韓国エンタメ界から、映画ファンの心を熱くさせるビッグニュースが飛び込んできました。バラエティ番組での親しみやすいキャラクターでお馴染みのチャン・ハンジュン(장항준)監督が、最新作『王と生きる男(왕과 사는 남자)』でついに観客動員数1000万人突破という大記録を打ち立てました。
韓国において「1000万映画」というのは、単なるヒットを超えた国民的ブームの証です。人口約5000万人の韓国で5人に1人が観た計算になり、日本で言えば興行収入100億円を大きく超えるような、社会現象級のインパクトを意味します。
これまで「ヒットメーカーの妻を持つ夫」や「愛すべきバラエティタレント」として語られることの多かったチャン・ハンジュン監督が、いかにしてこの頂点に辿り着いたのか。その軌跡と、現地での熱狂ぶりをお伝えします。
■「涙跡のないマルチーズ」が流した、本物の涙
チャン・ハンジュン監督といえば、日本の韓流ファンの間でも「あの面白い監督さん」として認知されているかもしれません。彼の妻は、日本でもリメイクされたドラマ『シグナル(시그널)』や、Netflixで世界的人気を博した『キングダム(킹덤)』を手掛けたスター脚本家、キム・ウニ(김은희)さんです。
あまりにも偉大な妻を持ち、さらに本人も明るく楽天的な性格であることから、韓国では「神が授けた蜜のような人生(苦労知らずの幸運な人生)」と称されることも。特に、苦労知らずでいつも幸せそうに見えることから「涙跡のないマルチーズ(눈물 자국 없는 말티즈)」という独特なニックネームで親しまれてきました。韓国では、涙やけのない白いマルチーズは大切に育てられている象徴とされるため、彼がいかに愛されキャラであるかがわかる比喩です。
しかし、映画監督としての道のりは決して平坦ではありませんでした。1993年に映画界入りし、2002年に『ライターをつけろ(라이터를 켜라)』で華々しく監督デビューを飾ったものの、その後の作品は興行的に苦戦が続きました。一時はドラマの脚本家に活動の場を広げ、妻のキム・ウニさんと共同執筆したドラマ『サイン(싸인/法医学捜査官が主人公のサスペンス作品)』をヒットさせるなどしましたが、映画監督としての「一発」には恵まれない時期が長く続いたのです。
転機が訪れたのは2017年のミステリー映画『記憶の夜(기억의 밤)』。この作品で初めて損益分岐点を超え、監督としての実力を再証明しました。しかし、2023年に公開された実話ベースの青春映画『リバウンド(리바운드)』では、作品の評価こそ高かったものの、興行成績は振るわず。チャン・ハンジュン監督は後にバラエティ番組で「公開初日の動員数を見て、一人でわんわん泣いた」と、その悔しさを告白しています。あの「涙跡のないマルチーズ」が、映画への情熱ゆえに涙を流していたのです。
■「キム・ウニの夫」という看板を下ろし、巨匠の仲間入りへ
そんな苦労の末に世に送り出したのが、今回の『王と生きる男』でした。韓国映画振興委員会の集計によると、同作は公開31日目にして累積観客数1004万9737人を記録。2024年の大ヒット作『犯罪都市4(범죄도시4)』以来、約2年ぶりとなる1000万映画の誕生に、韓国映画界全体が活気づいています。
この映画は歴史的な事実をベースに、魅力的なキャラクターたちが織りなす濃厚な人間ドラマが観客の心を掴みました。これまで「有名脚本家の夫」というレッテルが先行しがちだったチャン・ハンジュン監督ですが、今や名実ともに韓国を代表する「1000万監督」の仲間入りを果たしたのです。
今回の快挙を受け、チャン・ハンジュン監督は「一度も想像したことのない状況。自分も家族も喜んでいるが、同時にとても慎重な気持ちになっている。あまりにも良いことがあると、次は悪いことが起きるのではないかと怖くなるくらいだ」と、彼らしい謙虚で率直なコメントを残しています。さらに「目が覚めたらすべて夢だった、なんてことにならないでほしい」と語り、その喜びを噛み締めている様子が伝えられました。
■韓国映画界の希望となった「あきらめない心」
今回の成功は、単なる一監督の勝利以上の意味を持っています。近年、OTT(動画配信サービス)の普及やチケット代の高騰により、韓国の映画館はかつてないほどの苦境に立たされていました。そんな中で、配信ではなく「映画館で観るべき物語」を提示し、これほどの観客を呼び戻した功績は計り知れません。
チャン・ハンジュン監督の歩みは、日本のファンにとっても勇気を与えてくれるものです。何年も、何十年も「誰かの影」と言われ、失敗に涙しても、映画への愛を捨てずに挑戦し続けた結果が、この1000万という数字に繋がったのです。
主演を務めたパク・ジフン(박지훈/アイドルグループWanna One出身の俳優)など、キャスト陣との信頼関係も話題となった本作。チャン・ハンジュン監督が描く独特の世界観が、今後どのように広がっていくのか期待が高まります。
「神から与えられた幸運」ではなく「自らの情熱で掴み取った成功」を証明したチャン・ハンジュン監督。次に彼が流す涙は、きっとまた別の感動の場になるはずです。
チャン・ハンジュン監督の「あきらめない物語」、皆さんはどう感じましたか?「キム・ウニさんの夫」としてではない、監督としての彼の作品で、皆さんの心に残っている一作があればぜひコメントで教えてくださいね!
出典:https://isplus.com/article/view/isp202603080065





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