ヨム・ヘラン最新作がベルリンで絶賛!悲劇の記憶を刻む済州島4・3事件をテーマにした映画と舞台に注目

美しい海と豊かな自然に囲まれ、日本人のファンにとっても人気の観光地である済州島(チェジュド)。春になると菜の花や桜が咲き誇り、穏やかな時間が流れるこの島ですが、実は韓国現代史において最も深く、痛ましい傷跡を抱えた場所であることをご存じでしょうか。

今、韓国では、その歴史的悲劇である「済州4・3事件(チェジュササムじけん)」をテーマにした映画や演劇が次々と公開・上演され、大きな注目を集めています。特に、実力派女優ヨム・ヘラン(염혜란)が主演を務める映画が世界的な映画祭で高く評価されるなど、エンターテインメントの枠を超えた社会的なムーブメントとなっています。

■ ベルリンが熱狂!ヨム・ヘランが演じる「母の約束」

今回の話題の中心にあるのが、チョン・ジヨン(정지영)監督の最新作「私の名前は(내 이름은)」です。チョン・ジヨン監督は「折れた矢(2012年の実話をもとにした法廷映画)」などで知られる、韓国映画界の巨匠です。

本作は、第76回ベルリン国際映画祭(世界三大映画祭の一つ)で、「悲劇が残した沈黙を破る、驚くべき響き」と絶賛されました。物語は、古臭い自分の名前を捨てたいと願う18歳の少年ヨンオク(シン・ウビン(신우빈))と、その名を守り抜こうとする母ジョンスンの姿を描いたミステリードラマです。

ここで注目すべきは、母ジョンスンを演じるヨム・ヘランの圧倒的な演技力です。日本でも大ヒットしたドラマ「ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜(ソン・ヘギョ主演のリベンジスリラー)」の復讐の助っ人役や、「マスクガール(ネット配信者を巡るサスペンス)」での強烈な母親役で、その名を知るファンも多いはず。本作でも「スクリーンを爆発させるほどの重厚感がある」と現地で高く評価されました。名前に隠された50年前の約束、そして済州島の悲劇へと繋がっていく真実は、観る者の心に深い余韻を残します。

■ 「済州4・3事件」とは?なぜ今、語られるのか

ここで少し、背景となる「済州4・3事件」について触れておきましょう。これは1947年から1954年にかけて、済州島で発生した武力衝突と、その鎮圧の過程で多くの島民が犠牲となった事件です。当時の島民の10人に1人にあたる、約2万5千人から3万人もの命が失われたと言われています。

長らくこの事件を語ることはタブー視されてきましたが、近年になってようやく真相究明が進み、昨年には関連記録がユネスコ世界記録遺産にも登録されました。4月3日の追悼記念日を前に、韓国ではこの歴史を「忘れてはならない記憶」として、芸術を通じて語り継ごうとする動きが活発になっているのです。

■ 舞台で蘇る「海女」たちの声と、日本との絆

映画だけでなく、演劇界でも心揺さぶる作品が登場しています。

ソウル・大学路(テハンノ、ソウルの演劇の聖地)にある大学路芸術劇場では、2つの注目作が上演されます。一つは、プロアクションIDAによる「ドンバガシ、コイレ(돔박아시, 고이래)」。この作品は、実際の生存者や遺族の証言をもとに構成されており、俳優たちが現地でのフィールドワークを通じて習得した済州の方言(チェジュ語)で演じられます。済州の方言は韓国標準語とも大きく異なり、ユネスコの消滅危機言語にも指定されている貴重な文化の一部です。

もう一つは、劇団58番国道の「海女ヨンシム(해녀 연심)」です。この作品は、日本に住む私たちにとっても身近なテーマを扱っています。主人公は、5歳の時に済州島に一人残された過去を持つ海女のスジャ(クォン・ジスク(권지숙))。彼女が孫娘とともに、大阪に住む危篤の母ヨンシム(イ・ヘミ(이혜미))を訪ねる物語です。

実は、事件当時やその前後の混乱期に、多くの済州島の人々が海を渡り、日本の大阪・鶴橋などに移り住んだ歴史があります。この舞台は、済州と大阪という二つの土地を舞台に、世代を超えて受け継がれる家族の絆とアイデンティティを問い直します。

■ 旅の景色が変わる、エンタメが繋ぐ「記憶」

韓国ドラマや映画を愛するファンにとって、作品のロケ地巡りは大きな楽しみの一つです。済州島も、多くのドラマで「癒やしの島」として描かれてきました。しかし、今回紹介した作品たちを通じて事件の背景を知ると、済州島の美しい青い海や、あちこちに咲く赤い椿(ツバキ)の花が、また違った意味を持って見えてくるはずです。ちなみに、椿の花は「4・3事件」の犠牲者たちの魂を象徴する花として、今も大切にされています。

ヨム・ヘランのような名優たちの演技を通じて、私たちは遠い国の歴史ではなく、そこに生きた人々の体温を感じることができます。悲劇を乗り越え、平和を願う韓国の人々の心の深さに触れることで、作品への理解もより一層深まるのではないでしょうか。

皆さんは、映画やドラマを通じて韓国の歴史や文化に興味を持ったことはありますか?今回のヨム・ヘランさんの新作映画、もし日本で公開されたらぜひ映画館でその熱演を確かめたいですね。あなたが一番心に残っている「歴史をテーマにした韓国作品」があれば、ぜひコメントで教えてください!

出典:https://www.womennews.co.kr/news/articleView.html?idxno=275065

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