「ここに私が写っていなければ、芸能人じゃないわ」
そう語りながら、一枚一枚の写真を愛おしそうに見つめる一人の女性。韓国ドラマファンにはお馴染みの名脇役であり、その明るいキャラクターで愛されている女優のアン・ムンスク(안문숙)が、ある「伝説の場所」を訪れ、思わず涙を浮かべました。
2月28日、アン・ムンスクの公式YouTubeチャンネル「ミス・モ・オッテ アン・ムンスク(미스뭐어때 안문숙)」に公開された一本の動画。そこには、韓国放送界の聖地とも言えるソウル・汝矣島(ヨイド)で、40年以上の歳月を刻んできた小さな写真館を訪れる彼女の姿がありました。
今回は、多くのスターたちが駆け出しの頃に訪れ、その輝きを刻んできた写真館での感動的なエピソードと、そこで語られた韓国芸能界の変遷についてお届けします。
■ 韓国芸能界の「生きた証」が眠る、汝矣島の小さな写真館
アン・ムンスクが訪れたのは、かつてMBC(韓国の主要放送局の一つ)の旧社屋があった汝矣島に位置する写真館です。
かつての汝矣島は、放送局が集まる「韓国のハリウッド」のような場所でした。デジタルカメラが普及する前、俳優や歌手たちはドラマのプロフィール写真や宣材写真を撮るために、放送局の近くにある信頼できる写真館へと足を運んだものです。
この写真館の壁面には、42年という長い歳月の中で撮影されたスターたちの写真が隙間なく飾られています。アン・ムンスクは壁に並ぶ無数の顔ぶれを見て、「ドラマのチームもみんなここで撮ったのよ。韓国エンタメの歴史がここに全部集まっているわね」と、感慨深げに当時を振り返りました。
まさにここは、韓国放送史を凝縮したような空間。彼女自身も若かりし頃の自分の姿を見つけ、懐かしさに目を細めていました。
■ 故イ・スンジェ、故ソン・デグァン……去りゆく名優たちへの想い
しかし、壁に飾られた写真の中には、もう二度と会うことのできない懐かしい顔ぶれもありました。
アン・ムンスクの足が止まったのは、二人の大先輩の写真の前でした。「ここにイ・スンジェ(이순재)先生がいらっしゃるわ。ソン・デグァン(송대관)おじさんも……」。彼女はそう呟くと、しばらく言葉を失い、込み上げる感情を抑えるように静かに写真を見つめました。
「国民のおじいちゃん」として日本のファンにも親しまれた名俳優イ・スンジェは2025年11月に、そして「トロット(韓国の演歌)界の巨匠」として一世を風靡した歌手ソン・デグァンは2025年2月に、惜しまれつつこの世を去りました。
写真の中の二人は、現役時代そのままの眩しい笑顔を浮かべています。しかし、現実の時間は無情にも過ぎ去っていました。アン・ムンスクが「この多くの方々は、今どこで何をしているのかしら……」と静かに問いかけると、写真館の店主は「今も現役で活動している方は、ここに写っているうちの0.2%ほどでしょう」と答えました。
その言葉に、彼女は深くうなずき、時の流れの速さと、共に時代を築いた仲間たちが減っていく寂しさを噛み締めているようでした。
■ アナログ写真に込めた「100年の記憶」
かつては当たり前だったフィルムカメラでの撮影。アン・ムンスクはこの日、あえてアナログな手法で今の自分の姿を写真に残すことにしました。
「これは100年保存すべき、大切な写真になるわ」
彼女がそう語った一枚の写真は、壁に飾られた先輩たちの写真の隣に、新たな歴史として刻まれることでしょう。韓国の芸能界が、どれほど激しく、そして情熱的に時代を駆け抜けてきたのか。その一端を担ってきた彼女だからこそ、一枚の写真に宿る重みを誰よりも理解していたのかもしれません。
動画の最後で、彼女は「韓国バラエティやドラマの歴史が、この小さな空間に凝縮されている」と熱く語り、視聴者の胸を打ちました。
韓国エンタメが世界中で愛される今、その礎を築いた巨星たちの姿は、こうした古い写真館の壁の中で今も静かに息づいています。華やかなステージの裏側で、彼らがどんな思いでカメラの前に立ったのか。それを知るアン・ムンスクの涙は、単なる悲しみではなく、先人たちへの深い敬意と感謝の印だったのではないでしょうか。
皆さんは、思い出すだけで胸が熱くなるような、自分にとっての「伝説のスター」はいますか? 時代が変わっても色褪せない、あなたの推しへの想いや思い出の作品をぜひコメントで教えてくださいね。
出典:https://www.mk.co.kr/article/11975719





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