俳優の演技以外の背景や視覚効果をすべてAIで制作した長編映画『アパート』が初公開されました。スタジオでの撮影期間はわずか4日間、制作費は約5億ウォンと、実写制作と比較して5分の1程度のコストで完成しています。
■ 俳優の演技以外はすべてAI!驚きの制作手法
韓国の大手総合エンターテインメント企業であるCJ ENM(映画制作から放送、音楽まで幅広く手掛ける韓国最大のコンテンツ企業)は30日、ソウルのCGV龍山アイパークモールで開催された「CJ ENM カルチャートーク」において、AI技術を活用した長編映画『アパート(The House)』を初公開しました。
本作の最大の特徴は、出演する俳優の演技を除くすべての背景、視覚効果(VFX)、そして劇中に登場するクリーチャー(怪物)などがAIによって生成されている点にあります。演出を担当したJung Chang-ik(정창익)CJ ENM AIスタジオチーム長は「AIコンテンツは『いつ作られたか』を説明しなければならないほど、技術の発展速度が速い」と語り、最新技術が映画制作の現場を劇的に変えている現状を明かしました。
■ 制作期間とコストを大幅に削減した「ハイブリッド制作」
今回のプロジェクトには、今年2月に発足した産学協力機構「AIコンテンツアライアンス」に所属する制作スタジオThe Han Film(더한필름)とSalt Makers(쏠트메이커스)が共同で参加しました。
具体的な制作過程としては、まずAIで背景画像を生成し、それを3Dで具現化。その後、各カットの構図やアングルに合わせた空間画像を確保した上でAI映像として制作し、さまざまな技術を組み合わせて細部を補強するという、非常に精巧な工程を経て完成に至りました。
この手法により、驚異的な効率化が実現しました。出演した俳優のKim Shin-yong(김신용)によれば、本来なら大規模なロケやセットが必要な内容であるにもかかわらず、すべての撮影を室内スタジオのみ、わずか4日間で終えたといいます。制作費についてもJung Chang-ikチーム長は「一般的な制作方式であれば、少なくとも5倍以上の費用がかかっていただろう」と述べ、約5億ウォン(約5500万円)という低予算での長編映画制作が可能であることを証明しました。
■ 技術の進化を象徴する「ナノ・バナナ」と今後の課題
制作の背景には、急速に進化するAIモデルの存在があります。Jung Chang-ikチーム長は、Googleの「ナノ・バナナ」という技術が業界において大きな転換点になったと指摘しました。制作途中で技術が高度化したため、数日間解決できなかったシーンが翌日には実装できるという経験もしたといいます。
一方で、技術的な課題も残されています。現在、AIで生成可能な映像は2K以下の解像度であるのに対し、俳優の撮影素材は4Kであるため、その解像度差を埋めるための補正作業が必要となりました。また、キャラクターの同一性を維持する技術は向上したものの、背景の同一性を保つことについては依然として課題が残っていると分析されています。
■ 社会の闇を描いたオカルト・スリラーとしての完成度
映画『アパート』は、死者の魂を見ることができる主人公「ユミ」が、新しく引っ越した先で奇妙な事件に遭遇するオカルト・スリラーです。物語の根底には「共同体の無関心と傍観、資産価値(マンション価格)を優先する利己心が招いた悲劇」という重厚なテーマが込められています。
試写会に参加した関係者からは「技術の確認に集中してしまうほど引き込まれる力がある」という声や「特定のシーンではかなりの恐怖と哀悼の感情を抱かせる」といった評価が出ており、単なる技術デモンストレーションに留まらない、映画としての完成度にも期待が寄せられています。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 韓国の「アパート」事情
韓国で「アパート」といえば、日本のマンションのような高層集合住宅を指します。韓国社会においてアパートは単なる住居ではなく、資産価値や社会的ステータスの象徴としての側面が非常に強いです。そのため、不動産価格への影響を恐れて事件を隠蔽しようとする心理など、アパートを舞台にした社会派のホラーやスリラー作品が多く作られる傾向にあります。
■ CJ ENM
韓国最大のコンテンツ企業で、映画『パラサイト 半地下の家族』の制作・配給や、音楽チャンネル「Mnet」、ドラマ制作会社「スタジオドラゴン」などを傘下に持っています。コンテンツ制作能力は世界トップクラスですが、今回のようにAI技術を積極的に取り入れることで、制作費の削減と表現の幅を広げる挑戦を続けています。
私は『財閥家の末息子』のようなミステリー要素がある作品が大好きなので、この『アパート』の「社会の無関心が招く悲劇」というテーマにはすごく惹かれます。それにしても、撮影がたったの4日で終わるなんて、俳優さんにとっては集中力が試される現場だったんでしょうね。皆さんは、背景がすべてAIで描かれた映画に違和感を感じる派ですか?それとも最新技術として楽しみたい派ですか?





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