舞台を切り裂く美学!パク・ヘス主演テョファマンバルが描く2000年の孤独と圧倒的ビジュアル

韓国の演劇界に、これほどまで「スタイリッシュ」という言葉が似合う作品があったでしょうか。今回ご紹介するのは、韓国演劇界の巨匠が10年ぶりに世に送り出し、当時大きな話題を呼んだ衝撃作「テョファマンバル(됴화만발:桃花満開)」です。

本作で主演を務めるのは、今や世界的なスターとなったパク・ヘス(박해수)さん。Netflixドラマ「イカゲーム」や「ペーパー・ハウス・コリア」で見せる圧倒的な存在感の原点が、実はこの舞台にあったといっても過言ではありません。

■坂口安吾の名作が韓国で「武侠アクション」に進化!

「テョファマンバル」の物語は、日本文学ファンならピンとくるかもしれません。実はこの作品、無頼派作家として知られる坂口安吾の短編小説「桜の森の満開の下」をモチーフにしているのです。

しかし、そこは韓国演劇界きってのヒットメーカー、チョ・グァンファ(조광화)演出家。原作の持つ狂気と美しさをベースにしながらも、舞台を古代から現代へと続く壮大なスケールにアップデートしました。さらに、日本の「桜」を、武陵桃源(東洋のユートピア)を象徴する「桃の花(桃花)」へと置き換えた点も、韓国らしい情緒を感じさせるポイントです。

物語の主人公は、秦の始皇帝の時代から現代に至るまで、2000年以上もの時を一人で生きてきた不老不死の剣客、ケイ。死ぬことのできない運命を背負った彼が、長い歳月の果てに何を見つめるのか……。約2時間、観客は彼の孤独な旅路に立ち会うことになります。

韓国では「武侠(ムヒョプ)」というジャンルが非常に人気があります。これは中国の武術映画に近い世界観ですが、韓国では独自の発展を遂げており、本作でもその要素がふんだんに取り入れられています。単なる時代劇にとどまらず、SFやファンタジー、怪談が融合した独特の世界観は、まさに「大人のためのダークファンタジー」といった趣です。

■「言葉」よりも「動き」で語る、若きパク・ヘスの圧倒的身体能力

主演のパク・ヘスさんは、当時「思春期」や「39階段」といった舞台で実力を認められていた、演劇界の期待の星でした。この「テョファマンバル」で彼に課せられたミッションは、膨大なセリフではなく、その「肉体」で観客と対話すること。

2000年を生き抜いた剣客という役どころゆえに、鋭い眼光と鍛え上げられた動きが求められましたが、パク・ヘスさんは見事にそれに応えました。武術監督ではなく「振付家」が演出したというアクションシーンは、まるで洗練されたミュージックビデオのような美しさ。刀を振るう一挙手一投足がダンスのように優雅で、それでいて力強いのです。

韓国の俳優さんは、大学の演劇映画科などで基礎から徹底的に身体表現を叩き込まれる人が多く、パク・ヘスさんもその代表格。劇場の空気を一瞬で変えてしまう彼のカリスマ性は、この頃からすでに完成されていたことがわかります。

■「理解」するのではなく「感覚」で浴びる舞台

「テョファマンバル」の最大の特徴は、既存の演劇の文法を打ち破る圧倒的なビジュアル表現にあります。

伝統楽器であるヘグム(二胡に似た韓国の擦弦楽器)の物悲しくも鋭い旋律が響き渡る中、舞台上には幻想的な桃の花が舞い散ります。その光景は、時に美しく、時に恐ろしい怪談のように観客の視覚に訴えかけてきます。

チョ・グァンファ演出家は「理解と感覚は紙一重だ」と語っています。ストーリーを頭で追おうとすると少し難解に感じるかもしれませんが、五感を研ぎ澄ませて舞台上のイメージに没入すれば、言葉を超えた「人間存在の孤独」がダイレクトに伝わってくるはずです。

韓国の演劇の聖地といえばソウル・大学路(テハンノ)が有名ですが、本作が上演された「南山(ナムサン)芸術センター」も、実験的で質の高い作品を多く輩出する重要な拠点です。こうした場所で、漫画やアニメのような想像力と、深い演劇的哲学が融合した作品が生まれるところに、韓国文化の層の厚さを感じずにはいられません。

2000年の時を越えて咲き誇る桃の花の下、孤独な剣客は何を想ったのか。パク・ヘスという名優が全身全霊で挑んだこの伝説的な舞台、もしタイムマシンがあるなら、当時の劇場の熱気を肌で感じてみたいものです。

皆さんは、パク・ヘスさんの出演作の中で一番好きなキャラクターは誰ですか?「イカゲーム」のサンウ役や「刑務所のルールブック」のジェヒョク役など、彼の魅力的な役柄について、ぜひコメントで語り合いましょう!

出典:http://www.cine21.com/news/view/?mag_id=67372&utm_source=naver&utm_medium=news

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