劇中で完璧にこなしていると、韓国のSNSでは「日本の俳優の韓国語のイントネーションが可愛い!」「文化を大切にしてくれていて嬉しい」といった好意的なコメントが溢れます。
■日韓の壁を越えた「新しいエンタメの形」へ
こうした「日ドラの韓国語ブーム」は、単なる一過性の流行では終わらないでしょう。今や日本の10代、20代にとって、韓国語は「勉強して覚える外国語」というよりも、「推し(大好きな芸能人やキャラクター)の言葉を知りたい」「おしゃれなカルチャーの一部」という感覚に近いものになっています。
かつてのような「一方的な韓流ブーム」ではなく、お互いの言語や文化をリスペクトし合い、一つの作品を共に作り上げていく。そんな「日韓共同体」とも言える新しいエンタメの形が、今まさに日本のテレビ画面の中で花開いています。
日本人俳優が流暢な韓国語で愛を囁き、韓国人俳優が不器用ながらも一生懸命な日本語で想いを伝える。そんなクロスオーバーな演出が当たり前になった時、私たちのエンタメ体験はもっと豊かで、もっとワクワクするものになるはずです。
これからも、日本のドラマの中でどんな「韓国語の名シーン」が生まれるのか、ファンとして目が離せませんね。
皆さんは、最近の日本のドラマを見ていて「あ、ここ韓国っぽい!」「この俳優さんの韓国語、上手だな」と感じたシーンはありますか? お気に入りの作品や、これから韓国語での演技に挑戦してほしい俳優さんがいたら、ぜひコメントで教えてくださいね!
出典:https://www.segye.com/newsView/20260306513333?OutUrl=naver
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