韓国映画界において「観客動員数1000万人」という数字は、単なるヒットを超えた、国民的現象を意味する聖域のような数字です。全人口の約5人に1人が観た計算になるこの金字塔を打ち立てたのが、映画『王と生きる男(原題:왕과 사는 남자)』のチャン・ハンジュン(장항준)監督です。
2026年3月11日、SBS(韓国の大手地上波放送局)の報道番組『ニュースハンターズ』に出演したチャン・ハンジュン監督。快挙達成後の意外すぎる日常や、パク・ジフン(박지훈)やユ・ヘジン(유해진)といった実力派キャストとの秘話を包み隠さず語り、大きな注目を集めています。
■「逆走の奇跡」が起こした1000万人突破のドラマ
韓国では公開初週の成績でその後の運命が決まると言われるほど、映画の興行競争は熾烈です。しかし、今回の『王と生きる男』は非常に珍しいパターンを辿りました。
チャン・ハンジュン監督は番組内で、「最初は予売率(前売り率)も低く、公開初日のスコアは予想の半分でした。また失敗したか……と制作会社と一緒に沈んでいました」と、当時の苦い心境を吐露しました。しかし、2週目、3週目と進むにつれて観客数が増えていくという、韓国映画界で10年に一度と言われる「ケッサラギ(個々の粒がしっかりした良質な米を指す言葉から転じ、口コミでじわじわとヒットが続くこと)」現象が起きたのです。
監督は、500万人を超えたあたりから「もしかして夢ではないか」と意識し始めたそう。共演した俳優のユ・ヘジン(유해진)からは「そんな(浮かれた)ことは言わないでください」とたしなめられたというエピソードも披露し、撮影現場での信頼関係の深さを感じさせました。
また、監督は「2000万人公約」を求められると、それを丁寧に断りました。「他の方々が精魂込めて作った映画も待機しています。一つの映画だけが独走するのは、その業界全体にとって良くないこと。同僚たちと一緒に幸せになりたい」と語る姿からは、韓国映画界の未来を思う「巨匠」としての品格が漂っていました。
■「朝鮮の顔」ユ・ヘジンと「努力の天才」パク・ジフン
本作の成功を支えたのは、何といっても俳優たちの熱演です。監督は、主演のユ・ヘジンについて「まさに国史(歴史)の教科書から飛び出してきたような顔。彼こそが本当の朝鮮の人、韓民族の顔だ」と独特の表現で称賛しました。台本という「文字」を「生きている生物」のように変える力がある、と全幅の信頼を寄せています。
そして、悲劇の王・端宗(タンジョン:朝鮮王朝第6代国王)であるイ・ホンウィ役を演じたパク・ジフン(박지훈)については、驚きの裏話を明かしました。
パク・ジフンといえば、アイドルグループ「Wanna One(ワナワン)」出身で、現在は演技派俳優としての地位を確立していますが、監督との初対面では少し意外な姿だったそうです。「最初に会った時、彼は少しふっくらしていて『ハンサムなドラえもん』のようでした(笑)」と監督。しかし、役作りのためにリンゴ2切れという過酷な食事制限をこなし、短期間でシャープな王の姿に変貌を遂げたといいます。「20代の俳優が持つには難しいほどの深い内面を持っている」と、そのプロ意識に舌を巻いていました。
さらに、悪役として知られる韓明橓(ハン・ミョンフェ)を再解釈したユ・ジテ(유지태)や、出番の少なさを承知で出演を決め、現場で役の深みを増してくれたチョン・ミド(전미도)など、豪華キャストへの感謝も忘れませんでした。
■CGのクオリティ不足も「潔く認める」監督の素顔
一方で、映画を観た観客からは「虎のCGが不自然だ」という厳しい声も上がっていました。これに対しチャン・ハンジュン監督は、言い訳をせずに事情を説明しました。
本来は4月か5月の公開を予定していたものの、テスト試写での反応があまりに良かったため、配給会社が最大の書き入れ時である「ソルラル(旧正月)」に合わせて公開を早めたのだそうです。その結果、CG作業の時間が足りなくなってしまったとのこと。
「CGのクオリティが低いのは残念ですが、俳優の演技が下手だったら致命的だった。CGが不自然なだけで済んで、むしろ幸いだと思うようにしています(笑)」と、ユーモアを交えて語る姿には、監督の人間味が溢れていました。現在は配信サイト(OTT)などでの公開に向けて、CGの修正作業を一毛一毛丁寧に進めている最中だといいます。
■「1000万監督」になっても変わらない日常
「1000万監督」という称号を得て、家庭での序列に変化はあったのでしょうか? チャン・ハンジュン監督の妻は、大ヒットドラマ『シグナル』や『キングダム』を手掛けたスター脚本家のキム・ウニ(김은희)さんであることは有名です。
監督は「残念ながら、家庭での地位は全く変わりません。娘も容赦なく私に意見を言いますし、家族の間で階級章(権威)は通用しません」と笑わせました。ただ、唯一の変化は、朝起きるとカカオトーク(韓国で最も使




