韓国の国民的アプリカカオトークの行方は?危機の時代を担う女性CEO、チョン・シナの素顔とAI戦略に迫る

韓国旅行へ行ったことがある方や、K-POPファン、韓国ドラマ好きの方なら、あの「黄色いアイコン」でおなじみのアプリ、カカオトーク(KakaoTalk)を知らない人はいないでしょう。韓国では「国民の9割以上が利用している」と言われるほど、もはやインフラの一部となっているこのアプリ。

今、そのカカオグループの舵取りを任されているのが、2024年に就任したチョン・シナ(정신아)代表理事(CEO)です。40代の女性リーダーとして注目を集める彼女は、一体どのような人物で、私たちが大好きな韓国コンテンツの未来をどう変えようとしているのでしょうか?

■ エリート街道から「危機のカカオ」の救世主へ

チョン・シナ(정신아)氏は1975年生まれ。韓国屈指の名門校である延世大学(ヨンセ大学:韓国の「SKY」と呼ばれるトップ3大学の一つ)を卒業後、米ミシガン大学でMBAを取得。ボストンコンサルティンググループやeBay、そして日本でもおなじみの「LINE」の親会社であるNAVERの前身、NHNなどでキャリアを積んだ、筋金入りのIT・投資のプロフェッショナルです。

彼女がCEOに就任した時期、実はカカオは創業以来の大きな試練に直面していました。創業者のキム・ボムス(김범수)氏が法的トラブルで拘束されるなど、企業イメージが揺らぐ「司法リスク」の真っ只中だったのです。

韓国社会では、企業のトップが法的な問題に巻き込まれることを「サボプリスク(司法リスク)」と呼び、株価や経営に大きな影響を与える一大事として扱われます。そんな厳しい状況下で、チョン・シナ氏はグループの混乱を鎮め、新たな成長戦略を打ち出す「消防士」のような役割を期待されて登場しました。

■ 「自前」にこだわらない柔軟なAI戦略への転換

チョン・シナ氏が打ち出した戦略の中で、最も注目すべきは「AI(人工知能)」への向き合い方です。

これまでカカオは、自社で巨大なAIモデルを開発することにこだわってきました。しかし、彼女は就任後、その方針を大胆に変更。世界最強のAIである「ChatGPT」を運営するオープンAI(OpenAI)や、Google(グーグル)といったグローバルなビッグテック企業と手を取り合う道を選びました。

2025年10月には、カカオトークの中で直接ChatGPTを使える「チャットGPT for カカオ」をリリース。これが大ヒットし、わずか数ヶ月で利用者が800万人を突破しました。トーク画面から離れることなく、AIに旅行の計画を立ててもらったり、おすすめの韓国グルメを聞いたりできる……そんな「AIの日常化」を彼女は進めています。

さらに、カカオ独自のAIエージェント「カナナ(Kanana)」のサービス開始も控えています。これは、ユーザーの好みを学習して、プレゼントのおすすめやスケジュールの管理をしてくれる、まさに「自分専用の秘書」のような存在。私たちが韓国のアイドルグッズを買ったり、コンサートの予定を立てたりする際にも、心強い味方になってくれそうですね。

■ 過去最高の売上を記録、その先に描くビジョン

こうした彼女の「選択と集中」は、目に見える数字となって現れました。2025年の連結売上高は約8兆991億ウォン(約9000億円)に達し、創業以来の過去最高記録を更新。営業利益も前年比で48%増という、驚異的な成長を見せました。

チョン・シナ氏は、単にITサービスを便利にするだけでなく、カカオが持つ「関係性(人と人とのつながり)」という強みを最大限に活かそうとしています。

私たち韓流ファンにとって、カカオは「推し」の情報を得る「オープンチャット」や、公式ファンカフェ(ファンとの交流を目的とした韓国独自のコミュニティサイト)、そして最新のK-POPが聴ける音楽配信サービス「Melon(メロン)」の運営母体でもあります。カカオがAI技術を駆使して進化することで、私たちの「推し活」もさらにスマートで楽しいものになっていくでしょう。

■ チョン・シナCEOが変える、これからの「韓国ライフ」

IT業界では珍しい女性リーダーとして、また投資の目利きとして、カカオを「ただのチャットアプリ」から「AI生活プラットフォーム」へと進化させているチョン・シナ氏。

彼女が目指しているのは、テクノロジーが私たちの生活の邪魔をするのではなく、背景でそっと支えてくれるような世界です。グローバル企業との提携を加速させる彼女の手腕によって、今後、日本のファンにとってもさらに使いやすく、魅力的なサービスが登場することが期待されます。

皆さんは、カカオトークの新しいAI機能にどんなことを期待しますか?例えば「推し」との会話をもっと楽しくしてくれるような機能があったら嬉しいですよね。ぜひあなたのアイデアや感想をコメントで教えてください!

出典:https://www.businesspost.co.kr/BP?command=article_view&num=432633

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