脚本家パク・ヘヨンと演出家チャ・ヨンフンがタッグを組んだ話題作。第1話の開始7分で視聴者の97%が離脱するという異例の展開ながら、残りの3%を熱狂させる独特な魅力の背景に迫ります。
■ 成功できない「8人会」の唯一のメンバーが主人公
JTBCで放映され、Netflixでも配信されているドラマ『すべてが自分の無価値さと戦っている』(全12話)が、その独特な世界観で注目を集めています。本作は、大学の映画サークルの先輩・後輩で構成された「8人会」というグループを中心に描かれます。
このグループのメンバーは皆、社会的に成功を収めていますが、ただ一人だけ成功から取り残されているのが主人公のファン・ドンマン(ク・ギョ환)です。ドンマンは20年もの間、映画監督としてデビューすることを夢見ながら、塾の講師やアルバイトで生計を立て、兄であるファン・ジンマン(パク・ヘジュン)の家に居候しています。
ドンマンは成功した仲間たちの集まりである「8人会」に欠かさず出席しますが、そこで成功者であるパク・ギョンセ(オ・ジョンセ)らに皮肉を言ったり、場の空気を乱すような行動を繰り返したりするため、業界内でも煙たがられる存在として描かれています。
■ 視聴者を突き放す「不快感」と「共感」の境界線
本作の最大の特徴は、多くの視聴者が「不快」と感じるほどリアルで、時には理不尽なキャラクター描写にあります。韓国のメディア分析によると、第1話の冒頭7分で、視聴者の約97%が視聴を止めてしまうという衝撃的なデータも示されました。
主人公のドンマンは、例えばキムチチゲ屋の開店祝いに駆けつけながら「辛いものは嫌いだ」と駄々をこねるような、社会性に欠ける人物として登場します。しかし、物語が進むにつれて、彼が抱える「自分自身の無価値さとの戦い」が浮き彫りになっていきます。
そこに現れるのが、映画会社の企画プロデューサーであるピョン・ウナ(コ・ユンジョン)です。彼女は優れた見識を持ちながらも、組織の中で「いつでも代わりがいる存在」であるという強い不安と、孤独(誰かに見捨てられることへの恐怖)を抱えています。
■ 名脚本家と名演出家が描く「日常の哲学」
本作の脚本を手掛けるのは、『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』や『私の解放日誌』で知られるパク・ヘヨン(박해영)です。彼女の作品は、登場人物たちが日常の中で吐露する哲学的なセリフが特徴ですが、今作でもその色彩が強く表れています。
演出は『椿の花咲く頃』のチャ・ヨンフン(차영훈)が担当しました。不自然とも思えるほど文学的なセリフを、実力派俳優たちが日常の言葉として巧みに処理することで、視聴者は違和感を抱きながらも、次第にその世界観に引き込まれていく構造になっています。
「自分は絶対にこんな生き方はしない」と否定したくなるようなドンマンの姿が、実は誰しもが心の奥底に抱えている「自分は無価値ではないか」という不安を鏡のように映し出している。その「居心地の悪さ」こそが、離脱しなかった3%の視聴者を強く惹きつけている要因と言えるでしょう。
出典:https://www.econovill.com/news/articleView.html?idxno=738860
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 入俸(イッポン)
韓国の映画・放送業界の用語で、助監督などの修業期間を経て、初めて自分の名前を掲げた監督としてデビューすることを指します。記事内のドンマンは20年間この「入俸」を夢見ている、つまり長年下積みから抜け出せない状態であることが強調されています。
■ 8人会(パリンフェ)
特定の大学や地域の出身者、あるいは同業者などで結成される小規模な親睦会のことです。韓国ではこうした私的なネットワークが、時にビジネスや社会的地位の誇示、情報交換の場として非常に重要な役割を果たすことがあります。
私は『財閥家の末息子』みたいなスカッとする展開が大好きなので、正直に言うとこのドラマの主人公の「空気の読めなさ」には最初ハラハラしちゃいました。でも、『私の解放日誌』のパク・ヘヨン作家さんの言葉って、後からじわじわ心に刺さるんですよね。皆さんは、最初は「苦手かも」と思ったドラマが、後から人生の名作になった経験ってありますか?それとも、1話で合わないと思ったらすぐに切っちゃう派ですか?





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