YouTubeチャンネル「シネドライブ」で、ビョン・ヨンジュ監督が故イ・ソンギュンさんの未公開エピソードを明かしました。宮部みゆき原作の映画『理由』への出演を打診する直前に、彼を失った無念を語っています。
■ ビョン・ヨンジュ監督が語るイ・ソンギュンさんとの深い絆
2026年4月23日に公開されたYouTubeチャンネル「シネドライブ」にて、映画監督のビョン・ヨンジュ(변영주)氏が、2023年にこの世を去った俳優の故イ・ソンギュン(이선균)さんとのエピソードを語りました。この日の放送には、パン・ウンジン(방은진)監督も共に出演し、韓国映画界にとって大きな存在であった彼への思いを馳せました。
ビョン・ヨンジュ監督は、自身が演出を手がけ、イ・ソンギュンさんが主演を務めた2012年のヒット映画『火車 HELPLESS』(宮部みゆき原作の同名小説の映画化)の撮影当時を回想しました。監督は「龍山(ヨンサン)での重要なラストシーンの撮影時、予算と時間の制約があり非常にタイトなスケジュールだった」と振り返り、その際イ・ソンギュンさんが「15分だけ時間をください。感情の流れは変わるかもしれないが、動線を完璧に合わせます」と申し出て、現場を支えてくれた逸話を明かしました。
また、監督は「ソンギュンは、常に私の味方でいてくれると感じさせてくれる俳優だった。そのような俳優は決して多くない。彼を失ったことは、韓国映画を作る監督たちにとって、大切な『同志』を失ったことと同じだ」と、深い喪失感を言葉にしました。
■ 宮部みゆき原作『理由』で再タッグを組む予定だった
ビョン・ヨンジュ監督は、生前のイ・ソンギュンさんと新たなプロジェクトを準備していたことも明かしました。監督によれば、『火車 HELPLESS』の原作者である日本の推理小説家、宮部みゆき(미야베 미유키)氏は、韓国版の映画『火車』を非常に高く評価しており、特にイ・ソンギュンさんの演技を絶賛していたといいます。
宮部氏側からは、自身の別の小説である『理由』のシナリオをイ・ソンギュンさんに渡してほしいという要望があり、監督も再び彼とタッグを組むために準備を進めていた矢先、今回の悲劇が起きたと語りました。
その後、出版社の代表が宮部みゆき氏の代わりにイ・ソンギュンさんの墓前を訪れ、日本版のDVDを供えて挨拶したというエピソードも紹介されました。監督は「イ・ソンギュンという俳優はいなくなってしまったが、宮部先生側から改めて『理由』を映画化してほしいという提案をいただいた。これは『火車』を共に作り上げた仲間たちが繋いでくれた縁だ」と伝えました。
■ 捜査機関への批判とイ・ソンギュンさんの輝かしい足跡
ビョン・ヨンジュ監督は番組内で、当時の検察および警察の捜査の在り方についても言及しました。「検察、警察のことは今でも許すことができない。おそらく一生許すことはできないだろう」と強い口調で批判し、パン・ウンジン監督も「今後、このようなことが二度とあってはならない」と強調しました。
イ・ソンギュンさんは1999年にデビュー後、長い無名時代を経て、2007年のドラマ『白い巨塔』、『コーヒープリンス1号店』、2010年の『パスタ〜恋が出来るまで〜』などで一躍スターダムにのし上がりました。その後、映画『火車 HELPLESS』(2012)、『最後まで行く』(2014)などのヒット作を連発し、2019年にはポン・ジュノ(봉준호)監督の映画『パラサイト 半地下の家族』がカンヌ国際映画祭や米アカデミー賞で最高賞を受賞したことで、世界的なトップスターとしての地位を確立しました。
しかし、2023年10月から麻薬使用の疑いで警察の捜査を受けていた最中の同年12月27日、ソウル市内の車中で遺体で発見されました。彼は簡易試薬検査および国立科学捜査研究院の精密鑑定のすべてで「陰性」判定を受けており、捜査過程では「麻薬だとは知らなかった」と一貫して無実を訴えていました。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 韓国における「宮部みゆき」人気
宮部みゆき氏は韓国で最も愛されている日本人作家の一人です。特に『火車』は、韓国の社会問題である多重債務や個人情報の流出といったテーマが、韓国の観客にも深く共感され、ビョン・ヨンジュ監督による映画化も大成功を収めました。韓国のミステリーファンや映画人の間では、非常に高いリスペクトを集めている作家です。
■ 俳優に対する「同志」という表現
韓国の映画界では、監督が信頼する俳優を「トンジ(同志)」と呼ぶことがあります。これは単なるビジネスパートナーを超えて、一つの作品を共に作り上げ、芸術的なビジョンを共有する戦友のような深い信頼関係を意味します。ビョン・ヨンジュ監督がイ・ソンギュンさんをこう呼んだことは、彼がいかに現場で人間的にも愛されていたかを物語っています。
ミステリー好きの私にとって、イ・ソンギュンさんの出演作はどれも外せません。特に『火車』や『パラサイト』で見せた、彼にしか出せない重みのある演技が本当に大好きでした。ビョン・ヨンジュ監督との再タッグ、宮部みゆきさんの『理由』が彼の主演で実現していたらどんなに素晴らしかったかと考えてしまいます。皆さんは彼の作品の中で、どのキャラクターが一番心に残っていますか?
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