K-POPの危機はファンの振る舞いから?マレーシアで起きたDAY6事件から読み解く韓流の分岐点

華やかなステージ、世界中を熱狂させるパフォーマンス。今や世界基準となった「K-POP」や「韓国ドラマ」ですが、その裏側で今、深刻な「警告灯」が灯っていることをご存じでしょうか。

2026年2月26日、ソウル・明洞(ミョンドン)にある「オンドリーム・ソサエティ」にて、韓国文化産業フォーラムによる新年セミナーが開催されました。そこで語られたのは、私たちが大好きな韓流コンテンツが直面している「構造的な危機」についてです。

単なる「流行り廃り」の話ではなく、ファンの行動一つが国家間の対立に発展しかねないという衝撃的な分析も飛び出しました。日本のファンとしても見逃せない、韓流の現在地と未来について詳しくお伝えします。

■ 撮影禁止ルールを無視?マレーシアで起きた「DAY6事件」の波紋

この日のセミナーで、未来産業戦略研究所の所長を務めるコ・ジョンミン(고정민)教授(弘益大学教授)が、最もコントロールが難しいリスクとして挙げたのが「デジタル・ナショナリズム」です。

その具体例として語られたのが、人気バンドDAY6(デイシックス)のマレーシア公演で起きたトラブルでした。

事の発端は、公演会場に大型カメラを持ち込もうとした一部の韓国人ファンと、それを制止した現地の警備員との衝突です。韓国では「ホームマスター(通称:ホンマ)」と呼ばれる、プロ仕様のカメラでアイドルを撮影し、SNSにアップするファン文化が一定の市民権を得ていますが、海外では著作権や安全上の理由から厳格に禁止されているケースがほとんどです。

このトラブルがSNSを通じて拡散されると、現地のネットユーザーの間で「韓国人ファンの特権意識だ」「現地のルールを無視している」と反韓感情が爆発。単なるマナー違反に留まらず、東南アジア全体を巻き込むような「不買運動」にまで発展しかけました。

コ・ジョンミン教授は「特定のファンの行き過ぎた行動が、現地の『デジタル・ナショナリズム(ネット上の愛国主義)』を刺激し、文化交流を超えた外交的な爆発力を持ってしまう」と警鐘を鳴らしました。私たちが「応援のつもり」で行っている行動が、巡り巡って「推し」の活動場所を奪ってしまう可能性がある……。ファンとして、改めて身が引き締まる指摘です。

■ 「ポストBTS」の不在と、巨大プラットフォームに飲み込まれる制作現場

危機の原因は、ファンのマナーだけではありません。コ・ジョンミン教授は、独自の分析モデルを用いて、さらに踏み込んだ構造的な問題点を指摘しました。

一つ目は「キラーコンテンツの不在」です。
世界を席巻したBTS(防弾少年団(방탄소년단))のメンバーたちの兵役による空白期間は、やはり産業全体に大きな影を落としています。BTSに続く、世界を揺るがすような圧倒的なスターや作品がなかなか現れない現状を、製品としての「限界」と分析しています。

※韓国の「兵役(へいえき)」について
韓国の成人男性には約1年半〜2年の兵役義務があり、トップスターであっても避けては通れない道です。この期間、グループ活動が制限されるため、事務所やファンにとっては「空白期」をどう乗り切るかが最大の課題となります。

二つ目は「プラットフォームの支配」です。
現在、韓国ドラマや映画の多くがNetflix(ネットフリックス)やDisney+(ディズニープラス)などのグローバルプラットフォームを通じて世界に届けられています。これは拡散力がある一方で、韓国国内の制作会社が「下請け化」してしまい、利益の多くをプラットフォーム側に握られてしまうという「構造的な矛盾」を生んでいます。

さらに、圧倒的な資本力を背景に追い上げてくる中国コンテンツの台頭も、韓流のシェアを脅かす大きな要因となっています。

■ 「ライトなファン」をいかに増やすか?持続可能な韓流への道

セミナーの討論に参加した文化評論家のソ・ビョンギ(서병기)氏は、HYBE(ハイブ)議長のパン・シヒョク(방시혁)氏やJYPのパク・ジニョン(박진영)氏が、過去に人気番組『ユ・クイズ ON THE BLOCK(tvNのトーク番組)』で語った言葉を引用しました。

それは、「コアなファン(熱狂的なファン)だけに依存するビジネスモデルには限界がある」という点です。

今のK-POPは、一部の熱心なファンがCDを大量購入したり、ストリーミングを回したりすることで支えられている側面があります。しかし、産業をさらに大きくするためには、流行に敏感で、気軽に音楽やドラマを楽しむ「ライトなファン」をどれだけ増やせるかが鍵となります。そのためには、一部の過激なファン行動を抑制し、誰もが心地よく楽しめる環境作りが不可欠なのです。

コ・ジョンミン教授は、韓国特有の「危機を乗り越えるDNA」に期待を寄せています。これまでも韓流は、何度も「危機だ」と言われながら、そのたびに新しいジャンルや地域を開拓して進化してきました。今後は、特定のプラットフォームに依存しない新しい著作権システムの運用や、地域ごとのきめ細やかなリスク管理が必要になると提言しています。

私たち日本のファンにとっても、韓国エンタメはもはや生活の一部。だからこそ、現地のルールを尊重し、お互いに気持ちよく応援できる文化を育てていくことが、大好きな「推し」の未来を守ることにつながるのかもしれません。

マレーシアでの騒動のようなニュースを聞くと、少し悲しい気持ちになりますが、皆さんはファンとしてのマナーや、最近のK-POPの勢いについてどう感じていますか?「もっとこうなればいいな」という応援のアイデアがあれば、ぜひコメントで教えてくださいね!

出典:https://www.nc.press/news/articleView.html?idxno=608890

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