「最近、じっくりドラマを見る時間が取れない」「スマホでサクッと面白いものが見たい」……そんな現代人のライフスタイルに合わせて、韓国エンタメ界に今、巨大な地殻変動が起きています。
これまでの韓国ドラマといえば、1話60分、全16話というのが王道でした。しかし、今まさに注目を集めているのは、1話わずか「1〜2分」という超短尺の「ショートフォームドラマ」です。しかも、かつての「ウェブドラマ(若手俳優の登竜門的な低予算作品)」とは一線を画し、超大物監督や実力派俳優たちがこぞってこの市場に飛び込んでいるのです。
なぜ今、韓国のスターたちは「1分のドラマ」に夢中なのでしょうか?その裏側にある熱い事情を紐解きます。
■巨匠イ・ジュンイク監督も参戦!「実験」から「産業」への進化
これまでショートフォームドラマは、SNS用の軽いコンテンツや、新人俳優の顔出し的な位置づけでした。しかし今、その常識が覆されています。
映画『王の男(イ・ジュンギ主演のヒット作)』などで知られる韓国映画界の巨匠、イ・ジュンイク(이준익)監督が、ショートドラマプラットフォーム「レジンスナック」で、ウェブ漫画原作の『父のご飯(아버지의 집밥)』の演出を務めることが決まりました。さらに、出演者として検討されているのが、チョン・ジニョン(정진영)、イ・ジョンウン(이정은)、ビョン・ヨハン(변요한)といった、日本でもおなじみの名優たちです。
また、映画『エクストリーム・ジョブ(観客動員数1600万人超えのコメディ映画)』やドラマ『メロが体質(30代女性の日常を描いた人気作)』で独特のセリフ回しを披露したイ・ビョンホン(이병헌)監督(※同姓同名の俳優とは別人)も、ショートドラマ『子供の父親は男友達(애 아빠는 남사친)』を手掛けています。
これほどの「Aリスト」のクリエイターたちが動いている理由は、現在の韓国ドラマ界が直面している課題にあります。
現在、韓国ではドラマの制作費が高騰し、1作品に数百億ウォン(数十億円)かかることも珍しくありません。しかし、制作本数や放送枠(韓国語で「ピョンソン/編成」と呼びます)が削減されており、大作1本の失敗が制作会社の存亡に関わるほどリスクが大きくなっています。一方、ショートドラマは制作費を抑えつつ、1〜2週間で撮影を終えるという「低コスト・高回転」が可能です。このスピード感が、変化の激しい現代のエンタメ業界にフィットしたのです。
■NCTのメンバーも登場!「推し活」×「ショートドラマ」の相性
俳優だけでなく、アイドルの世界でもこの流れは加速しています。グローバルなK-POPファンをターゲットにしたプラットフォーム「KITS(キッツ)」では、NCT(エヌシーティー)のメンバーであるジェノ(제노)とジェミン(재민)を起用したショートドラマ『ワインドアップ(와인드업)』を公開しました。
これが公開わずか2日で300万回再生を突破。ファンの間では「推しの新しい姿が短時間で何度も見られる!」と大きな反響を呼んでいます。
他にも、イ・サンヨプ(이상엽)やイ・ドンゴン(이동건)、パク・ハソン(박하선)といった地上波ドラマの主演級俳優たちが、次々とショートドラマへの出演を決めています。韓国では現在、テレビ離れが進む一方で、移動中や休憩時間にスマホを縦にして楽しむ「スナックカルチャー(お菓子を食べるようにコンテンツを消費する文化)」が完全に定着しており、スターたちにとっても新しいファン層を開拓する絶好のチャンスとなっているのです。
■中毒性抜群の「ドパミンドラマ」にご用心?
ショートドラマの最大の特徴は、その「構成」にあります。1分という短い時間の中で、視聴者を惹きつけ続けなければなりません。そのため、ほぼ毎話のラストに強烈な引きを作る「クリフハンガー(次が気になって仕方ない演出)」が多用されます。
韓国では今、こうした刺激的で中毒性の高いコンテンツを、脳内物質になぞらえて「ドパミン(도파민)ドラマ」と呼んだりします。出生の秘密、復讐、不倫といった、いわゆる「マクチャンドラマ(展開が強引でドロドロした愛憎劇)」の要素が、ギュッと1分に凝縮されているイメージです。
一方で、あまりに刺激ばかりを追い求め、ストーリーの深みがなくなるのでは?という懸念の声もあります。しかし、前述したような巨匠たちが参戦することで、今後は「短くてもクオリティが高い」「短編映画のような余韻がある」作品が増えていくことが期待されています。
「続きが見たいなら課金してね」というスタイルが主流のショートドラマですが、グローバル市場への進出も本格化しており、日本からも手軽に見られる作品が今後ますます増えていくでしょう。
お気に入りの俳優が、スマホの中の「1分」でどんな新しい表情を見せてくれるのか。韓国ドラマの新しい扉が、今まさに開こうとしています。
巨匠たちの参戦で、ショートドラマが「ただの短い動画」から「新しい芸術」へと進化しようとしています。皆さんは、1話1分のドラマにどんな魅力を感じますか?もし自分の「推し」が1分ドラマに出演するとしたら、どんな役をやってほしいですか?ぜひコメントで皆さんの妄想や期待を聞かせてくださいね!
出典:https://www.pdjournal.com/news/articleView.html?idxno=81152
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