韓国ドラマ界で「国民の妹」として親しまれてきた実力派俳優、ムン・グニョン(문근영)が、約9年ぶりに演劇の舞台に帰ってきます。
今回彼女が選んだ作品は、世界的な名作として知られる『オファンズ(Orphans)』。驚くべきは、彼女がこの舞台で「男性キャラクター」を演じる「ジェンダーフリー・キャスティング」に挑むという点です。かつての愛らしいイメージを脱ぎ捨て、俳優としてさらなる深みを見せようとしている彼女の決断に、いま韓国の演劇界とファンの間で熱い視線が注がれています。
■ 9年ぶりの舞台、挑むのは「孤独な狂気」を秘めた男性役
ムン・グニョンが演劇の舞台に立つのは、2017年の『ロミオとジュリエット』以来、実に9年ぶり。今回彼女が出演する『オファンズ』は、1983年にアメリカのロサンゼルスで初演されたライル・ケスラーの代表作です。フィラデルフィアの北部を舞台に、孤児の兄弟トリートとフィリップ、そして彼らに誘拐された中年ギャングのハロルドが、奇妙な同居生活を通じて「家族」になっていく物語を描いています。
ムン・グニョンが演じるのは、兄の「トリート」役。粗暴で暴力的な外面を持ちながら、内面には繊細で脆い心を隠し持ち、弟を守るために世間に対して牙を剥き続けてきた複雑なキャラクターです。
ここで注目したいのが、韓国の演劇・ミュージカル界で近年主流となっている「ジェンダーフリー・キャスティング(性別に関係なく配役を決めること)」です。
韓国では「大学路(テハンノ:ソウルにある劇場が密集する文化の街、日本の下北沢をより大規模にしたような演劇の聖地)」を中心に、俳優の演技力を純粋に評価し、性別の枠を超えた配役が積極的に行われています。本作『オファンズ』もその先駆け的な存在で、過去のシーズンでも女性俳優が男性役を演じ、その圧倒的なエネルギーが観客から高い支持を得てきました。
ムン・グニョンが持つ繊細な感情表現と、最近の出演作で見せた爆発的なエネルギーが、この「トリート」という役にどう吹き込まれるのか。彼女の俳優としての「内功(ネゴン:長年の経験で培われた内面的な実力や深み)」が試される一作となりそうです。
■ 「国民の妹」から「怪演俳優」へ、止まらない進化
日本でもドラマ『秋の童話(ソン・スンホンらが出演し、韓国で最高視聴率40%を超えた伝説の純愛ドラマ)』のヒロインの子役時代や、『風の絵師(18世紀の天才画師を演じた時代劇、ムン・グニョンはこの作品で当時の史上最年少大賞を受賞)』での男装ヒロイン役などで、彼女を知るファンも多いでしょう。
かつては「国民の妹」という愛称で親しまれた彼女ですが、近年はそのパブリックイメージを鮮やかに塗り替えています。最近では、俳優業の傍らで短編映画の演出を手掛けるなどクリエイターとしての顔も見せているほか、Netflix(世界的な動画配信サービス)の人気シリーズ『地獄が呼んでいる(ヨン・サンホ監督が手掛けるダークファンタジー作品)』のシーズン2に特別出演。そこでの彼女は、これまでの面影を感じさせないほど狂気じみた、衝撃的なビジュアルと演技を披露し、「ムン・グニョンがここまでの変貌を遂げるとは」と視聴者を震撼させました。
今回の舞台復帰は、そんな彼女が「俳優としての本質的な場所」である舞台に戻り、自らの限界をさらに押し広げようとする挑戦でもあります。制作側も「彼女の鋭い感情のキレと深い演技哲学が、観客と直接向き合うことになるだろう」と大きな期待を寄せています。
■ 実力派が集結!新しい「家族」の形を描くキャスト陣
今回の『オファンズ』は、ムン・グニョンの他にも韓国演劇界を支える豪華な顔ぶれが揃いました。
ムン・グニョンと共にトリート役を演じるのは、ドラマ『彫刻都市(チ・チャンウク主演予定の復讐劇)』などへの出演で知られるチョン・インジ(정인지)や、前回公演でも同役を熱演したチェ・ソクジン(최석진)、オ・スンフン(오승훈)ら。また、兄の過保護な支配の中で生きる弟フィリップ役には、キム・ジュヨン(김주연)やキム・ダニ(김단이)といったフレッシュな実力派が名を連ねています。
さらに、物語の鍵を握るギャングのハロルド役には、パク・ジイル(박지일)やヤン・ソミン(양소민)といったベテラン勢がキャスティングされ、世代を超えたアンサンブルが期待されています。
この作品は、韓国の演劇ファンが選ぶ「SACA(観客の投票だけで決まる賞)」で、2017年と2019年に「最高の演劇」に選ばれるなど、まさに「人生の作品(人生で一番の傑作)」として愛されている名作です。
演劇『オファンズ』は、5月31日までソウルの大学路にある「TOM(ティーオーエム)1館」で上演されます。春に韓国旅行を計画されている方は、ムン・グニョンの魂の演技を直接その目で確かめてみるのはいかがでしょうか。
「国民の妹」から「本物の表現者」へと進化し続けるムン・グニョン。皆さんは、彼女のどのような姿をもう一度見てみたいですか?また、女性俳優が男性役を演じる「ジェンダーフリー」という新しい試みについてどう感じますか?ぜひコメント欄で皆さんの期待や感想を聞かせてくださいね!
出典:https://www.sportschosun.com/entertainment/2026-03-05/202603050100030640002069
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