伝説のインディーズ映画がついに配信!アン・ジェホン出世作ジョング王がNetflixに登場、韓国で評価8.9点の傑作コメディとは?

「えっ、あの名作がついに解禁されるの?」

韓国の映画ファンの間で、今そんな喜びの声が上がっています。その理由は、ある一冊の「伝説的なインディーズ映画」が、世界最大の動画配信サービスNetflix(ネットフリックス)で公開されることが決まったからです。

その作品のタイトルは、『ジョング王(족구왕)』(2014年公開)。

公開当時のポータルサイトでの評価は、なんと10点満点中「8.9点」という驚異的な数字を叩き出しました。大作映画でもこれほどの高評価を維持するのは難しい中、低予算の独立映画(インディーズ映画)がこれほど愛されたのは、まさに異例中の異例と言えます。

今回は、なぜこの映画が今再び注目を集めているのか、そして主演を務めたあの「名俳優」の原点とは何なのか、日本のファンの皆さんにその魅力を深掘りしてお伝えします。

■「ジョング(足球)」って何?韓国特有の文化が詰まった青春コメディ

まず、タイトルの『ジョング王』にある「ジョング(足球/족구)」という言葉に、耳馴染みのない方も多いかもしれません。

ジョングとは、ネットを挟んで足や頭を使ってボールを打ち合う、韓国で非常にポピュラーなスポーツです。バレーボールとテニス、そしてサッカーを掛け合わせたようなルールで、特に韓国の「軍隊」では休憩時間の定番メニュー。そのため、韓国の男性にとっては「青春の思い出」であり、同時に「ちょっと泥臭いおじさんのスポーツ」というイメージも持たれています。

物語の主人公は、軍隊を除隊して復学した大学生のホン・マンソプ。彼はそんな「ジョング」をこよなく愛する青年です。しかし、久しぶりに戻ったキャンパスから、なんと彼の唯一の楽しみだったジョング場が撤去されてしまっていたのです。

「恋愛もしたい、就職活動もしなきゃいけない。でも、俺はジョングがしたいんだ!」

そんなマンソプの突拍子もない情熱が、学歴社会や就職難に追われる冷めた大学生たちの心を、少しずつ動かしていく……というのがこの映画のあらすじです。

ここで少し、韓国の大学文化についても触れておきましょう。
劇中のマンソプは「復学生(ボッカクセン/복학생)」と呼ばれます。韓国では男性に兵役義務があるため、大学を1〜2年通った後に休学して入隊し、数年後に再び大学に戻ってくるのが一般的です。この「復学生」は、年下の現役生たちから「ちょっと空気の読めない年上の先輩」として扱われることも多く、マンソプのキャラクターはその「ちょっと残念だけど憎めない復学生」のイメージを完璧に体現しています。

■俳優アン・ジェホンの「真骨頂」はここから始まった!

さて、この映画を語る上で絶対に欠かせないのが、主演を務めた俳優のアン・ジェホン(안재홍)さんです。

最近ではNetflixシリーズ『マスクガール(마스크걸)』(外見コンプレックスを持つ女性の波乱を描いたドラマ)での衝撃的な役作りや、『タッカンジョン(닭강정)』(娘がタッカンジョンに変わってしまう奇想天外なコメディ)でのコミカルな演技で、日本でもその名を知る人が増えていますよね。

実は、彼が「コメディ演技の天才」として韓国で一躍脚光を浴びるきっかけとなったのが、まさにこの『ジョング王』だったのです。

当時の彼はまだ無名の新人でしたが、本作で見せた「シュールなのにどこか切ない」絶妙な演技が業界内で高く評価されました。その後、日本でも大人気のドラマ『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜(응답하라 1988)』で、食べることが大好きな長男ジョンボン役を射止め、国民的な人気俳優へと駆け上がっていきました。

アン・ジェホンさんの演技の魅力は、何と言っても「その辺に本当にいそう」と思わせる圧倒的なリアリティと、一瞬で視聴者を笑顔にする独特の間(ま)にあります。今回のNetflix配信は、彼の原点とも言える瑞々しい演技をチェックする絶好のチャンスです。

■なぜ10年前の映画が、今Netflixで配信されるのか?

『ジョング王』は、公開当時はごくわずかな映画館でしか上映されない小さな作品でした。しかし、SNSを通じて「めちゃくちゃ面白い!」「笑えるのに最後は泣ける」と口コミが広がり、最終的にはインディーズ映画としては異例の4万人を超える観客を動員した、いわゆる「逆走(チャート逆行)ヒット」の先駆け的な作品なのです。

今回のNetflixでの配信は、単独の公開ではなく「韓国独立映画コレクション」のような形で、他の名作たちと共にラインナップされる予定だそうです。

一緒に公開される予定のリストには、
・『ハウス・オブ・ハミングバード(벌새)』(1994年のソウルを舞台にした少女の成長物語)
・『なまず(메기)』(独特の世界観が光るミステリーコメディ)
・『 Bleak Night(原題:パスクン/파수꾼)』(若者の葛藤を繊細に描いた名作)
といった、韓国映画界の至宝とも言えるインディーズ作品たちが名を連ねています。

韓国では今、巨額の制作費を投じたブロックバスター映画だけでなく、こうした個性的でメッセージ性の強い「小さな映画」をOTT(動画配信サービス)で楽しむ文化が定着しています。映画館では見逃してしまった名作を、自宅で気軽に楽しめるようになったのは、ファンにとっても非常に嬉しい流れですね。

■今の時代にこそ響く「好きなことを貫く勇気」

『ジョング王』が公開から10年経っても愛され続けている理由は、単に面白いからだけではありません。

今の韓国社会(そして日本も同様ですが)は、常に他人と比較され、スペック(資格や経歴)を積み上げることが求められる「無限競争社会」です。そんな中で、「ジョングなんてやって何になるの?」という周囲の冷ややかな視線を浴びながらも、ただただ自分の好きなことに没頭するマンソプの姿は、観る者に「本当に大切なものは何か」を問いかけてくれます。

約104分という、映画としては非常に観やすいサイズ感も魅力の一つ。週末の夜に、おいしい韓国料理を食べながらリラックスして観るのにぴったりの作品です。

アン・ジェホンさんの若かりし頃の熱演と、韓国ならではのシュールな

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