韓国ドラマやK-POPを追いかけていると、一度は「韓国に行ってみたい!」と思いますよね。でも、実際に旅行計画を立てる時、目的地はどうしてもソウルや釜山(プサン)、あるいは「愛の不時着」などのロケ地として有名な済州島(チェジュド)に偏りがちではないでしょうか?
そんな中、今、韓国の「真ん中」に位置する忠清北道(チュンチョンブクト)が、世界中の韓流ファンを惹きつけるための壮大なプロジェクトを動き出させています。2026年3月、地元の有力紙「忠清日報(チュンチョンイルボ)」の創刊80周年を記念して開催された「忠北型K-コンテンツ開発のための未来戦略フォーラム」では、私たちがまだ知らない韓国の魅力が次々と語られました。
今回は、このフォーラムの内容を紐解きながら、日本の韓流ファンなら知っておきたい「次に流行る韓国の歩き方」をご紹介します。
■「通り過ぎる場所」から「泊まりたい場所」へ!地方の逆襲が始まる
フォーラムに登壇したソギョン大学のチェ・ヨンソク(최용석)教授は、現在の韓国を「建国以来最高のK-カルチャー全盛時代」と表現しました。K-POPやドラマだけでなく、食べ物(K-FOOD)、美容(K-BEAUTY)、さらにはウェブトゥーンや伝統文化まで、世界中の若者が「韓国人とはどんな人たちなのか?」「どんな精神を持っているのか?」を知りたがっているというのです。
しかし、ここで一つの大きな課題が浮かび上がります。2024年に韓国を訪れた外国人観光客は1700万人を超えましたが、そのほとんどがソウルに滞在し、たまに釜山や済州島に足を運ぶ程度。忠清北道のような地方都市は、どうしても「目的地」ではなく、目的地へ向かう途中の「経由地」になってしまっているのが現状です。
そこで打ち出されたのが、「外国人観光客が、少なくとも1泊はしたくなる理由を作る」という戦略です。
韓国では今、地方創生が大きなテーマになっています。日本でも地方の過疎化が課題ですが、韓国でもソウル一極集中を打破しようと、各自治体が必死に知恵を絞っています。忠清北道が目指すのは、単にソウルの真似をするのではなく、ここにしかない「本物の韓国」を体験できる場を作ることなのです。
■世界最古の印刷物「直指」をトレンドの「K-グッズ」に?
忠清北道の清州(チョンジュ)には、実は世界に誇る「お宝」があります。それが、ユネスコ世界記録遺産にも登録されている『直指(チクチ)』です。
豆知識:直指(チクチ)とは?
正式名称は『直指心体要節(チクチシムチェヨジョル)』。1377年に清州の興徳寺(フンドクサ)で印刷された、世界で最も古い「金属活字」による本です。ドイツのグーテンベルクが活字印刷を始めるよりも70年以上も早いという、韓国人の誇りとも言える歴史的遺産です。
チェ・ヨンソク教授は、この「直指」を単に博物館に飾っておく古い遺物として終わらせるのではなく、現代的で洗練されたデジタル資産やコンテンツに転換すべきだと提言しました。
最近、韓国の国立中央博物館が販売している「パステルトーンの半跏思惟像(はんかしゆいぞう)フィギュア」などが、韓国の若者や海外のファンの間で「センスが良すぎる!」と大ヒットしているのをご存知でしょうか?伝統を重んじつつも、現代のライフスタイルに合う「映える」デザインに落とし込む。そんな「K-グッズ」の波に乗り、忠清北道の伝統資産もリブランディングされようとしています。
さらに、清州(チョンジュ)で2年ごとに開催される「清州工芸ビエンナーレ(世界的な工芸の祭典)」を、2年に一度のイベントで終わらせるのではなく、365日いつでも楽しめる「工芸のアカデミー」に変えるという構想も語られました。職人の手仕事が見直されている今、韓国の伝統工芸を体験できるプログラムは、ディープな韓国ファンにとってたまらない魅力になりそうです。
■200万坪の巨大な「K-カルチャー・テーマパーク」構想も!
フォーラムで最もファンの心をワクワクさせたのは、約200万坪(!)という広大な敷地に、韓国のあらゆる文化資源を集結させた「K-カルチャー・テーマパーク」や「シティパーク」を造成しようという構想です。
外国人観光客の本音として、「陶芸も、テコンドーも、ハングルの勉強も、一箇所でまとめて体験したい」というニーズがあります。忠清北道は、道内の11の市や郡に点在している魅力的なリソースを一つにまとめ、そこに行けば「韓国のすべて」をワンストップで体験できる拠点を作ろうとしています。
韓国ドラマのセット場(撮影スタジオ)のような場所だけでなく、実際にそこに住み、文化を育む人々との交流ができる。そんな、単なる観光地を超えた「第二の故郷」のような場所が誕生するかもしれません。
■「国楽(グガク)」が新しい!忠州を伝統音楽のハブに
一方、忠州(チュンジュ)市の文化都市推進委員を務めたイ・ヨンヒ(이영희)氏は、韓国の伝統音楽である「国楽(グガク)」を、もっと身近で新しいコンテンツとして発信する重要性を説きました。
豆知識:国楽(グガク)とは?
韓国の伝統的な音楽のこと。カヤグム(琴)やヘグム(二胡に似た楽器)などの音色が特徴です。最近では、BTS(방탄소년단)(防弾少年団)のSUGA(シュガ)がソロ名義のAgust Dで発表した「Daechwita(大吹打)」など、現代の音楽に国楽を取り入れるアーティストも多く、若者の間でも「エモい」と再評価されています。
忠州市は、2027年までに総額200億ウォン(約22億円)の予算を投じ、「大韓民国・国楽コンテンツ・ハブ都市」を目指しています。地元の名唱(ミョンチャン、歌の達人)や奏者を起用した公演だけでなく、市民や観光客が日常的に国楽に触れられる空間を2000箇所以上も確保する計画です。
フォーラムでは、シルバー世代(高齢者層)に向けた国楽体験プログラムの成功例も紹介されました。世代を超えて愛される音楽が、地域の新しいブランドになろうとしています。
■「通り過ぎる忠北」から「わざわざ行きたい忠北」へ
今回のフォーラムを通じて見えてきたのは、韓国の地方都市が抱く「熱い危機感」と「大きな野心」です。
「首都圏のモデルを追いかけるのではなく、忠北にしかできないコンテンツで勝負すべきだ」
この言葉通り、忠清北道は今、歴史、科学技術、伝統音楽、そして現代のセンスを融合させ、これまでにない「韓国体験」を作ろうとしています。
ドラマの舞台としてだけでなく、その土地の歴史や音楽、工芸に触れる旅。次に韓国へ行く時は、ソウルから少し足を伸ばして、この「進化する忠清北道」を目的地に加えてみるのはいかがでしょうか?そこには、画面越しでは感じられなかった、もっと深くて熱い「韓国」が待っているはずです。
忠清北道の巨大テーマパークができたら、皆さんはまずどんな体験をしてみたいですか?
「伝統衣装を着て本格的な国楽を習ってみたい!」
「世界最古の印刷技術を体験してみたい!」
などなど、皆さんの「理想の韓国旅行」について、ぜひコメントで教えてくださいね!




