失恋の痛みより強烈だったその味?韓国で社会現象を巻き起こした伝説の元カレ・レシピとは

韓国ドラマや映画を見ていると、別れた恋人に未練たっぷりで電話をかけたり、夜中に「寝てる?(チャニ?/자니?)」とメッセージを送ったりするシーンをよく目にしますよね。そんな「元カレ・元カノ」への執着は、時に切なく、時に滑稽に描かれますが、いま韓国で語り継がれているある「執着」は、少し毛色が違います。

それは、愛よりも執着してしまった「思い出の味」にまつわる物語。韓国のネット掲示板から火が付き、ついには大手コンビニで商品化までされた伝説の「チョンナムチン・レシピ(전남친 레시피:元カレ・レシピ)」の正体と、その背景にある韓国特有の食文化をご紹介します。

■「復縁したいわけじゃないの!」勇気を出して送ったメッセージの中身

事の始まりは、ある韓国のネットコミュニティに投稿された1枚のスクリーンショットでした。投稿者の女性は、以前付き合っていた彼氏が作ってくれた「トースト」の味が忘れられず、悩みに悩んだ末、別れてからかなりの時間が経っていた元カレにカカオトーク(韓国で最も普及しているメッセンジャーアプリ)を送ったのです。

「突然ごめん。復縁したいとかそういうのじゃなくて、あんたが作ってくれたあのトーストのレシピ、どうしても教えてほしくて……」

日本でも、別れた相手に連絡するのは相当な勇気がいることですよね。韓国でも「別れたあとの連絡」は非常にデリケートな問題で、特に夜中の連絡は「未練の象徴」としてタブー視されることもあります。しかし、彼女の食欲は、気まずさやプライドを完全に上回ってしまったのです。

これに対し、元カレは困惑しながらも「マダム・ロキ(フランスのジャムブランド)のブルーベリージャムと、フィラデルフィアのクリームチーズ。パンを焼いてチーズを塗って、その上にジャムをのせて電子レンジで10秒……」と、丁寧にレシピを伝授してくれました。

このやり取りが「あまりにもシュールで面白い」「でもその味、気になる!」とネチズン(네티즌:インターネットユーザー)の間で爆発的に拡散。これが伝説の「チョンナムチン・トースト(元カレ・トースト)」誕生の瞬間でした。

■コンビニが動き、アイドルも真似をする社会現象に

このレシピのすごさは、単なるネタに留まらなかった点にあります。実際に試してみた人々から「本当に悪魔的な美味しさだ」「これを知るためなら、私も元カレに連絡する」といった絶賛の声が相次いだのです。

あまりの反響に、韓国の大手コンビニチェーンであるGS25(韓国で圧倒的シェアを誇るコンビニの一つ)が、実際に「チョンナムチン・トースト」という商品名でサンドイッチを発売。さらに、これに対抗して別のコンビニからは「チョンヨチン・サンドイッチ(전여친 샌드위치:元カノ・サンドイッチ)」なる、ピンク色のイチゴジャムを使った商品まで登場しました。

韓国のMZ世代(1980年代半ばから2010年代初頭に生まれた層)にとって、こうした「ネット発のストーリー」がある商品は、単なる食べ物以上の価値を持ちます。「あの面白いエピソードの味を自分も体験したい」という遊び心が、ヒットの原動力となったのです。

また、K-POPアイドルが配信アプリのWeverse(ウィバース)やYouTubeのコンテンツ内で、ファンに向けて「今日はあの有名なトーストを作ってみるね」と紹介することもあり、このトレンドはさらに加速しました。

■食べ物への「本気」が文化を動かす韓国

なぜ、これほどまでに一つのレシピが熱狂的に受け入れられたのでしょうか。そこには、韓国の人々の「食」に対する並々ならぬ情熱があります。

韓国語の挨拶には「ごはんは食べた?(パプ・モゴッソ?/밥 먹었어?)」という定番のフレーズがあるほど、食はコミュニケーションの中心です。また、韓国には「モッパン(먹방:食べる放送)」という文化があるように、美味しいものを追求し、その情報を共有することに大きな喜びを感じる国民性があります。

「恋愛の未練」という、本来なら少し湿っぽくなりがちなテーマを、美味しいレシピという「実利」で笑いに変えてしまう。このポジティブでたくましい感性は、まさに今の韓国カルチャーを象徴していると言えるでしょう。

また、こうしたエピソードはドラマの脚本にも影響を与えています。例えば、人気ドラマのなかで主人公が元恋人のSNSをチェックしながら「アイツ、あんなに美味しいものを一人で食べてるなんて!」と悔しがるような、コミカルなシーンのリアリティを支えているのも、こうした実話ベースの流行があるからなのです。

愛はいつか冷めるかもしれませんが、一度胃袋が覚えてしまった「あの味」は、そう簡単に忘れられるものではありません。あなたにも、もし別れた相手に連絡してでも聞き出したい「禁断のレシピ」はありますか?

「元カレに連絡してまでレシピを聞く」という彼女の行動、皆さんは「あり」ですか?「なし」ですか?
もし今の推しが作った料理なら、レシピどころか使ったお皿まで保存したくなっちゃいそうですよね。皆さんの「忘れられない思い出の味」も、ぜひコメントで教えてくださいね!

出典:https://www.chosun.com/national/weekend/2026/02/28/I2IAPLOARNGSZLSS6FT6CBTOWM/?utm_source=naver&utm_medium=referral&utm_campaign=naver-news

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