韓国映画界の現在地、イ・ジェミョン政府1年で支援金は増えるも制作現場の悩みは解消されず

Buzzちゃんの見どころ

韓国政府による映画観覧料6000ウォン割引券の225万枚配布や、656億ウォン規模の追加予算投入など支援が活発化しています。一方で映画の劇場公開から配信開始までの期間を巡る議論も続いています。

■ 支援拡大とヒット作の誕生で回復の兆し

イ・ジェミョン政府の発足から1年が経過し、韓国映画界は産業の回復と構造的な課題の解決という二つの局面に立たされています。この1年間、韓国映画界ではチャン・ハンジュン(장항준)監督の『王と生きる男』や、ホラー映画『殺木地(サルモクジ)』、さらにヨン・サンホ(연상호)監督の『群体』といったヒット作が次々と誕生しました。

特に『群体』は、第79回カンヌ国際映画祭のミッドナイト・スクリーニング部門に招待され、韓国内でも観客数200万人を突破する快挙を成し遂げました。また、ナ・ホンジン(나홍진)監督の『ホープ(HOPE)』がカンヌのコンペティション部門に、チョン・ジュリ(정주리)監督の『ドラ』が監督週間に招待されるなど、国際的な舞台でも韓国映画の存在感を示しています。

韓国文化体育観光部(日本の文部科学省に相当する行政機関)は、沈滞した映画産業を立て直すため、656億ウォン(約74億円)規模の追加更正予算を編成しました。中規模予算の映画制作支援や、独立・芸術映画への支援、先端技術を活用した制作支援などを通じて、コロナ禍以降に冷え込んだ現場へ資金を投入しています。また、観客を劇場に呼び戻すため、1枚あたり6000ウォン(約680円)の割引券を225万枚配布するなどの施策も実施されました。

■ 制作現場と政府支援の「ミスマッチ」という課題

政府の積極的な支援策により、2026年第1四半期の観客数は前年同期の2082万人から3190万人へと増加しました。制作費20億ウォン(約2億2千万円)以上の映画制作本数も、昨年の26本から今年は40本に増えるなど、数字の上では回復傾向にあります。

しかし、映画界の内部からは依然として懸念の声が上がっています。特に問題視されているのが、政府支援の執行方式です。現在の政府予算は単年度制(その年の予算はその年の中に使い切らなければならない制度)となっているため、数年かけて制作される映画やドラマの実情に合っていないという指摘です。せっかく支援金が決まっても、期限内に投資が全額集まらなければ返却しなければならないケースもあり、現場の制作サイクルに合わせた柔軟な予算運用が求められています。

また、中規模予算の「腰の据わった映画」が減少していることも深刻です。新人監督や俳優の登竜門となってきた中規模作品が減ることで、制作の生態系が硬直化し、多様性が失われることが危惧されています。

■ ホルバック問題と映画振興委員会への不信感

現在、韓国映画界で最大の論争となっているのが「ホールバック(Holdback)」です。これは映画が劇場で公開されてから、OTT(動画配信サービス)やIPTV(インターネットテレビ)などで配信されるまでの猶予期間を指します。

劇場の価値を守るために配信までの期間を長く設定すべきだという意見と、配信を長期間制限すると投資家が資金を回収できなくなり、制作意欲が削がれるという意見が対立しています。政府は民間協議会を通じて8月末までに結論を出す方針ですが、投資・配給会社側は一律的な法制化に強く反発しています。

さらに、映画行政を担う映画振興委員会(映画の振興を目的に設立された公的機関)に対する不信感も根強く残っています。現場の映画人たちからは、同委員会が現場の声に十分に耳を傾けておらず、支援事業の運営や予算確保において役割を果たせていないという批判が続いています。

政府はKカルチャーの産業規模を2030年までに400兆ウォン(約45兆円)に拡大する目標を掲げていますが、映画界が求めているのは単なる規模の拡大ではなく、劇場、配信、投資、制作が健全に循環するシステムの再整備であるといえます。

出典:https://www.ajunews.com/view/20260528123910296

📚 Buzzちゃんの豆知識

■ ホールバック(Holdback)

映画が劇場で公開されてから、他のプラットフォーム(VOD、OTT、テレビなど)で公開されるまでの一定の猶予期間のことです。配信が早すぎると劇場の観客が減ってしまうため、かつては一定のルールがありましたが、最近は配信プラットフォームの力が強まったことで、この期間をどう設定するかが韓国でも大きな議論になっています。

■ 映画振興委員会(KOFIC)

韓国映画の質的向上と産業の振興を図るために設立された文化体育観光部傘下の公共機関です。制作支援金の交付や、韓国映画の海外進出支援、映画に関する統計調査など、韓国映画界の心臓部ともいえる重要な役割を担っています。

Buzzちゃんの感想

最近は面白い映画が多くて嬉しいですが、制作の裏側では色々な悩みがあるんですね。特に「ホールバック」の話は、私たちファンにとっても劇場で観るか配信を待つかに関わるので他人事ではないなって思うんです。私はやっぱり好きな作品は大きなスクリーンで観たい派ですが、皆さんは映画館に足を運ぶ派?それともおうちでゆっくり配信を待つ派ですか?

  • X

コメント

PAGE TOP