ミセンや梨泰院クラスの名曲を生んだ音楽監督パク・ソンイルが警告!AI時代の到来で韓国ドラマの魂が消える?制作現場の切実な声

韓国ドラマを観ていて、ふと流れてくるメロディに涙がこぼれた経験はありませんか?韓国ドラマにおいて、OST(オリジナル・サウンドトラック)は単なる背景音楽ではなく、登場人物の心の声を代弁する「もう一人の主人公」とも言える重要な存在です。
そんな数々の名シーンを彩ってきた名匠、パク・ソンイル(박성일)音楽監督が今、急速に普及するAI(人工知能)技術に対して、クリエイターの視点から切実な警鐘を鳴らしています。私たちが愛してやまない「韓ドラの情緒」が、今まさに岐路に立たされているというのです。
■「ミセン」「梨泰院クラス」…名作の裏側にある「0.1mmのこだわり」
パク・ソンイル監督の名前を聞いてピンとこない方でも、彼の音楽を聴けば「ああ、あの曲!」と思い出すはずです。
彼は、社会現象を巻き起こした「ミセン-未生-(イム・シワン主演、厳しい格差社会を描いたヒューマンドラ)」をはじめ、「シグナル(時空を超えた無線機で事件を追うサスペンス)」、「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~(イ・ソンギュン、アイユー主演のヒーリングドラマ)」、そして日本でも大ヒットした「梨泰院クラス(パク・ソジュン主演の復讐と成功の物語)」など、韓国ドラマ史に残る名作の音楽を数多く手掛けてきました。
パク監督のこだわりは、驚くほど繊細です。「ミセン」のOST制作時には、あえて調律の合っていない古いギターを引っ張り出して演奏したといいます。それは、厳しい現実に直面する新入社員の「不完全さ」や「哀愁」を表現するため。
「主人公が貧しければ、楽器も貧しくなければならない。そうして初めてキャラクターのイメージが完成するんです」と語る監督の言葉からは、単なる音作りを超えた、作品への深い愛情が伝わってきます。
また、2025年に配信が予定されている期待作「本当にお疲れ様でした(폭싹 속았수다、アイユーとパク・ボゴム主演の済州島を舞台にしたドラマ)」では、1960年代の空気感を再現するために、わざわざ日本まで足を運び、伝説のバンド「ザ・ビートルズ」のポール・マッカートニーが愛用したモデルのベースギターを探し求めたそうです。
■AIが「ガイドボーカル」を務める時代…忍び寄る危機の足音
しかし、こうした職人気質な制作現場に、AIの波が押し寄せています。
現在、韓国の音楽制作現場では、歌手が実際に録音する前の「ガイドボーカル(仮歌)」としてAIが活用され始めています。これまでは、曲の雰囲気に合う歌い手を探し、スケジュールを調整してスタジオで録音していましたが、今ではAIを使えばデスクに座ったまま、数分で仮歌が完成してしまいます。
これだけを聞くと「効率化されて良いのでは?」と思うかもしれません。しかし、パク監督が見据えているのは、その先にある「創作エコシステムの崩壊」です。
現在、若い世代の間では「Suno(スノ)」などの音楽生成AIを使って簡単に曲を作る動きが広がっています。これにより、これまで経験を積む場だった新人作曲家や演奏家たちの仕事が奪われ、将来の巨匠が育つ土壌が失われつつあるのです。
パク監督は、「AIはあくまで道具であるべきだ」と強調します。
「コンピューターで作った音と、実際に人間が演奏した音は天と地ほどの差があります。マイクの位置を1cmずらすだけで変わる繊細な空気感、そしてあえて完璧ではない音を出すことで生まれる情緒。それはAIには決して真似できない領域です」
■韓国コンテンツの未来を守るために
韓国では今、AIが生成したコンテンツに対して「AI使用」の表記を義務付ける法案や、著作権料の分配に関する議論が活発に行われています。パク監督が危惧しているのは、法整備が追いつかないままAIが暴走し、コンテンツの知的財産権(IP)そのものが価値を失ってしまう未来です。
「このままでは、韓国が世界に誇るコンテンツ産業全体が崩壊しかねない」
そう語るパク監督のスタジオの片隅には、より「切ない音」を出すために、洗車用の羊毛を弦に貼り付けた改造ピアノが置かれています。こうした「狂気」とも呼べるほどのこだわりが、私たちの心を揺さぶる名シーンを作ってきたのです。
私たちが韓国ドラマに熱狂するのは、そこに「人間臭さ」や「温かみ」を感じるからではないでしょうか。便利さと引き換えに、作り手の魂がこもった「音」が失われてしまうのは、ファンとしても非常に寂しいことです。
AIと共生しながらも、いかにして人間の感性を守っていくのか。韓国エンタメ界が直面しているこの課題は、決して他人事ではありません。
パク・ソンイル監督が手掛ける最新作「本当にお疲れ様でした」の音楽を聴くときは、ぜひその一つひとつの音色に耳を澄ませてみてください。監督が日本まで行って探し歩いたベースの音、そして人間だからこそ表現できる「1cmの差異」が、ドラマの世界をより深く彩っているはずです。
名作OSTの数々がAIではなく、誰かの情熱によって生み出されていると思うと、改めて一曲一曲が愛おしく感じられますね。皆さんが一番、心に残っている韓国ドラマのOSTは何ですか?ぜひコメントで教えてください!
出典:https://www.mediatoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=332781


